三話 入学当日……の朝
寮の三階の、315号室。
空が白くなり始めた頃にシュリーは目覚めた。まだ時間に余裕があったので二段ベッドほどの高さから音をたてないように階段を降りると、ナルが起きていてこっちを見ていた。
「ナル、おはよう。」
『おはよう。シュリー。朝練するのか?』
「違うよ。今日はまだどこを使っていいか分からないから、部屋で軽くストレッチだけにするよ。」
『そっか、じゃあまた寝るから朝ご飯のとき起こして。そのうち寮母さんに聞いてみないと。』
「分かっているわ。おやすみ。」
シュリーは毎朝、城の訓練所でストレッチと武術の基本の型や、近衛と模擬戦などをやっていた。だから、武術に関しては訓練の賜物だ。(本人曰く)
ただ、魔法に関しては、魔力量が普通の人から見ると倍以上あると言われている。
人は魔力を感知することができないようで、相手の力は戦わなければわからない。しかし、命の危険がある場合は危険察知ができる。だから予想で倍以上あるということになっている。
30分後。時間になったのでシャワーに入りセシリアを起こした。コリーとナルは、すでに起きていた。
「おはよう。ナル、コリー。…セシリア、起きて、ご飯食べに行こう。」
「おはよう。シュリー。早いね。今何時?」
「もう、7時になるよ。8時半から入学式だから早くしないと。」
「そっかー、うん。今起きるよ。朝ごはんなんだろうね?」
二人は着替えて、一階の食堂に降りていった。
食堂に着いたが、そこにはもうこの寮の学生でいっぱいになっていた。
「席空いてるかな?」
「どこかにない?ナル見てきて?ナルの分持ってくから。」
『分かった。』
『僕も行きます。』
「そうだね。コリーも一緒に行って。」
「さて、セシリアは何にする?」
「A定食にするかな。」
「じゃあ私もAにしよう。」
因みに、ごはんに合うものがA定食、パンに合うものがB定食になっている。
A定食と書かれた紙を寮母さんに渡してお盆と交換するというシステムになっている。
「寮母さん、おはようございます。」
「おはようございます。シュリーちゃんに、セシリアちゃん。A定食二つに、ドラゴン二頭分のお肉ね。少し待ってて。」
そう言って、A定食を二つと肉の塊を二つ奥から持ってきた。
「「ありがとうございます。」さて、ナル達のとこに行こう!」
その頃ナルとコリーは二人で話をしていた。
『やっと話せますね。ナルさん。貴方の主って、もしかして……ですか?』
ドラゴンの声は、主が近くにいる場合絶対に声が聞こえてしまう。それ以外は、自分が望まなければ聞こえない。
『そうだが、魔力はまだまだ上がるぞ。それと、他のドラゴンも気がついているよな?お前も気がついているのだから。』
『他のドラゴンはまだ予想段階ですから、まだその主に言ってはいないと思います。それにドラゴンでなければ、この話しはわからないと思いますから、大丈夫ですよ。』
ドラゴンは生まれてすぐに今までのドラゴンの生きていた歴史を知ることになる。
『まあな。座る場所はここでいいか?』
『はい。あっちょうど来ましたね。セシリア。こっちですよ!』
ちょうどシュリーとセシリアが、来たところだった。
「いただきます。」
「あのさぁ、シュリーは魔法とか武術とか得意?」
「そうだね。まあまあかな?セシリアは?」
「それがね、私はあんまり魔力量ないからだと思うけど、得意じゃないんだよね。武術はコリーと特訓していたからまあまあかな!」
「そうなの!あっそういえば、今日のクラス決めね、同じ部屋の人とは一緒になるって聞いたよ!やったね!」
「よかった~!一人になるかと思った。だって、コリーはアースドラゴンだもん。」
「ドラゴンの種類は、あんまり関係ないよ。その人の力量次第!ナルはフリーズドラゴンだけど、昔アクアドラゴンに負けたよ!」
「ウソ~!ビックリ!じゃあ、コリー大丈夫だよね?」
「うん!大丈夫!」
「そろそろ部屋戻ろうか?」
「じゃあ、「ごちそうさまでした。」」
部屋に戻った二人は、今日配られる教科書の数々を入れるために、鞄と筆記用具とノートを持って学校に行くのだった。
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誤字脱字等ありましたらお伝えいただければと思います。