第548話 星をみるひと? いいえ、星の代理人!
「じゃあ、まず基本から♪
……ディケーお姉ちゃんは勇者について何処まで知ってるのかなあ?」
「ええと……。
聖剣『ソードオブグランディア』に選ばれた……星の代理人……みたいなモノ?」
ちょっとだけ、おすましモードに入ったちびシェリルは。
アイスティーの入ったティーカップに手を伸ばし、静かに口を付けつつ。
意味深に、にんまりと笑みを浮かべながら、横目で視線だけ私に送って、問うて来た。
ーーーなので、私は答えて曰く。
『"星の観測者"である魔女と違って、星の意思をダイレクトに受け取って、異界や異星からの外敵を退ける……この世界の勇者の概念って、そういうコトでしょう?」
レジェグラの設定資料集の記述からの受け売りだけど……開発陣からプレイヤー側に開示された勇者に関しての情報って、こんなモノなのよね。
「そうだね、まあそんな感じかな。
星は魔女や星妖精と言った、自らの意思で生み出した端末達の見聞きした情報から、自身に迫る危機を精査して、その都度、対応するんだけどお……」
バリッ、ボリッ……。
アイスティーに続いて、またもクッキーを頬張り。
ちびシェリルは私の隣で小さく、ほくそ笑む。
「たまーに、星の生態系をいちじるしく乱して、絶滅を招きかねないようなコトが起きるのよねえ。
それこそ深淵戦争みたいな、異界からの侵攻とかね?
……だから星は、今自身の地表で繁栄している種が滅びたりしないよう、滅びの予兆を感じたら、自ら安全装置を用意して対処するの」
「それが勇者……ってコト?」
「そう。聖剣は星の代理人である勇者の選定としての機能もあるけど、星と意思疎通するための通信装置でもあるんだあ。
まあ、基本はダンマリらしいんだけど♪」
なるほど……。
そ、そう言えば、レジェグラ本編でもステラちゃん(とアッシュくん)がピンチになると、何処からか声が聞こえて、その声に励まされて奮い立つ……みたいなコトが何度かストーリー中でも起きてた気がする……!
『お前の苦労をずっと見てたぞ。
本当によく頑張ったな』
……これとはちょっと違う気もするけど、大体こんな感じの台詞で!
神様的な存在の声かと思ってたけど……そっか、アレってば星からのメッセージだったのね……その辺は劇中でもボカされてて、ファンの間でも色々と議論されてたなあ……。
「(そーゆー情報はちゃんと開示しといてよ、レジェグラの開発陣もさあ〜!)」
レジェグラの設定担当のシナリオライター、井ノ頭敏之がSNSで炎上しちゃったせいで、毎週つぶやかれてたレジェグラの設定関連の情報公開がストップしちゃったのが痛すぎる!
元々かなり荒っぽい性格の人で、レジェグラの深夜アニメ化の企画が立ち上がった時のテレビ局のプロデューサーとの打ち合わせで「たかがシナリオライターが生意気なんだよ!」と言われたコトに激昂、両者ともに掴み合って殴る蹴るの乱闘になったのは、もはや伝説ね……(なお深夜アニメ化の企画は当然お流れになった)。
「ん、あれ?
じゃあ、聖女は?
聖女も勇者程じゃないけど、何十年に一度くらいの割合で現れてない?」
私の娘のライアも、聖庁の聖女護衛団に次世代の聖女としてスカウト……という名の連れ去りをやらかされそうになったコトがある。
レジェグラの本編でも聖女の子が仲間になってたけど……星の意思と関係があったりするのかしら?
「聖女は勇者のサポート役ってところかなあ。
いくら星に選ばれたと言っても、勇者ひとりでは立ち行かない事態だってあるでしょう?
そんな時のサポートメンバーを、予め星が用意しておく……そんな感じかなあ?
勇者が不在の時に、星の声を民に届ける代理人が聖女……そんなトコロねえ。
他にも、"星に導かれし運命"……みたいな、御大層な理由で、勇者を助ける仲間を用意したりする時もあるみたいだけど♪」
「(あー、それレジェグラの本編の劇中でも何度か聞いたコトあるわあ……)」
……なるほど、大体分かった気がする。
来たるべき危機に備えて、予め星も色々とお膳立てをしてるワケか……そもそも、観測が主な役目の魔女だけじゃ、星を守るのにも限界があるもんね……最終的には勇者で対処するってコトか。




