表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/39

目覚め?

門の目前に立つと、肌に刺さるような冷気が一気に全身を包み込んだ。

吹きつける風は、前回よりも重く、冷たく、まるで何かがこちらを試すかのようだ。

見上げた門は、以前よりもわずかに開いており、内部から淡く光る霧がゆらめきながら漏れ出している。

その霧が地面に触れるたび、低くうなるような脈動が足元を震わせ、胸の奥まで響いてきた。


(……心臓と同じリズムだ)

脈動に合わせて呼吸が浅くなっていく。耳の奥がきんと痛み、視界の端に白い靄のような揺らぎが広がった。

足元の砂利がふわりと浮き上がり、微かな金属音とともに空中で踊る。


「レンシス殿、危険です、離れて――!」

サーシャの声が届くより早く、門の中心から波紋のような光が放たれた。

それは水面を広げる波のように辺り一面を包み込み、俺の体を真正面から貫く。


全身の血が逆流するような感覚――そして、胸の奥から熱と光が押し寄せてくる。

掌を見下ろすと、そこから細く透き通った光の糸が溢れ出していた。

糸は門の脈動に呼応するように震え、次第に幾何学模様を描きながら空間に広がっていく。


(……知ってる。この模様……でも、いつ、どこで……?)

記憶の底をかき混ぜられるような感覚に、意識が揺らぐ。

倒れそうになった瞬間、背後からサーシャの腕が回り、俺の体を支えた。


「しっかりしてください!」

「……ああ、大丈夫……たぶん」

けれど、心の奥ではもう理解していた。

これはただの偶然じゃない。

俺は門と、何か深いところで繋がってしまった――そして、その力の一端が、今、目を覚ましたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