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【59万PV感謝】大魔女ディケーの異世界百合な日々!~元アラサーの私が転生先で美女達からグイグイ迫られる件~  作者: 漁業フリーダム
第1部-4 激闘! 炎魔将アグバログ!!

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第60話 秘密の扉から会いにきて

「氏族長様、大変申し訳ありませんでした。

 御先祖伝来の大事な宝剣を壊してしまい……」

「気に病むな、ディケー殿。

 武器はいくさで使ってこそ真の価値を発揮するというもの。

 結果的にアグバログを今度こそ倒す事が出来たのだ。

 ……深淵戦争で命を散らした同胞達もこれでゆっくりと眠れるだろう」




 ーーー復活した炎魔将アグバログとの戦いを終えて。

 自爆する一歩手前だったアグバログを土壇場で次元の裂け目に吸い込み、遥か遠い宇宙空間に放逐した後。

 私は今度こそ完全に力尽きて、その場に倒れてしまった。

 それは私を助けるために駆け付けてくれた娘達、ライアとユティも同様で、戦いの一部始終を遠見の投影魔術で見守っていたエルフの氏族長様が寄越してくれた救護隊に助けられ、親子3人とも王城まで緊急搬送されたらしい(私、こっちの世界に来てから搬送され過ぎでは?)。




「王城に被害が無かったのは幸いであった。

 谷底周辺の木々はだいぶ燃えてしまったが……なに、我々エルフは長命で気の長い種族だ。

 また苗木を植えて成長を見守り、次の世代へと繋ぐとしよう」




 アグバログとの激闘の爪痕は結構色濃かった。

 300年前の戦いで"忌み地"となっていたおかげで、普段から谷底には誰も近づかなかった事もあって人的被害は一切無かったみたいなんだけど……代わりに、アグバログが吐きまくった火炎や熱風、瘴気の毒素のせいで樹海の木々は酷い事になっていて、消火や浄化に王城の兵士の人達は今も大忙しみたいね。




「ディケー殿。

 此度は誠に御苦労だった。

 娘のエレナの事、アグバログ討伐の事。

 氏族を代表して何度でも礼を言わせてほしい。

 そなたと御息女達の命懸けの活躍あってこその勝利だった」

「いえ、そんな……」




 ……で、私は今も治療中で、王城に宛がわれたお部屋で氏族様からのお見舞いとねぎらいの御言葉を頂いてる最中っていう。




「どうか、ゆっくりと養生されてくれ。

 我々に出来る事があれば気兼ねなく言ってほしい」

「恐れ入ります。

 御言葉に甘えさせていただきます」




 これからの課題は山積みだけど……一先ずはエレナお嬢様の呪いも解けたし、呪いをかけていたアグバログも倒せたし、氏族長様も心労から解放されて心なしか顔に生気が戻って来たみたいで良かったわ。

 エレナお嬢様も順調に元気になってて、アグバログに吸われ続けてた魔力も徐々に戻って来てるとの事だし。

 これからは親子での時間を楽しみながら生きていけそうね!




「(私はもうちょっとだけ、お世話になりそう……)」




 骨折とかはしてないし、裂傷とか火傷はライアの治療魔術であらかた治ってるんだけど、アグバログとの戦いで魔力を殆ど使い果たした事もあって、しばらくは身体を休ませた方がいいとの事だった。

 巨猿王コングロードと戦った時も治療に結構時間かかったもんなあ……あとメチャクチャお腹空いて食欲が凄かったのよね、一時期。また同じ事になりそう……今もメッチャお腹減ってるし。




「休養の邪魔をして申し訳なかった。

 それでは、私は席を外そう。

 ……先程からサラが入りづらそうなのでな」




 氏族長様に言われて、ドアの外に誰かが立っている事に気づく。

 ……この魔力の気配は、確かにサラさん。

 そう言えば、そろそろ昼食の時間だったわね。氏族長様のお話が終わるまで待ってたんだ。



「ディケー殿を頼むぞ、サラ」

「はい。お任せください」



 氏族長様と入れ替わりに、今度はメイドのサラさんが部屋に入って来る。

 ここ数日、私の食事のお世話はサラさんの仕事だ。



「ディケー様。

 昼食をお持ちいたしました」

「ありがと、サラさん」



 私よりもずっと早く回復したライアとユティは私に遠慮して隣の部屋に移っちゃったし、日中になるとライアはエルフの治療師の人達の所で回復魔術の鍛練、ユティは水属性の魔術を活かして消火班をお手伝いしたりと2人とも忙しそうなのよ。




