第505話 炎魔将アグバログの置き土産!?
「(な、な、何で……!?
どうしてレジェグラの主人公のステラちゃんが、キンドラー魔術学校に居るの……!?
い、今はお母さんと一緒に首都に住んでて、騎士学校に通ってるんじゃないの!?)」
ーーー風雲急を告げる展開!
私が二年前までアーメリア公国の首都トワシンに近づくのを忌避していた最大の要因……それはレジェグラーーーレジェンドオブグランディアの主人公に、うっかり遭遇してしまわないようにするためだった。
幸い、この二年間は遭遇せずに済んでいたけれど……よ、よもや、首都じゃなくて、よりにもよって、私の娘達の通うキンドラー魔術学校に編入していたなんて!
「(男主人公のアッシュ君か、女主人公のステラちゃん……この世界だと、果たしてどっちなんだろうって、ずっと思ってたけど……す、ステラちゃんの方だったかー!!!)」
他のヒロイン達を差し置いて、いつも新規イラストのアクスタやらアクキーやらが公式通販やら企業コラボの度に発売されるくらい、ステラちゃんは大人気だったからね!
中の人……って言うか、声優さんがフツーに歌が上手いのもあって、キャラソンなんかも何枚も発売されたりしてさ……。
「(しかもライアとユティと同い年だから、ステラちゃんも今現在14歳……うわあ、絶対メチャクチャ可愛いじゃないの、それ!)」
ステラちゃん、本来なら今頃は首都の騎士学校に通ってたはずなのが……この時間軸だとキンドラー魔術学校の生徒なワケでしょ?
えっ、キンドラーの制服姿のステラちゃんが、この世界に存在している……ってコト!?
「(そ、そんなの、レジェグラのキャラデザ担当の人ですら見たコトない、超激レアショットじゃん!!!)」
……や、やばい、メチャクチャ写真に撮りたい!
現像した画像からアクスタとかポストカードとかオリジナルで作りたいですやんか!!
他にもいっぱい……って、そうじゃなくてっ!
……ま、まずは、ステラちゃんに関しての情報が最優先事項だわ!!!
「そ、ソロアちゃん!
そのステラちゃ……スターフォールさんに関する資料とか、持ち出せない!?
私、その子に興味があるの、すっごく!!!」
「ひああぁあぁ……っ!?
ま、ますたぁ、お、落ち着いてくださいぃいっ!?」
ーーー気がつけば。
私は身を乗り出して、ソロアちゃんの両肩をガッチリと掴んで、野外ロックフェスでノリに乗ってるロッカー並に、頭を前後に激しく揺さぶってしまっていた。
「ねっ、ソロアちゃんなら出来るわよねっ!? ねっ、ねっ!?」
「あばばばばばばばばばっ!?」
私らしからぬ突然の発作的行動に、目を白黒させるソロアちゃん。
しかして、
「む、むむっ、無理ですよぉ!?
生徒さんの個人情報は学外に持ち出し禁止ですし……。
そ、それに、いくら私の御主人様とはいえ……ま、マスターは学校の部外者ですし……」
「うっ……!?」
そ、そうよね……冷静に考えれば、確かにその通りだわ。
……それにソロアちゃんに、そんなスパイみたいなコトさせられないもの。
「(急にあんなコト言い出して、慌てすぎでしょ、私……!)」
……出来ればソロアちゃんを通して、ステラちゃんのこれまでの経歴が知りたかったんだけど、断念せざるを得ない。
「ご、ごめんね、ソロアちゃん……。
急に変なコト言っちゃって……」
「い、いえ……」
……でも、断片的な情報でもいいから何とかして、ステラちゃんが何故キンドラー魔術学校に編入して来たのか……それだけでも知っておきたい!
「(私やライア、ユティの今後を左右する重要な情報……これだけは何としても!)」
もしかしたら、この世界の今後の分岐点になりかねないモノだわ!
……私はソロアちゃんに、話せる範囲でいいからと前置きをして、ステラちゃんに関して何か他に見聞きしたコトはないかと、それとなく尋ねてみた。
すると、
「ええと……。
た、確か、おばあちゃんのお世話をするために、何年か前に首都からヴィーナ自治領に単身で引っ越して来た……と。
そう言っていたような……」
「おばあちゃん?」
……そっか!
そう言えば、ステラちゃん(とアッシュ君)には地方の村に住んでる、おばあちゃんが居たんだっけ!
レジェグラの本編でも描写こそないけど、
『この前、おばあちゃんの家に久々に〜』
『これ、おばあちゃんが私に送ってくれた〜』
『おばあちゃんが言っていたーーー』(天を指差しながら)
って、事あるごとにおばあちゃんの話をしていたっけ!
えっ、ステラちゃんのおばあちゃんが重要なキーパーソンだったりするの……!?
「ま、マスターは覚えておられませんか?
もう10年近く前になりますが……アーメリア全土で、大きな地鳴りがあったじゃないですか。
そ、その時の揺れで、スターフォールさんのおばあちゃんのおうちも被災してしまったそうで……おばあちゃんのお世話をしている内に、騎士よりも魔術師として人助けがしたいと思うようになった……と、そう聞きました……」
「大きな地鳴り……?」
10年近く前……アーメリア全土で……。
……ま、まさか!?
『……ユ、許サンゾ。
コノ炎魔将ガ、コノママデ……オ、終ワレルモノカ……。
コウナレバ、コノ大陸ゴト何モカモ燃ヤシ尽クシテヤル……!
コ、今後二度ト、コノ地二住マウエルフ共モ、ソシテ魔女共モ、サ、栄エラレヌヨウニナァ……ッ!!!!』
『(ッ……高魔力反応ッ!!!!
ま、まさか、自爆する気……!?)』
わ、私が南の樹海で、炎魔将アグバログと戦った時……追い詰められて臨界状態になったアグバログが、大陸ごと自爆しようとした時に起こした……あ、あの時の地鳴りのコト……!?




