第541話 私が勇者少女を従者にできるワケないじゃん、ムリムリ!
ーーー正直、葛藤がないと言えば、嘘になる。
いや、だってねえ……アラフォー女が14歳の女の子をどうこうしようなんて、私の世界だったら犯罪ですよ、犯罪。
それがあと数年で勇者になって、世界を救おうって子をですよ? 今のうちに懐柔して
私に懐かせておこうなんて、そんな、そんなだいそれたコト……
「(アリなのでは……!?)」
ステラちゃんと共闘できれば、邪神だろうが邪教団だろうが、屁の河童ってもんですよ!!
共闘する過程でちょ〜っとくらい仲良くなってもバチは当たらないでしょうし、レジェグラ本編で天敵同士だった私達がタッグを組めば、鬼に金棒、ポパイにホウレン草っスよォ〜!!
「(いえ、焦っちゃダメ!
ただでさえ私ってば、ステラちゃんを贔屓目で見て接してるし、他の子からすれば『スターフォールさんばっかりスターレイム先生に話し掛けられて、ズルくない?』って感じで、いじめの対象になったら大変だし……飽くまでもさり気なく、ステラちゃんの心を掴まなきゃだわ……!)」
ステラちゃんが勇者として覚醒するまで、あと四年は猶予があるけれど……正直、待ってられない!
今のうちに鍛錬を施した状態で勇者として覚醒すれば、恐らくレジェグラ本編の時間軸のステラちゃん以上の戦闘力を得た状態に至れるはず……!
「(ステラちゃんが騎士から魔術師への道に転向してくれたのも、私からすれば好都合……騎士としての鍛錬はちょっと難しいけど、魔術師ならライアとユティに施した鍛錬のノウハウがある……!)」
ーーー上手く行けば、邪教団が邪神を召喚する前に壊滅できるかも!
……そうよね、邪神の召喚前に教団自体を叩き潰せば話は丸く収まるし、私もライアもユティも枕を高くして眠れるし……スターレイム一家の平穏のためにも、ステラちゃんを"こちら側"に引き込むのは必定……私達が生き残るためにも、必要なコトなんだわ!
「スターレイム先生、あんなに真剣な眼差しでマジフト部の練習を見つめていらっしゃるわ……!」
「や、やっぱり、公女殿下の侍女か護衛のスカウトなんじゃ……!?」
「いえ、冒険者へのスカウトだわ、絶対!
エリザ様の御実家のハルバード公爵家だって、かつては一介の冒険者から身を起こされたのですし……」
……ごめんね、違うんです!
「(ステラちゃんを私のモノにしちゃう覚悟ガンギマリで、見つめているだけなんですッ……!!)」
スターレイム先生は、推しキャラ相手だと手段を選ばずにグイグイ行っちゃう女ですので……勇者になるのが約束されてる女の子を自分のモノにしちゃおうと画策する、悪い魔女ムーヴをかましてやろうと目論んでるワケでえ……ぐへへ!
「(……決めた! 絶対ステラちゃんを私達の陣営に引き込むんだから!!)」
私達、スターレイム一家が絶対ハッピーエンドを迎えるためにも……ステラちゃんの心を射止めて……運命を変えてみせるわ!
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「……とは思ったもののぉ。
やっぱアラフォー女がイマドキの14歳の女の子と仲良くなるなんて、世代が違いすぎて何話せばいいのか全然分かんないのよォ〜!」
カッコよく決意したのもつかの間。
帰宅した私はリビングでテーブルに突っ伏して思い悩んでいた。
威勢よくステラちゃんの心を射止めると宣言したはずなのに……落ち着いて冷静になってみると、かなり無理難題を自分に課しているコトに気づいてしまった。
「(『小説家になっちゃおう』で連載されてる百合小説じゃないんだからさァ〜、そんな簡単に将来勇者になる子を私の恋人にできるかってのー! 年齢差を考えなさいよ、私ッ!!)」
当初はナタリア様やネリちゃんにやったように"魔女の瞳"で魅了する手も考えたものの……恐らく、もうステラちゃんの身体から出ていた魔力の奔流を見るに、対魅了耐性が身に付いてそうなのがね……ソロアちゃんを私の"魔女の従者"にした時みたいに、やっぱり直接唾液をステラちゃんの体内に流し込まないとダメっぽい……。
「(ソロアちゃんだって、魔術協会で大導師をやっていた、凄腕の魔術の使い手……そのソロアちゃんを私の従者にできたってコトは、ソロアちゃんの対魅了耐性を突破できた、ってコトよね……)」
……唾液の経口摂取、つまりはキスね!
うわぁ、絵面的に大丈夫……?
ガワは二十代前半に見えるディケーだけど、中身はまもなく四十代のアラフォー女なのですが!
とーーー私が「うがー!」と自問自答していると、
『おっ、大丈夫か大丈夫か?
また悩んでるみたいだね、ディケー』
「キラリちゃーん……」
私の使い魔、星妖精のキラリちゃんが、背中の羽をパタパタと羽ばたかせて、私の肩にちょこんとと座るのだった。
「実は、かくかくしかじかでえ……」
「なるほどぉ……たまげたなぁ。
てかディケー、公女様の次はそんな年下の子を従者にしちゃうの?
ディケーのコトだから何か事情があるんだろうけど……私や従者のみんなに供給する魔力、大丈夫?」
「うっ……」
そ、そう言えば最近、何か身体がだるいな、って思ってたのよね……魔女には生理も更年期障害もないから、単に仕事し過ぎて疲れたのかな、程度に思ってたけどお……えっ、これもしかして、従者を増やしすぎて、そのツケが身体に来てる……ってコト!?
『あんまり無理しないでね、マスター。
うりうり』
「ありがと、キラリちゃん。
……適度に頑張ります」
キラリちゃんに頬ずりされて、励まされつつ。
飽くまで無理をせず、ステラちゃんを私の従者にする計画を練るディケーさんなのでした……。