「……ムスッ」

「あー……サ、サラ」

「はい♪」




 ……なのでまあ、日中はサラさんと2人で過ごす時間が結構あるって言うか。

 エレナお嬢様が気を利かせて「私より魔女様のお世話をしてあげて」と進言してくれたらしい。

 サラさんは食事の他にも身体を拭いてくれたり着替えを手伝ってくれたりと、甲斐甲斐しくお世話をしてくれる。

 ……名前を呼び捨てにしないと返事してくれない時もあるけど。




「今日も山盛りねー」

「ディケー様はたくさん召し上がるので、料理人達も作り甲斐があると言っておりました」

「そ、そう?

 強敵と戦った後は何週間か食欲がホントすごいのよ、私」

「……それだけの死闘だったという事です。

 氏族長様の投影魔術でわたくしもディケー様とお嬢様達の戦いを見ておりましたが……もう、最後の方は見るのも辛くなる程でしたから」




 アグバログとそんな凄い戦いしてたのかー、私達。

 ウル◯ラ怪獣と戦ってるのと同じようなもんだったよね、アレは。

 ……多分だけど、この星に害を与えるような異界とか異星からの侵略者に対しては魔女のスター観測者ゲイザーとしての本能が強くなって「絶対に排除しなきゃ」って気持ちが原生の魔物とかと戦うよりも強くなるのかもしれない。




「んっ、メッチャ美味しい!

 これは初めて食べるかも!!

 こっちのは昨日も出たけど、食べ飽きない味だわ!!!」




 私は配膳カートに山積みのパンやら鹿肉やら野菜やらを手掴みにして、ヒョイヒョイと胃の中に納めていく。

 エルフの国の食事ここ数日ですっかり気に入っちゃったわー、結構美味しいし。




「ディケー様、もっとゆっくりお召し上がりを」

「あ、うん。

 喉に詰まると大変だもんね」

「それもありますが……。

 ……ディケー様と御一緒出来る時間が減ってしまいますので」

「(あ、そっちね……)」




 椅子に座ったサラさんは、魔力切れを起こして食欲マシマシな私に呆れながらも少し顔を赤らめ、そう言った。




「(……うーん。すっかり懐かれちゃったわね)」




 治療が終わったら、お別れだもんね。

 思い返すと私の周囲にサラさんみたいなクール系オネーサンって居なかったもんなー、高校と大学はどっちも女子校だったんだけども。

 まあサラさんって実際は結構情熱的だったり涙脆かったり、クール系?って言うとだいぶ語弊がありそうなんだけど。




「そう言えば、サラはお昼まだよね?」

「はい。まだですが」

「私の少し食べる?」

「いえ、そういう訳には……」

「まあまあ。そう言わずに」




 私ばかりがパクパク食べてるの見てたら、サラさんだってお腹空くでしょうに。




「ほら、遠慮しないで。

 あーんして、サラ」




 そういう訳で、パンを少し千切ってサラさんの前に差し出してみたんだけど。




「……そうまでおっしゃられるのなら。

 ……あーん」




 案外、素直に。

 サラさんは小さいながらも口を開けて、あーんをして私の手からパン切れを受け取り、パクッと咀嚼する。

 前に我が家に泊めた時にも思ったけど、エルフの人って食べ方も何処と無く上品よね……。

  



