六話 前世の記憶-後編
フリーズドラゴン達が住んでいる洞窟の中。その一番奥にナルの前世であるフリーズドラゴンの王が床に臥せっていた。
『父上。大丈夫ですか?』
『ラガスよ。私はもうそろそろ行くぞ。』
『えっ!』
『大丈夫だ。すこしの間だけだ。前に言った、お前が普通のドラゴンならば行くはずだった場所に行ってくるだけだ。また、会えるからな。ほら、マリアを呼んでおいで。』
『もう、いますよ。…だいぶ魔力が減っていますね。』
『母上!』
『ラガル。マリアと話すから少し待っていてくれるか。』
『はい。』
ラガルを一度遠ざけ二人きりになった。
『マリア。すまない。ラガスを頼む。次の王を任せるからな。まだ、幼いから大変だろうが我の残りの魔力をあたえる。別れるのが早くなるが仕方がない。我らの王にも困ったものだ。本来であればこのようなこともなくまだこの場に入れたものを…』
『いいのですよ。それが努めです。それに、すぐにお戻りになるのでしょう?』
『ああ、そうだな。我らの時の感覚で言えばすぐにでも戻れるだろう。マリア、愛しているよ。…さあ、ラガスを呼んでくれ。』
『ラガス!ラガス!こちらに来なさい。』
『参りました。父上。』
『ラガス。一時的にだが次の王はお前だ。頑張りなさい。周り者たちの話を良く聞くのだぞ。…手をだしなさい。』
『父上!僕は、母上と一緒に頑張ります!早く戻ってきてください。約束ですよ!』
『ああ。約束だ。じゃあな……』
フリーズドラゴンの王となり他のドラゴンをまとめてきた時は終わり、次の転生へと向かっていった。
次に生まれたときには、シュリーの手の中だった。
「私はシュリー。あなたの名前はナルでいい?よかった。よろしくね。ナル!」
読んでいただき、ありがとうごさいます。
本日は6話目で終了です。