第517話 シ◯ミ子もれ◯子も悪くないよ ディケ子が悪いんだよ
「ーーー爵位と領地を得たそうですね」
「え……は、はい……」
さあ、キンドラー魔術学校で、いよいよレジェグラの主人公ステラちゃんと御対面!
……と、私が意気込んでいた最中に。
魔術学校で特別講義をやるからには、ちゃんと教える内容を吟味しとかなきゃ駄目よね、と……久々にディケーの姉弟子であるソフィー姉様に教えを仰ごうと、魔女の総本山である"魔女の塔"を訪ねたトコロ。
ーーー会って早々に何だか、雲行きが怪しくなって来たような?
「"星の観測者"たる魔女が冒険者をやるまでならまだしも、爵位や領地など得て、一体どうしようというのですか?
……ディケー、俗世にまみれるとロクなコトにはなりませんよ」
ーーー恥を知れ、俗物!(CV:榊原良子)
……とまでは言われなかったものの。
ソフィー姉様が眉をひそめている辺り、あんまり快く思ってないのは確かみたい。
魔女の方から人の営みに介入するのは、よくないって言いたいのでしょうけど……。
「(こっちとしても邪教団のシッポを掴まなきゃだし……背に腹は代えられないのよ、姉様!)」
ーーー理詰めで説明すれば、ソフィー姉様は理解ってくれる人だ。
なので、まずはどうして私がそんな状況に甘んじているかを説明する必要があった。
そこで私が取り出したのは、
「ミア姉様からの手紙です。
これを読んでもらえれば、ソフィー姉様にも私の事情がある程度は分かっていただけるかと……」
「ふむ……」
まだ少し訝しげな表情ながら。
手紙に僅かに残ったミア姉様の魔力の残滓を感じ取ったのか……ソフィー姉様は、そのまま何も言わず、私の取り出した手紙を受け取り、読み始めた。
ーーーそして、小一時間が経ち、
「……なるほど。
ミアの手紙の内容が確かならば、今現在アーメリア公国内には邪神の召喚を目論む一派……邪教団なる者達が存在している。
その調査のために、貴女は爵位を得て、公国の中枢の内偵を行っている……そういうコトですか、ディケー」
「は、はい。
既にミア姉様も独自に動かれてはいますが……異星や異界の邪神と聞いて、私も居ても立ってもいられず……やむを得ず、公国内に潜入するため、越境騎士の爵位を得た次第です」
……これに関しては、半分は本当だった。
星の行く末を見守るため、星に生み出された魔女は、異星や異界からの侵略者や外来種には特に過敏になり、"星の守護者"としての側面が強くなる。
私達で星を守護らねば……という気持ちが強くなるのね。
私にとっても、本来は忌避していた首都に近づくコトには抵抗があったけれど……もうレジェグラの本来の時間軸が開始されるまで四年しかないし、やれるコトをやっておきたかった。
「(実際、公女殿下お気に入りの越境騎士ってコトで、結構首都でも顔が利くようになったし……)」
上手く行けば、邪神を召喚される前に邪教団を壊滅できるかもしれない。そうなれば万々歳、私もライアもユティも、枕を高くして眠れるってワケですよー!
……今のところ、まだ手がかりらしいものは掴めてないんだけども。
「……いいでしょう、ディケー。
貴女が俗世にまみれていないコトは分かりました」
「分かっていただけました?」
あー、よかった。
ソフィー姉様、お説教始まると長いから、今日は早めに切り上げてくれそうじゃないの。
……ところが。
ソフィー姉様は続けて曰く、
「……で、それとは別として。
……既に六人も従者が居るのに、七人目の従者を新たに作ったそうですね?
……しかも、相手はアーメリア公国の第一公女だとか。
それも邪教団の内偵に必要なコトなのですか、ディケー?」
「 !? 」
私がメアリ様を従者にしたコトも、筒抜けだった件!
な、何だろう、ソフィー姉様の私を見る目……まるで「この浮気者……」とでも訴えているかのような凄味があるッ……!




