第537話 宮中への潜入捜査! スターレイム一家、結束!!
「……つまり、その邪教団とやらについて探ればいいのね?」
「はい……。
でも、無理に口にするとナタリア様の命も危ないですから……それとなーく、聞いてください。
邪教団のじゃの字も出しちゃダメですよ?
それとなーく、且つ、さり気ない感じで」
「注文が多いわね」
ーーーナタリア様に詰められた結果。
大公家の宮中にて、邪神召喚を目論む邪教団の一味が暗躍しているかもしれないコトを伝えた。
「(……とは言え、まだ確証はない)」
ナタリア様を危険な目にはあわせられないし、できればスパイのような真似はしてほしくない……でも、私を想ってくれているナタリア様の気持ちも無下にはできない……。
「(深追いはせず、飽くまでも与太話や噂話を少し聞きかじる程度でいい……)」
……もう十年近く前になるけれど、星妖精のキラリちゃんが捕まっていたヴィーナ近郊で開催されていた闇オークションについてのタレコミも、ナタリア様が知り合いの商人から仕入れた情報だった。
"蛇の道は蛇"って言うし……ナタリア様の商家のお嬢様としての情報収集能力と、トーク力を信じるしかないわね……。
「貴族連合の中には、ハルバード公爵家のマリー様やデサロの総督閣下も居ますので……ナタリア様が孤立しないよう、私からもお二人にお願いしておきます。
……でも、無理はしないでくださいね?」
「信用ないのね、私って」
「いや、だってねえ……」
それこそ、キラリちゃんが捕まっていた闇オークションの時も、
『ヴィーナの領主夫人の私が自ら、悪党どもをひっ捕らえてやるわ!』
と意気込んで、"謎の貴婦人ナタリー"に変装して、オークション会場に乗り込むつもりだったみたいでえ……(しかも私をメイドに変装させて、護衛として同行させる気満々だった件……)。
シェリルがブランディルから雪原竜に乗ってヴィーナに現れた時も、
『さっきから騒々しいわね。
ディケー、これは一体何の騒ぎなの!?
そこの女は誰!?
我がヴィーナの領空を侵犯したばかりか、
白昼堂々、領主の屋敷の目の前にこんなでっかいドラゴンで降り立つなんて……無礼にも程があるわよ!!』
……って、一ミリも空気を読まずにシェリルに怒鳴り散らしたりね……(ナタリア様はあんまり魔術の才能がないのも手伝って、シェリルの身体から出ていた暗霊とした負の魔力に気づかなかったのね)。
「信じなさいよ、そこは。
私だって邪教団なんてワケの分からない連中相手に関わるのはゴメンだし、飽くまでも"そういう話が聞けたらな"程度の期待値でいて」
「……ホントに無理しないでね、ナタリア」
「……ええ。ディケーは心配性ね」
いつもは自信満々なナタリア様だけれど……さすがに今回は少し元気がない感じがする。
十年近く一緒の時間を過ごせば、さすがに私でもそれくらいは分かるってもんです。
「ーーー私の従者を信じてるから」
部屋の中でしばし抱き合いつつ。
私は、ナタリア様の無事を祈らずにはいられなかった。
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「……というワケなのよ」
「はー、邪神の召喚を目論む邪教団……ですか」
「そ、そんな物騒な存在が、宮中に……?」
『何だ、それは……たまげたなぁ』
帰宅後。
夕食を食べ終えた私は、キャルさん、ソロアちゃん、キラリちゃんに、ナタリア様の邪教団についてのスパイ任務について説明をしていた。
今まで隠していて申し訳ない気持ちはもちろんあるんだけど……極力、みんなを巻き込みたくなかった、それだけは分かってほしかったのね……。
「黙っててごめんね……」
「いえ、そんな!
まだ実態が掴めていない段階ですし、ディケーさんが気に病むコトではないですよ」
「わ、私達に被害が及ばないよう、気遣ってくださっていたワケですし……キャルさんの仰られる通りかと、マスター」
『これくらいじゃ、スターレイム一家の結束は揺るがないじゃんねー』
「うぅ、優しい……」
……キャルさんもソロアちゃんもキラリちゃんも、やっぱ最高の家族だわー!
「ソロアさん、大導師時代に邪教団が公国の中枢に存在している、という噂などはあったのですか?」
「い、いえ……それらしき報告は何も……。
少なくとも、私が魔術協会を去った後に、秘密裏に創設されたのではないかと……。
貴族連合の会議には現魔術協会筆頭役員のマリーさんも参加しておられますが、アーメリアでも最強格の魔術師である彼女の目をも欺いているとなると……かなり高度な魔道具か術式で、認識を歪めて、違和感を感じさせないようにしているのかと……」
『チョー強力な認識阻害で身バレを防いでいる……ってコト?』
「恐らくは……。
す、すごく、厄介です……」
『やりますねぇ』
キャルさん、ソロアちゃん、キラリちゃん……三人とも、私が打ち明けてからすぐにも邪教団の動向について話し合ってくれている。
……一人で抱え込むより、やっぱりみんなで考えた方が、気持ちは楽になるのねえ。
『にしても、ナタリアが潜入捜査か……大丈夫かな?』
『お城には護衛も一緒に連れて入れるの。
……私が一緒に行くと警戒されるかもだから、クロアちゃんにナタリア様の護衛をお願いしようかな、って」
『あ、クロアなら適任だよね』
ーーー邪教団のメンバーが貴族連合の中に居たとしても、クロアちゃんなら十分対応可能なはず……!
元大導師のソロアちゃんにそっくりってコトも手伝って、クロアちゃんが傍にいれば、おいそれとナタリア様に手出しはできないでしょうし……ね。




