第503話 スターレイム一家のピンチ!? あの子が噂の編入生!
『ーーーそう言えばさ。
ライアとユティは自分達以外に「あ、この子は結構強そうだな」って思った生徒とか、いないの?』
食後のお茶を飲みながら、レジャーシートの上でリラックスしていたソロア達。
ふと、ソロアの膝の上に座っていた星妖精のキラリが、ライアとユティに徐に尋ねると。
「んー、私はやっぱりエリザかなー。
ずっと同室で毎日鍛錬して努力するトコロ見てたし、純粋な魔力の総量だけで判断すれば、私やユティと大差ないし、さすがハルバード家の次期当主って感じあるよ。
お母様のマリー様もメッチャ強いしね」
と、ライア。
やはりエリザの実力は魔女の娘の視点から見ても、相当のモノであるコトがうかがえる。
そもそもエリザの母のマリーからして、かつてのレギエス帝国との大戦における"英雄魔術師"の通り名で呼ばれる歴戦の猛者、娘のエリザもその血を色濃く継いでいるのは当然と言えた。
「私はーーーエリザもだが、もう一人、気になっている子がいる」
紙コップの中のお茶を飲み干したユティが、ライア、ソロア、キラリの顔を見渡しつつ、神妙な面持ちで告げる。
「ーーー編入生のステラ・スターフォールさん。
前に体育の授業で一緒になったんだけど……あの子、かなり強いぞ」
「ステラ……?」
ユティの口から出た人物に心当たりがないのか、ライアは首を傾げる。
どうやらライアとは接点のない子のようであった。だがソロアは、
「ああ、スターフォールさんですか……。
あ、あの子はイイですね、すごくイイ。
ライアさんとユティさん、エリザさんに勝るとも劣らないです……私も久々に才能の原石のような子に会えた気がします……うひひ」
非常勤講師として中等部の授業を担当しているだけあり、ステラのコトをよく知っているようであった。
頭から生えた猫耳を左右に動かし、興奮気味に語っている姿からして、どうやらステラの実力は本物らしい。
『魔術協会で大導師だったソロアがそこまでベタ褒めするってコトは、どうやらマジみたいだねえ。すごいね、その子』
「へー、ステラちゃん、っていうのかあ」
ライアも、どうやらまだ見ぬ未知なる実力者が気になる様子。
だが、ユティはーーー
「(何だろう……確かにスターフォールさんは気になる存在ではあるけれど……何か、何かが引っかかる。
漠然とし過ぎていて、何に引っかかるのか、上手く言語化できないけど……)」
ーーーよもやユティも、たまたま体育の時間に目にした実力者である、同学年の編入生が……本来の時間軸を辿った歴史であるならば。
この数年後……自分とライア、そして母ディケーを滅ぼすコトになる存在だとは、夢にも思わなかったのであった。
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「でぃけたん、一緒にお昼寝しよっ♪」
「レムリアちゃん。
……また私のおっぱいを枕かわりにするつもりでしょ?」
「えへへ。だって、ふわふわで気持ちいいんだもん♪」
「私は結構重いんですけどね!?」
昼食後。
私と一緒に食事が出来たのがうれしかったのか、レムリアちゃんは上機嫌だった。
お昼の食事の後のレムリアちゃんは一時間くらい、お昼寝するのが慣例なんだけど……私の胸を枕代わりにするのは、ちょっとなあ……。
「あら、じゃあ私も一緒に昼寝しようかしら。
朝から鉄道の開通記念式典の打ち合わせで、ちょっと疲れてしまったわ」
「わー、母様もいっしょだー!」
「くっ、親子揃って私の体を弄ぶ算段かッ……!」
ナタリア様はナタリア様で、私の腕に自分の腕をガシッと回したが最後、スッポンみたいになかなか離してくれないのがね……。
おっぱいも押し付けて来るし……(隣で娘が寝てるんだから、自重せいと念話で注意しても、寝ぼけたフリして聞いてくれない)。
「(レムリアちゃんのお昼寝に付き合うと称して、合法的に私とイチャつくつもりなんだわ……考えたわね……)」
傍から見れば、護衛の私がナタリア様とレムリアちゃん親子のお昼寝に付き合わされてるだけにしか見えないものね!
「ほら、私の部屋に行くわよ、レムリア、ディケー。
少し眠って、英気を養わなきゃ」
「はーい♪」
「(拒否権はなさそう……)」
ーーー結局。
その日は夕方の手前くらいまで、ナタリア様とレムリアちゃんと一緒になって、ナタリア様の部屋のベッドで川の字になって昼寝に付き合わされた、ディケーさんなのでした……。
「(そう言えば、ライアとユティはお昼のお弁当、ちゃんと食べてくれたかしら……?)」
ーーー私の胸に頬擦りしながら寝息を立てるレムリアちゃんを見て、ソロアちゃんに持たせたお弁当を二人が食べてくれたかどうかを、ちょっと気にしながら。




