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九十七“転優”探生活  作者: 兎城あや
シーズン1 希優花に振り回されるまち
1/16

プロローグ

 目が覚めると、ぼくは砂の上にうつ伏せで寝転がっていたのに気がついた。


 ・・・もしかして、ここが・・・

 

 起き上がる前に一度目を閉じて視覚以外の五感を集中させる。

 砂は今まで踏んでいたのよりも硬い。足元の先では”ザー…ザバーン…ザー”のような音が繰り返し聞こえてくる。少しだけツンっとするような、でも嫌いじゃない、ぼくのいたところと近いにおい。

 そしてからだが小刻みにゆれるような、時々やってくる謎の感触。

 この感触がきっと・・・


 「風・・・だよね、これが。・・・ほんとうに来れた。陸のまちに」


 ゆっくりと目を開けて起き上がる。このまちにも夜はあるらしく、今は真っ暗で何も見えない。

 でももうひとつわかったことがある。ぼくの前にはまだ“ザー…ザー…”という音は鳴り止まってない。

 きっと“波”の音だ、これは。つまりこの先には、この奥深くには・・・


 “ヒュッッ・・・”

 “波”に向かって歩こうとしたとき、ポケットの中にあった“(ふだ)”が小さく音をたてて黄緑に光った。


 「わかってるよ。せっかくここまで来て、何もせずに戻るわけないでしょ、ぼくのまちに」

 そう呟くと“札”はゆっくりと光を消していった。


 ぼくには使命がある。

 生まれて初めて任された使命―それは昔、絵本でみたようなドラゴン退治とか世界を救うとか滅ぼすとかそんな大胆なことでも、かっこいいことでもない。

 でもぼくのまちでこのことができるのは、間違いなくぼくしかいない。

 使命とはいえ、初めての場所であちこちまわるなんてイヤだ。ぼくのまちよりもかなり違う環境の中、しかも一人で。

 けどやらなきゃいけない。だから今はただ自分の手を握って「大丈夫、きっとできる」って繰り返しいううしかない。


 とりあえず今日はここで寝よう。夜があるってことは、きっと朝や昼もあるはずだから。

 大丈夫、きっとできる

 あの小さな女の子が「希優貝(きゆがい)」を割らない限り、ぜったいに・・・


 

はじめまして、兎城あやです。

初めて長編小説を書きます。楽しんでいただけると幸いです。

これからよろしくおねがいします。

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