「もっと食べる?」

「はい。是非」

「次はお肉ね。あーん」

「あーん……」




 サラさんはまたも上目使いしながら、口で鹿肉の切れをパクリ。

 メイドさんを餌付けする御主人様みたいで、これはこれでちょっと楽しいわね……。




「美味しい?」

「はい。ディケー様」

「サラ、もっと欲しい?」

「はい。欲しいです。

 ……おかわり、ください。

 ……あーん」

「良い子ね」




 こうして全快するまで、サラさんからお世話されつつ、ちょっと私がお世話したりと、楽しく過ごしたのだった。





****





「この手紙をヴィーナの御領主殿にお渡ししてほしい。

 此度の事件の顛末や、今後のヴィーナと我らエルフの交易を前向きに検討したいと書いておいた」

「ありがとうございます。必ずお渡しいたします」




 私の魔力もすっかり回復し、もう動いても問題ないでしょうという頃合いを見計らって。

 あまり長逗留しても御迷惑になると思って(それこそ私がメチャクチャ食べるからね……)、私達はいよいよエルフ達の住まう樹海の王城からおいとまする事にした。

 なんやかんやで1週間以上もお世話になっちゃったわね……。




「昼前にはたれるそうだな」

「はい。子供達が皆さんに挨拶回りしたいそうなので」




 ライアとユティも今ではエルフの人達にすっかり気に入られてしまった。

 樹海に来た日からプレゼントを貰ったりと大人気だった2人だけど、アグバログに対して一歩も引かずに立ち向かった勇敢な姿や、その後も真面目に治療魔術の鍛練に励んだり、森林火災の消火をお手伝いした事で、ちょっとしたアイドル状態だったりする。




「(我が子ながら、すごい子達ね!)」




 母様も大変誇らしいですよ!

 宝剣をアグバログとの戦いで壊しちゃった時はどうなるかと思ったけど、エルフの人達とも良好な関係になれたし、結果オーライ!




「最後に、もう1つ。

 此度こたびのディケー殿の働きに感謝の意を表して、私から贈り物がある」




 氏族長様の合図で、お付きの人がうやうやしく持ってきた物、それはーーー。





「氏族長様、これって……!?」

「我が樹海で育った古木の一部だ。

 昔から杖や弓の素材として欲しがる者が絶えぬのだが……ここ数十年は帝国と公国のいくさが激しかったのもあり、悪用されぬよう誰にも渡さぬようにしていたのだ。

 ……だが、ディケー殿ならば正しい事に使ってくれるだろうと判断した。

 エレナを救っていただいた事とアグバログを討伐していただいた事……それらを併せてのささやかな礼ではあるが、貰ってはくれないだろうか」

「はい! ありがたく頂戴いたします!!」





 うおおー!

 よもや杖の素材として何とか譲って貰えないかなー、と思ってた樹海の古木を頂けるとは!

 いつ切り出そうか、ずっとタイミングを見計らってたんだけど……氏族長様の方から切り出してくれるなんて!




『杖は南の樹海の古木から削った物がオススメね』




 って、魔女ヴァルプルギスナハトの時に魔女の先輩が言ってたもんね!

 これで巨猿王の持ってた北の大森林の樹木製の棍棒(の一部)と併せて、南の樹海の古木、両方の素材が手に入っちゃったわ!!

 ……この2つを合成して杖を作ったら、ひょっとしなくても凄い物が作れちゃうんじゃ!?

