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観測儀式

翌日――城の中庭は異様な熱気に包まれていた。

円形に並べられた石板、その中心には大きな水晶球。

周囲には兵士や魔術師たちが慌ただしく動き回っている。


「え……何これ?」

「“観測儀式”です」

横でサーシャが淡々と答える。

「昨日の現象について、正確な位置と規模を測定するための」


「で、なんで俺がここに座らされてんの!?」

中央の椅子に半ば強引に押し込まれた俺は、水晶球とにらめっこ状態。


「若殿は魔力量が非常に安定しておられますから、測定の“柱”として最適です」

「ええ……」


そこへ父――ヴァルディミールが歩み寄ってきた。

「レンシス、お前はここに座っていろ。危険はない」

「本当にですか??」

「…ああ…滅多にな」

「滅多に!?」


ユーリが背後でにっこり笑いながら肩を叩く。

「心配無用です! 最悪の場合でも、若殿の魔力を媒介に門の位置がはっきりと――」

「巻き込まれる前提に聞こえるんだけど!」


サーシャは相変わらず表情を崩さず、俺の頭の位置を直す。

「動かないでください。水晶球が反応を始めました」


……次の瞬間、水晶球の中に“赤い海”が映し出され、その向こうで淡く光る塔のような影が浮かび上がった。

背筋を冷たいものが駆け抜ける。

(あれ……絶対“門”だ……!)


周囲の魔術師たちがどよめく中、父が低く呟いた。

「……やはり、開きかけているな」

「将軍様! 今こそ軍を――」

「倍にせよ」

「……」


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