第494話 魔女と領主夫人の凱旋!
「ま、マスター、おかえりなさい!
爵位と領地の授与、お、おめでとうございます……」
「ありがとね、ソロアちゃん」
ーーーナタリア様と首都トワシンのホテルで一泊した後。
鉄道に揺られるコト、約半日……私達はヴィーナに戻って来た。
御領主様のお屋敷に戻ると、早速ソロアちゃん達のお出迎え。
たった一日留守にしていただけなのに、何だか随分と離れていたような……そんな錯覚を覚えてしまう。
『おかえり、ディケー。
はあ……ついにディケーも貴族の仲間入りかあ……壊れるなあ』
「あはは。
何も壊さないわよ、キラリちゃん」
星妖精のキラリちゃんも、いつものように背中の羽根でパタパタと宙を舞って、私の肩に乗ると。
ほっぺたに頬擦りして、おかえりの挨拶をして来るのだった。
「(今回は首都でキラリちゃんの仲間の星妖精の情報は掴めなかったわね……)」
まあでも、また何度も行くコトになるでしょうし……地道に探してあげるしかないわね。
私がキラリちゃんを仮契約とは言え、使い魔にしてると知れたら、また闇オークションをやってたような連中に嗅ぎつかれても厄介だし……。
と、私がキラリちゃんからの頬擦りマサチューセッツでの歓迎を受けていると、
「よう、マスター。
首都から戻ったんだな」
「でぃけた! おかえり!」
「クロアちゃん、レムリアちゃん。
ただいま」
ナタリア様の一人娘、レムリアちゃんを抱っこしたクロアちゃんが、玄関先が賑やかになっているのに気づいて、廊下の奥からやって来た。
まあもう、ヴィーナの駅に着いた時点でクロアちゃんなら私の魔力を感知して、出迎えの準備をしてたんでしょうけどね……。
「ナタリアの姐さんもおかえり」
「ははさま! おかえり!!」
「ええ、ただいま。クロア、レムリア」
ーーー私の隣で一部始終を見ていたナタリア様は、そう言うと一歩踏み出し、クロアちゃんからレムリアちゃんの抱っこを代わると。
「留守にしてごめんなさいね、レムリア。
……寂しくはなかったかしら?」
「だいじょぶ! へーきだった!
くろも、そろも、きらきらも、ちちさまもいたから!」
「そう。なら良かった」
……おお。
ナタリア様が、ちゃんと母親やってる。
レムリアちゃんを気遣って、寂しい思いをさせちゃったんじゃないかって心配したりも出来るようになったのねえ、ナタリア様も……いやはや。
忘れがちだけど、ナタリア様とも異世界ママ友ですからね、私!
「(昨夜、ベッドの上で私とねっとり絡み合ってたようには見えないわねえ……)」
ーーーさすがに夕方には首都からヴィーナに戻るコトは決まっていたので、お互いに「身体にキスマークは付けない」のを条件として……まあ、何というか……私の爵位と領地授与を祝して、アツい爆アドな夜を過ごしたっていうかあ……。
閑話休題。
「……と言うか、さっきから厨房の方から良い匂いがしてるわね? これって……」
「お、さすがマスター。鼻が利くな。
市場でニンジンやらジャガイモやらタマネギがちょいと安かったから、料理長に頼んでカレー作ってもらってるんだよ」
「ま、マスター、カレーお好きでしたよね……?」
「ええ、大好きよ」
ウチの実家の喫茶店でもカレー出してたからね!
よくまかないで、残ったのを食べてたものだわ。
まあ、こっちの世界のカレーはビミョーにスパイスやらの調合具合が違うのか、私の世界の……とりわけ、日本のカレーとは少し違うんだけど……でも時々食べたくなる味なのよね。ヴィーナは有害召喚獣の加工済みのお肉もよく市場に出回ってるから、色んなバリエーションのカレーが作れちゃうし……。
「ま、ソロアのヤツは最後まで
『カレーもいいですけど、ビーフシチューも捨てがたいと思いませんか……?』
って、少し恨めしそうにしてたけどな」
「く、クロアさんっ!?」
「んだよ、事実だろ?」
慌ててクロアちゃんに涙目で抗議するソロアちゃんを見ていると、あー戻って来たなあ、って感じがするわね……。
「ふふ。
うちに帰ったら、またソロアちゃんに私がビーフシチューを作ってあげるわ。
……あ、大公家のお城の晩餐会に出た料理を"魔女の工房"に保存してあるの。
温めてもらって、おかずとして添えちゃいましょ」
『やりますねえ! さすがディケー』
略して、さすディケ(二回目)。
「ディケー、私は一旦荷物を部屋に置いて来るわ。
……今夜はうちの屋敷に泊まるのよね?」
「あ、はい。お邪魔でなければ」
「わーい!
でぃけた、いっしょにねよ!
ふわふわでぃけぱいで、おねむ!」
ナタリア様に抱っこされたレムリアちゃんは、早くも獲物を狙う野獣のような目つきでーーー私のディケパイを文字通り、虎視眈々とねらっているのが、本能で理解できたッ……!
「(親子揃って、私のディケパイ好き過ぎでしょ……)」




