第513話 公女殿下とドキドキの姉妹契約!
「わ、私が、メアリ様のお姉様……ですかっ!?」
「ええ! ダメかしら?」
「う、うーん……」
ーーーアーメリア公国の第一公女、メアリ様とのお忍びデートの最中。
噴水の縁に腰掛けて、アイスクリームを一緒にペロペロと舐めていたトコロ……急にメアリ様が距離を詰めて来たかと思えば。
わ、私に、お姉様になってほしい……ですってーっ!?
「(いやまあ学生時代、先輩や年上のお姉さん達から何度か『私の妹にならない……?』って、真顔で言われたコトはあったけど……あ、姉になってほしいって言われたのは、初めてかも……!?)」
当時は私も若かったし、お姉さん達からも単にからかわれてただけって思い込んでたけど……メアリ様の表情は真剣そのものだし……えっ、これガチなヤツですかぁっ!?
……ってか、あの先輩やお姉さん達も実はガチだったってオチ!? マジか!
『(で、でも、二人きりの時とは言え、一国のお姫様のお姉様になっちゃっていいの!? 私なんかがさあ!?)」
下手をすると、悪い魔女がお姫様をたぶらかして国家転覆を企んでいる……みたいな、あらぬ誤解を持たれるのでは……!?
「(そ、そうなったら、ヒジョーにマズいわ!)」
メアリ様には大変申し訳ないけれど……こ、ここは、やんわりとお断りするのが正解よね?
……と言うか、
「あ、あの、メアリ様?
私などより、マリー様……ハルバード公爵夫人の方が、メアリ様のお姉様にふさわしいかと存じますが……」
ーーー私より、マリー様の方が絶対適役ですって!
公爵家の奥様だし、子供産んでるから母性と包容力もたっぷりあるし!
しかして、メアリ様の反応はと言うと、
「ハルバード公爵夫人?
……そうねえ、確かに魅力的な女性だわ。
でも彼女はどちらかと言うと……お姉様って言うよりはお母様って感じだし……まあ、それはそれで捨てがたいのだけれど♪」
「(うっ、仰る通りです……)」
マリー様の包み込むような、圧倒的な母性ッ!
……でもメアリ様が求めるのは、姉性だったか……!!
「(私もマリー様と二人きりになると『ママぁ……』って、身体が勝手に甘えモードになっちゃいますからね……おっそろしいわあ……)」
……マリー様にお姉様役をお願いする作戦は、無理そうね!
「ね、ディケー。お願いよ。
二人きりの時だけでいいの。
二年前、私を恐ろしい夢魔から救ってくれた貴女以上に、私のお姉様にふさわしい女性は居ないわ!
……たった一言でいいの。
『私のお姉様になる』って、言ってくれさえすれば……」
「おぉう……」
メアリ様はそう言うと、私の腕に自身の腕をギュッと回して、肩に頭を乗せ、楽しそうに甘えて来るのだった。
な、何だか、初代ウ◯トラマンに出て来た、某メフ◯ラス星人みたいなコト言ってるわね……。
「(……ま、まあ、認識阻害の術式さえかけてれば、私達のコトを気にする人達も居ないでしょうし……)」
フライデーとかセンテンススプリングっぽいブン屋に嗅ぎつかれるコトもないかあ……。
「で、では……二人きりの時だけですよ?」
「わー、やったー!」
ーーーあまりにメアリ様が純粋な瞳でうるうると上目遣いで見つめて来るものだから。
とうとう私は折れ、姉役を引き受けてしまうのだった……これ、大丈夫かなあ……ごっことは言え、相手は大公家のお姫様なんだし……。
「ふふ、お姉様、私だけのお姉様っ♪」
「は、はい……何ですか、メアリ様?」
承諾するや、今度は肩から私の胸に頬擦りして、メアリ様が甘えて来る。
周囲の人達から気づかれないのをいいコトに、お忍びの第一公女であるのも忘れて、甘えたい放題! ……もしかして、これが素のメアリ様だったりするのかしら?
……なんて、私が思っていると。
「もう、違うよ?
ディケーはお姉様で、私は妹なんだから。
妹を様付けする姉なんて居ないんだよ?
……私のコトはメアリって呼んで」
「ええっ……」
そ、それって……だいぶ不敬なのでは!?
だ、誰も聞いていないとは言え……。
「ほらほら、お姉様。
呼んで、呼んで。メアリって呼んで♪」
「う、うーん……」
アイスクリーム片手に無邪気に微笑むメアリ様。
……まあ、本人がこう仰ってるワケだし。
確かに誰も見てないし……メアリ様だって、たまにはハメ外したいでしょうし……ま、いっかあ。
……よし、お望みとあらば!
「メアリーーーあまり、私を困らせないで。
お姉様の言うコトが聞けないの?」
「〜〜〜ッ!?」
ーーー久々にかますか。
ディケー本来の暗黒面……悪い魔女ムーヴ……!!!




