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【59万PV感謝】大魔女ディケーの異世界百合な日々!~元アラサーの私が転生先で美女達からグイグイ迫られる件~  作者: 漁業フリーダム
第1部-1 私が魔女への超転生!?

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第9話 "魔女見習い"として励みなさい

「私、魔女ディケーの2人の娘達。

 赤い髪がライア、青い髪がユティです。

 2人とも、さあこちらへ」



 それまでずっと、私が座っていた椅子の傍らで私の大魔女グランドウィッチへの謝罪をじっと静かに見つめていた2人。

 親としては子供に情けない姿を見せたくないという思いがある反面、違反を繰り返すディケーのようにはなってほしくないから敢えて、ああいう姿を見せる必要があった……そんな思いも抱きつつ。

 私はついに、円卓の中央に2人を呼んだ。



「半年前、親を失い、孤児としてさ迷っていたところを私が保護し、養女としました。

 今は弟子としても育成をしております。

 ……さ、皆様に御挨拶して」



 ライアとユティの緊張をほぐすように、2人の肩にそっと触れる。



「(大丈夫、貴女達ならきっと出来るわ)」



 おうちでも何度も練習したし、礼儀作法も一通り覚えた。

 何より、魔女ヴァルプルギスナハトの召集から現地集合までたった5日しかない中、今の私に教えられる事を2人には叩き込んである。

 私自身、ディケーに憑依転生してから2週間くらいなもんだから、不安っちゃ不安なんだけど……既に私が憑依する前からある程度の基礎はディケーが地道に教えていたらしくて、攻撃系の魔術の習得目前の段階まで達していたのは僥倖と言えた。



「魔女ディケーの娘、ライアです。

 お初にお目にかかります、大魔女」

「同じく魔女ディケーの娘、ユティです。

 先達たる魔女の皆様方にお会い出来、光栄に存じます。

 先程のパーティ会場では、お見苦しいところをお見せいたしました」



 数歩前に歩み出た2人は猫耳付きのフードを外し、大魔女や他の魔女達に向かって、ローブの裾を摘まみ、淀みのない動作でうやうやしく、お辞儀をする。



「(よし、挨拶はバッチリね!)」



 ……てか2人とも、よそ行きモードに拍車かかってない!? これまでずっとひらがなかカタカナで喋ってた子達が、漢字混じりで喋ってる気がする! まだ5歳よ!?

 やばい、もう泣きそう!



「ライアとユティですね。

 ようこそ、魔女の塔へ」



 大魔女の視線が2人を見据える。

 綺麗だけど威厳に満ちた声で。

 ああ、値踏みされてるわね、これは……。

 大魔女からすれば弟子の弟子、孫弟子って言うのもあるかもだけど……魔女の塔としても公国と帝国の戦争で魔女2人に欠員が出た以上、次世代の魔女の育成は急務のはずでしょうし、素質があるか見極めたいんだわ、きっと。

 レジェグラ本編でのライアとユティの職業ジョブは魔剣士と魔導師だったけど、設定として魔女になる一歩手前くらいの段階だったはず。

 人間から魔女になった例もそれなりにあると聞くし……古いタイプの純潔種としての魔女の時代が終わろうとしているのかもしれない。



「貴女方が魔女ディケーの成果ならば、その証を見せて貰えますか。

 どれ程の鍛練を積んだか、今この場で」



 来た!

 だよね、やっぱり見せろって言うと思ってた!

 さあ、2人とも準備はいい?



「皆様からすれば稚拙な児戯ですが」

「母ディケーから賜りし、鍛練の成果を披露させていただきます」



 あー、やばい。

 私までドキドキして来た。

 この手の発表会の時の雰囲気って苦手だなあ……みんなの視線が刺さって痛いのもあるけど、失敗したらどうしようって不安に飲まれそうな感覚、あれ嫌よね。

 子供なら尚更なんじゃないかしら……。

 とにかく頑張って!



「ふーっ……火球ファイアーボール!」




ズズズ……!!!




 まず先発はライア。

ゲーム本編同様、得意属性は火。

 掌から小さな火球を発生させる、火属性でも最下級にして基礎の中の基礎の魔術だ。

 18歳の方のライアは自身の魔剣に業火を付与して、高笑いしながら相手ごと周囲を焼き尽くす荒っぽい戦い方を好んでいたけど、さすがに5歳児にそんな残虐な魔術の使い方は覚えさせる訳にはいかない。

 なのでまあ、私なりにアレンジを加えた。



「それっ!」



 ライアがパンと手を叩いた瞬間、野球ボール程の大きさの火球が弾け、何匹もの炎を纏った小さな蝶々に変わる。まるで各個体が意思を持っているかのように、鱗粉の代わりに火の粉を撒き散らしながら悠々と宙を舞う姿は、何処か雅さを感じさせる。



「(おっしゃ、いい感じ!)」



 火属性の魔術の使い手でも、上級者ともなれば炎の形状を龍や不死鳥と言った、幻想種の形状に変化させて攻撃を繰り出す者も居る。間違いなく高等技術と言えるわね。バトル漫画にもそういうキャラ居るでしょう?