 よーし! 早速、魔女ウィッチ工房インベントリに収納して、と……。




「ではディケー殿。

 出立の時まで今しばらく、ゆるりとされて行かれよ」

「はい。色々、お世話になりました」






****






「ディケー様」

「あ、サラさん」



 氏族長様への御挨拶を終え、廊下を歩いていると。

 私が氏族長様と話し終えるのを待っていたのか、サラさんがコツコツとブーツの音を高鳴らせて私の下へやって来る。

 ……まだ朝方なので他の人も廊下に居るんで、一応「さん」付けね。



「少しお時間、よろしいでしょうか」

「うん。発つのは昼前だから構わないけど」

「では、私に付いて来てください」



 サラさんは私を招くようにして、私の前を歩き出す。

 相変わらず、サラさんは歩く姿も姿勢が良くて惚れ惚れする立ち姿ね。見習いたいわー。私も一応、実家の手伝いとは言え、喫茶店で接客やってたんだけどなー。




「王城が燃えなくて良かったわね。

 アグバログを谷底から這い上がった辺りで何とか倒せて良かったー」

「ええ、本当に。

 私にとってもこの城は大切な場所ですので。

 ……ディケー様には、感謝しております」

「あ、分かる。

 みんなの家って感じあるもんね」




 なんて、そんな感じで世間話をしていると。



「ここって……?」

「私の部屋です。

 お嬢様付きのメイドという事で、個室に住まわせて頂いております」

「へえ~」



 辿り着いたのは、なんとサラさんの部屋の前。ギィとドアを開けて、中を見せてくれた。

 ……ふんふん、サラさんらしく良く整頓されてて良い感じの女性らしい部屋ね。こういうのは異世界でも私の世界でも、そんな変わらない感じ。

 エレナお嬢様の部屋から結構近い場所にあったのか。

 貴族に仕えるメイドさんって一つの部屋に何人かが共同で住んでるイメージだけど……サラさんみたいにお嬢様付きともなると、個室が与えられるのか! なるほどなー。




「ディケー様、お手を失礼します」

「えっ?」




 サラさんはおもむろに私の手を取ると、そっと部屋の内側のドアノブに触れさせる。

 ……な、何か、サラさんったらまた顔紅いけど、大丈夫?




「ディケー様は一度訪れた場所のドアであれば、おうちの納屋から御自由に移動が出来るのですよね?」

「あ、そっか。そういう事ね」




 こうしてドアノブに触れた事で、次からエルフの国に来る時は、サラさんの部屋のドアから来れるんだわ! ……最近は他の町や国に行ってなかったから、この移動術式の事すっかり忘れてた!




「ヴィーナから我らエルフの国に来るのに、行きは鷲獅子グリフォンに乗って来たと聞きました。

 ……毎回報酬に黄金を与えていては出費も馬鹿にならないでしょう。

 帰りも"シフォンちゃん"なる鷲獅子に黄金を与える約束をしているとの事ですので、今回はお使い頂けませんが……次回の機会があれば、どうぞ、私の部屋を経由して来訪されてください」




 マジかー!

 確かに毎回シフォンちゃんに往復分の黄金をあげてたら経済的にちょっとアレだし、そういう事なら大助かりだわ!

 ん、でも……。




「あ、あのさ。

 私達の住んでる山と此所の樹海って、結構距離があるから時差もあるんだけど……大丈夫?

 着替えとかの最中にドア開けたりしたら、気まずくない?」

「私はいつ来訪して頂いても構いません。

 ……ディケー様さえよろしければ、プライベートでも」




 バタン。

 そう言ってサラさんはドアを内側から閉めると。

 ドアの前に真っ直ぐ立って、私の瞳を覗き込むようにジッと見据えた(サラさんの方がディケーより少し背が低いのよ)。




「ディケー様」

「は、はい」

「……此度の事、本当にありがとうございました。

 お嬢様の解呪の事、アグバログの事。

 あの日、冒険者ギルドでディケー様にお会いしていなければ……きっと、違う結果になっていたと思います」

「あはは……。

 初めて会った日は色々あったけどね……」




 つい1ヶ月くらい前なのに、随分と昔の事みたいに感じるわね。そうそう、サラさんがヴィーナの冒険者ギルドに解呪師カースキャンセラーを探しにはるばるやって来たのが、そもそもの始まりだった。




「アグバログと勇敢に戦われたディケー様はまさしく、私が幼い頃に憧れた魔女様そのものでした。

 ……よもやディケー様が、その魔女テミス様のお弟子様とは露知らず、いつぞやは大変な御無礼を」

「あ、いいの、いいの!

 わ、私もあの時はちょっと悪ノリしちゃってたし……」






『魔女様はかつての深淵戦争においても、我々エルフと共に異界の魔物と戦った同盟者。

 私も幼い頃より憧れを抱き、いつかお会いしたいと思っていた存在です。

 ……それを、私の幼い頃からの憧れを、貴女という人は!!!』






 私が悪役ムーヴかまして、悪い魔女のフリしてサラさんを泣かせちゃった時ね!

 ……いや、まさか私もサラさんの言ってたエルフの同盟者の魔女が、私のお師匠こと若き日の大魔女グランドウィッチとは思わなかったって言うかあ……。

 その辺はレジェグラの設定資料集とかにも書いてなかったもんね(かろうじて絵師の描いたラフ画の横に「テミス」の名前があっただけだし)。




「……」

「(うっ、気まずい……)」




 な、何か言ってほしいなあ……!?

 女の子と2人きりの状況はこっちの世界に来てから一度や二度じゃないけど、さすがに元アラサーの私でも結構緊張するのよ!?

