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門と共鳴?

王城に戻ってから数日。将軍は魔力消耗で相変わらず食事量を増やせと周囲に指示していたが、頬の削げた精悍な顔はそのままだった。

ユーリは「甘味禁止令」を父とサーシャから出され、ふてくされ気味。ユーリにとってとんでもない中毒性があったようだ。本国に甘味はないので無理もない。


俺はというと――夜ごと、門の夢を見る。

深い闇の向こうで、低く響く脈動。手を伸ばすと、掌がじんわりと光り、熱を帯びる。

(……まただ)

目を覚ますと、指先から淡い光が消えていくのを見た。まるで心臓の鼓動と同じリズムで光っていたような気がする。


翌朝、サーシャが眉をひそめた。

「若殿、顔色が優れません。夜眠れていないのでは?」

「いや、大丈夫……ただの夢だ」

自分でも説得力がないと思いながらも、ごまかすしかなかった。


調査準備は着々と進んでいた。アルディナから最新の観測装置が搬入され、ヴォルグラード側の護衛部隊も倍増。

武器庫で確認作業をしていると、俺は無意識に槍の重心や剣の材質を口にしていたらしい。

「おや……その知識は軍人でも知らないはずですが」アルディナの技師が首を傾げる。

(……なんで俺、知ってるんだ?)


その日の会議で、学者が新たな資料を広げた。

「《パンゲラス年代記》の別章によれば、“橋渡しの者は光と影を併せ持つ”とあります。門が完全に開くと、その力は顕著になるでしょう」

父とレオニードがわずかに視線を交わすのを、俺は見逃さなかった。


そして第3回調査当日。移動の馬車の中で、耳鳴りが強くなっていく。

門が近づくほど、視界の端が揺らぎ、指先がまた光を帯びた。

「……やっぱり何かが、俺の中で動き出してる」

胸の奥で、不安と確信が同時に芽を出していた。

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