第495話 異世界カレーと、燃えるスターレイム一家
『じゃーねー、母様! おやすみー』
『おやすみなさいませ、お母様。
……改めて。爵位授与、おめでとうございます』
「ライアもユティも、ありがとね。
おやすみなさい」
首都トワシンからヴィーナに戻った私は。
今夜はナタリア様のお屋敷に一泊するコトになって、夕食にカレーをお腹いっぱい食べた後。
愛しの娘達、ライアとユティの二人とウィッチベルで爵位授与のお祝い込みで少しお喋りして、おやすみの挨拶を告げて通話を切った(二人とも夜九時までに寮の部屋に戻らないと怒られちゃうから……)。
「(でも持つべきモノは、可愛い娘達よねえ……)」
本当は昨夜の時点で私に連絡しようと思ってたらしいんだけど、授与式や晩餐会で疲れてるだろうと思って、気を利かせて今夜に後回しにしてくれたみたいで……。
「(まあ、ライアは分かんないけど……ユティは完全に私とナタリア様の関係知ってるわね、これは……)」
ユティは昔から察しのいい子だったから……。
……まさかだけど、いつだったか、キンドラー魔術学校にナタリア様と一緒に馬車で迎えに行った時、ナタリア様とキスしてたの見られちゃったのかもね。
閑話休題。
「(はー、それにしてもカレー美味しかったー)」
私の世界だとイギリスのヴィクトリア女王が毎日のようにカレーを食べてたなんて話があるくらい、王侯貴族にも浸透してたみたいなのよね、カレー。
「(もちろん、こっちの世界でもカレーは庶民から貴族にまで浸透済みです!)」
ーーーこの世界、レギエス帝国がイギリスっぽくて、そのレギエスから独立して建国されたアーメリア公国がアメリカっぽい感じだし……多分、ルーツ的にはレギエスから伝わったのかもね、こっちのカレーは……。
「(久々のカレーで、ディケーさんもお腹いっぱいですよ……)」
巨猪のシシ肉カレー、暴野牛のビーフカレー、巨鳥のチキンカレーと、バリエーションも豊富で……残ったのを少し持って帰らせてもらえるコトになったのは僥倖だったわあ……("魔女の工房"に入れておけば、ウェルシュ菌やらが発生したりするコトもないでしょうし)。
「(私の世界の……と言うか、日本のカレーとは少し違うけど、それはそれでいいのよね……辛さもそこそこあるし、野菜もゴロゴロだし?)」
ククレジャ(※)に「ボンカレーとククレカレー、どっちが好き?」と聞いたら、間違いなく「ククレじゃ!」と答えるんでしょうけど……ディケーさん的には「どっちも美味しいし、どっちもいいよね!」ってコトで……。
※スペイン代表のサッカー選手
「あ、マスター」
『サロンに居たんだね、ディケー』
とーーーお屋敷のサロンで子供達との通話を終えて、私がまったりしていると。
お風呂から上がった、湯上がり姿のソロアちゃんとキラリちゃんが、サロンに顔を覗かせた。
何かもう、二人とも勝手知ってる他人の家って感じで、すっかり御領主様のお屋敷に馴染んじゃってるわね……。
「二人とも、お風呂から出たのね」
「はい……いいお湯でした……。
ナタリアお姉様のお屋敷は、お風呂が大きくて、広くて、私、好きです……とても落ち着きます……」
「ふふ、ならウチのお風呂も今度おっきく増改築しちゃおうかしら?
領地経営でお金が出たら、それを使ってさ」
『風呂場がデカ過ぎます!
……ってヤツだね、ディケー』
「ま、多少はね?」
将来的にお風呂場だけじゃなく、家全体の増改築はやりたいなって思ってたし……タイミングとしてはベストかもしれない。
キャルさんとのシェアハウスの件もあるしね……もしかすると子供達もキンドラー魔術学校を卒業した後、実家住まいを希望するかもだし(もちろん私はウェルカム!)。
「(日本だと実家住まいの人をバカにする傾向があるけど……)」
私から言わせれば、家族が一緒に住むコトの何が悪いの? って感じなのよね。仲が良いのは素晴らしいコトだわ。
「(ライアとユティは魔術学校での寮生活が長いし……あまり一緒に過ごせてなかった分、今後は一緒に居てあげたい……)」
……今更だけど、私は二人にとって、あんまり良い母親じゃないからね。
従者とか言って、女の子を何人も恋人にしちゃうような女が母親って、どーなの? って自分でもちょっと思うし。
ーーーまあでも、
「せっかく爵位と領地をもらえたコトだし、有効に活用していかなきゃね。
……スターレイム一家、ファイヤー!」
『ファイヤー!』
「ふぁ、ふぁいやー……」
私と、キラリちゃんと、ソロアちゃん。
サロンに、三者三様のスターレイムの女達の声が響くのだった。
……夜に騒がしくてスミマセン。