 ……そんな感じで、私が内心のキョドりを隠せないでいると。





「ディケー様。

 ……今一度、お手をよろしいでしょうか」

「う、うん……」




 サラさんに言われるがまま、私が右手を差し出すと。




「んっ……あっ」

「(ええーっ!?)」




 サラさんは私の右手を両手で包み込み、ゆっくりと自分の左頬へと添えた。

 最初は指先を頬に。

 指先の感触と体温を数秒を楽しんだ後。

 


「(えっ、ちょっ、さ、サラさん……っ!?)」



 なんと。

 私の指先をそのまま、頬の奥、エルフ特有のとがった耳へと導いてーーーー







『許せるものですか!

 エルフの耳に触れると言う事の意味が、お分かりになっておられないようですね!』


『……鋭敏な聴覚を手に入れたのと同時に、耳は非常に敏感な部位となり……エルフにとっては……せ、性感帯とも、なったのです』


『自身が認めた唯一無二の相手にしか、耳を触らせてはいけないのです!

 私は生まれて220年、ずっと自身の貞操と純潔を守り続けていたのに……こ、こんなコトで、よもやキズモノにされるとは……!』







 あ、あれだけガチギレしていた、触るのを嫌がっていたはずの、性感帯である耳に……サラさん自ら、私に触れさせてくれた……!?

 えっ、でも"自身が認めた唯一無二の相手にしか耳を触らせてはいけない"って……けど、私に正式に触らせてくれたってコトは……えっ、えーっ!?








「……私を玩具オモチャにしたくなった時は、

 いつでもいらしてください。

 ……サラは、ずっとお待ちしております。

 ディケー様」








 ぬわーっ!!!

 私に耳を触らせながら、恍惚とした表情カオでそんなコトを言うサラさんの言葉……どっかで聞き覚えがあると思ったら!





『……貴女はこれから私の玩具オモチャになるのよ、サラ。

 嬉しいでしょう? 嬉しいわよね?』





 そういや私、言ってたね! そんなコト!!

 ……今になって自分に返って来るとは!!!






****






「あ、母様! シフォンちゃん来たよ!!」

「お母様。

 今度は私がシフォンちゃんに黄金を食べさせてもいいですか?

 ……お母様?」

「えっ……? 

 あ、うん。勿論いいわよ、ユティ」

「……母様?

 どしたの? 何か、疲れてる?」

「ライア。大人には色々あるんだよ」

「???」




 なんやかんやあって。 

 サラさんとも、()()()()()()()()()()()()

 今回の旅を経てすっかり大人びたライアとユティと一緒に、私達はエルフの国を後にして、樹海の入り口まで戻って来た。

 エレナお嬢様の呪いを解呪したり、炎魔将アグバログを退治したり、今回の旅はなかなかヘビーだったわね……結局1週間以上も滞在しちゃったし。こいつはコトだわ。




「母様、おうちに帰ったら何がしたい?」

「そうねえ……とりあえず、お風呂かしらね。

 ……3人で入りましょうか」

「「さんせーい!!」」

「……2人とも、大好きよ」




 魔女の塔で、ライアとユティが"魔女見習い"として認められた時のように。

 バサバサとシフォンちゃんの翼が羽ばたく音を遠くに捉えながら、私はライアとユティを抱き寄せて、2人に頬擦りする。





「えへへ。母様~」

「お母様……ちょっと恥ずかしいです」

「まあまあ。誰も見てないんだから」





 相変わらず、暖かくてぷにぷにの、私の可愛い娘達の頬だった。

 と、










 ーーーあら、私のコトは好きではないのかしら?










「(……ええ。

 貴女のコトも大好きよ、ディケー)」



 内なる声に、私はそっと返事を返す。

 私の……いえ。

 私達の大魔女としての旅路は、まだこれから。

 ……だから、たまにでいいから。

 私がくじけそうになった時は、あの時みたいに叱り飛ばしてほしい。

 ……一緒に、この子達を見守ってほしい。







「帰りましょうか。私達のおうちへ」







 レジェンドオブグランディア、

 ゲーム本編開始まで、

 後13年。




【第1部・完】

第1部、完。

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