01
計画を聞いた時、ヨンは口をあんぐり開けていた。
キサラギは真っ青になった。
ボビーは、きゃあ、と叫んで真っ赤になった。
トラノシンは、ぬふふ、と笑ってから「自信がないなあ」とつぶやいた。
ようやく、ヨンが質問した。
「どこでそんなことを思いついたんですか?」
サンライズは、偉そうに腰に手を当てていた。
「よく夜に外で歌ってるじゃん? 鶴賀町のオッサンたちさ」
「はあ」
「オレも、歌いたくなったワケよ」
「で、どうしてその歌なんですか?」
サンライズが真面目に答える。
「前向きだから」
「で、どうしてコスチュームまで」
そこでサンライズが悪魔の笑みを浮かべた。
「どうせなら、暴れてみたいだろ?
あのラチという男にひと泡吹かせてやるんだ」
赤坂の料亭『志の川』に集まるメンバーが分かった、とアズマから連絡をもらった時には、 ただ漠然としたイメージしか湧いていなかった。
作戦会議の時、ヨンも言っていたし。
「池田屋みたいに、殴り込みの雰囲気でしょうかね」
あちら側のメンバーは、経済産業省のキーマンである和久井徳光と秘書の葛城与四郎、フカサワコーポレーション社長深澤信子、取締役営業部長の桑が原慎二、社長室長補佐の深澤辰之進、そして、MIROC本部技術部長・良知健太朗の計六名。
ラチは驚いたことに、政界にも独自のつてがあるらしかった。和久井を営業部長に紹介したのが、ラチだったそうだ。ケンちゃん、ご立派で何よりです。
だったらこちらも五人か六人揃えたいな、漠然と考えていたその時、表通りから聴こえる明るい歌声に、ふとひらめいたのだった。
「所長」アズマのオフィスに寄って、おねだりをする。
「何? サンちゃん」すでに社長からもそう呼ばれていた。
「ちょっと余興の練習したいんですが、スタジオ借りて頂けませんか?」
「分かった、」場所や条件を細かく聞いてから、まだサンライズが立っていたので
「他に何か?」と言うので、
「もうひとつ、お願いがあります」あまりの控えめな言い方に、アズマ所長、心配そうに
「どうしたの?」と聞き返した。
「メンツが一人足りません。所長、カラオケ得意だってボビーから聞いてますが、参加していただけますよね?」
曲名を聞いて、アズマは日頃の落ち着きを完全に失った。
「ムリムリムリ」壁まで後ずさりしている。「いや、そんな歌知らん。聞いたことない」
「じゃあ、覚えましょう」そしてメンバーが全員揃った。




