第540話 「何が始まるんです?」「第三次大戦だ!」
「見て、スターレイム先生よ!」
「以前もマジフト部の練習を見学されに来ていましたわよね……」
「えっ、もしかしてスカウト……!?」
ーーー夕暮れ時を迎えた放課後。
私は前回のように、ステラちゃんが所属しているマジフト部の練習風景を、またも偶然を装って見学させてもらっていた。
同じく見学に来ていた周囲の女生徒達からは
「きっと、冒険者ギルドへのスカウト候補の子を見に来られたんだわ……」
「意外と公女殿下の侍女か護衛候補選びかも……」
「ライア様、ユティ様に次ぐ、三人目の養子を選ばれに来てたりして……?」
……なんて、ヒソヒソ話が漏れ聞こえて来るんだけども。
残念ながらディケーさん、そういう目的で見学に来ているのではないのです。
「(はー、ステラちゃん、体操服姿もやっぱり激カワだわあ……)」
すみません、単に推しの子を舐め回すように見学しに来ただけっていう……ね。
中等部時代のステラちゃんなんて、レジェグラの本編でも拝めませんでしたからね!
本編のステラちゃんは18歳だったし……まだ幼さの残る14歳のステラちゃんの姿は、とても貴重なのです、ええ。
「(顔ちっさくて、お目々パッチリで、スタイルが良くて、運動神経バツグンで……これは同性からもおモテになりますわー)」
ライアとユティも女の子達から結構モテるみたいだけど……(実際、ユティはデルタ家のイータお嬢様とお付き合いしてるし……)ステラちゃんも負けてない感じね、さすが!
「(それに……体幹を見るに、部活動とはいえ、もう戦う準備もほぼ出来てる……)」
騎士から魔術師へと進路を変えたからと言って、それまでの積み重ねは決して無駄にならない。
ステラちゃんのあの流れるような無駄のない動き……冒険者として即戦力になりうるモノを感じる!
他の生徒に比べても魔力の流れと移動も緩やか且つスピーディで、場馴れしてるのは一目瞭然!!
「(ライアとユティが"魔女になるべくして生まれた少女"なら……ステラちゃんは"勇者になるべくして生まれた少女"ね……星に愛された、天賦の才の持ち主……!)」
星は時として"星の観測者"たる魔女とは別の存在を意図的に生み出して、生態系のバランスを守護させる……ってハナシだけれど、ステラちゃんの勇者職がまさにそれなんだわ、本人はまだ無自覚なんでしょうけれど……。
「(うー、私が鍛えてあげたい!
ライアとユティだって、短期間で魔術学校に通うお嬢様達に負けない実力を身につけたんだもの……ステラちゃんなら、まだまだ伸び代ありまくりで、すごいコトになるんじゃ……!?)」
邪教団をこのまま野放しにしておけば、四年後に邪神が召喚されて、世界が大変なコトになってしまう……ステラちゃんの力が否応なく必要とされる混沌の時代が、間違いなくやって来る!
『何が始まるんです?』
『第三次大戦だ!』
って、シュワちゃん主演映画の「コマンドー」でもカービー将軍が言ってたもんね。
邪教団は今はまだ表立って活動はしていないみたいだけど……このまま野放しにしておけば、四年後……いえ、下手したらもっと早く、邪神を召喚するかもしれない。
そしたらもう第三次大戦どころの騒ぎじゃない、第三次スーパー異世界大戦だわよ!
「(勇者として選ばれるステラちゃんと共闘できれば、邪神や邪教団とのドンパチの勝率は格段に上がる……!)」
……なのでまあ。
ステラちゃんへの下心と打算も込みで、ディケーさんはステラちゃんと今のうちに仲良くなっておきたいのです、ええ! ぐへへ……。
「(問題は、私とステラちゃんが接触するコトで、今後の時間軸的にどう影響するか……よね)」
本来のステラちゃんは首都のトワシンで今も騎士の修行をしていたはずだったんだけど……何やかんやあって、騎士から魔術師に転向して、キンドラー魔術学校に編入してきて……そして、宿敵であるはずの私と出会ってしまった……もう、この時点でレジェグラ本編の時間軸からすれば、イレギュラーな展開なのよね。
ストーリー上、何度も戦ったライアとユティとも同級生になっちゃったし……。
「(ん……あれ?
じゃ、じゃあ……かなり極端なハナシにはなるけどお……)」
ーーー私が、ステラちゃん(14)を今のうちに美味しくいただいちゃう展開もアリ……ってコト!?
……来年でステラちゃんも成人だし、アリ寄りのアリね!!
「(ぐへへ……ぐへへへ……!)」
や、やばい!
思わず、弱った女騎士を捕まえた時のオスのオークみたいな声が出ちゃったじゃんね!