 まだライアの魔力だと小さな蝶々の姿を形作るのくらいが精一杯。

 だけど、それでも、

 


「見て、すごい数よ……」

「……炎の形状変化も姿の維持も、繊細な魔力のコントロールが必要のはず」

「末恐ろしい子ね……」



 よしよし、魔女達からも高評価だわ!

最下級魔術でも、すごさはちゃんと伝わってるみたい! 見せ方次第でどうとでもなっちゃうんだから!



「ユティ」

「分かった」



 さあ、ここからはユティの見せ場。

 鍛練通りやれば大丈夫だから!



「……水牢アクアドーム!」




ゴポッ……!!!




 ユティの基本属性は水なんだけど、ゲームに登場した18歳の方のユティはどちらかと言えば氷の魔術の使い手。立ち塞がる相手を表情一つ変えずに凍てつかせ、生きたまま粉々に砕く、狂気の氷結魔導師。ゲーム終盤のバトルでは毎ターン全体攻撃とかして来ちゃって、ホント苦労させられた困った子だったのよねー。凍結や凍傷のバッドステータスがエグいのよ。

 ……なので、今回は敢えて氷ではなく基礎となる水属性を極めさせる方針に決めた。



「ん、ん、んん……!」



 水牢は本来、敵単体の頭上に出現させて弾けさせ、ダメージを与えると同時に水の膜に封じ込めて身動きを1~2ターン封じるタイプの水系魔術………ゲームだとね。

 でも今回は、



「……捕まえた!」




バシャッ!!!




 水牢を一気に分裂させ、ライアの操る無数の炎の蝶々を1匹も消す事なく包み込む、シャボン状の水玉へと変えてみせた!

 ライアの生み出した無数の炎の蝶々が虫カゴならぬ丸い水カゴに入った状態で、フワフワと魔女達の頭上を漂う様は、雅さを越えて何処か幻想的ですらあった。



「……あの子も相当仕込まれてる」

「最下級魔術でこれなら、もっと高度な魔術ならどんなアレンジが出来るのかしら?」

「あの子も将来が楽しみだわね」



 これもライア同様、均等な形状を保ちながらの多数同時展開だけど、少しでも炎の蝶々が水に触れると消えてしまうプレッシャーがある分、ユティの方が精神的負担は大きいように思う。どっちも頑張れー!



「くっ、ぬっ、ぬぬ……!」

「んんん……!」



 まだ5歳なのに2人とも本当にすごい!

 よくやってるよ!

 練習は何度もやったけど、この子達本番にメチャクチャ強いわね!? 緊張や重圧によく耐えてる!



「(……これだけやってるんだから、もういいでしょう!?)」



 口にはしなかったが、私は我が師である大魔女に向かって、視線でそう訴えた。

 しかして、



「……なるほど、よく分かりました。

 魔女ディケーは言葉通り、貴女方を弟子として、よく鍛練しているようですね」



 私が伊達や酔狂で2人を養女兼弟子に迎えた訳では無い事が伝わったらしく、それまで座っていた椅子から立ち上がると、



「良い物を見せてくれました。

 ……もう、休んで結構ですよ」





パンッ。





「あ、あれ……?」

「消えた……?」



 大魔女が小さく手を叩くと、ライアとユティの作った火球の蝶々と水牢のシャボン玉が、一瞬で消え去ってしまう。

 火と水、互いがぶつかっての水蒸気の発生とかもなく、文字通り、空中で忽然と消えた……!



「(強制消失魔術マジックキャンセラー! ゲームでディケーが使ってたやつ!)」



 大魔女クラスになると、そういう事も簡単に出来ちゃうのね!

 あれって、お師匠譲りの術式だったんだ……。



「ライア、ユティ」

「は、はい」

「はい」



 ドキドキ……。

 あー、心臓が爆発しそう!



「……貴女方を正式に魔女ディケーの養女、そして弟子として認めます。

 これからは魔女の塔所属の"魔女見習い"として励みなさい」

「は、はい……!」

「ありがとうございます。大魔女」



 ……やった!

 やった、やった、やったーっ!!!

 これで流れがゲーム本来のストーリーとは大きく変わるかもしれない!

 本来の流れだと、ライアとユティを養女兼弟子にしたのを黙っていた事でディケーと魔女の塔の関係が悪化、除籍された事に逆ギレしたディケーによって魔女全滅、塔も跡形もなく破壊されるっていう悲惨な事になってたけど……運命に勝ったッ!

 いや、まだ何が起きるか分からないけど……とにかく一勝したわ!



「ディケー」

「えっ!? は、はい、大魔女」



 私が内心浮かれていると、釘を刺すような大魔女の声。

 ………もしかして、心読まれたりしてないよね?



「この子達の鍛練、頼みましたよ」

「……勿論です!

 大事なウチの子達ですから」



 私の、自慢の子達ですので!

 疲労で立ち尽くすライアとユティを後ろから抱き締めながら。

 私は我が師ーーー大魔女に、そう見栄を切ったのだった。

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