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【58万PV感謝】大魔女ディケーの異世界百合な日々!~元アラサーの私が転生先で美女達からグイグイ迫られる件~  作者: 漁業フリーダム
第1部-3 魔女に魅入られし女たち

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第35話 魔女セレンの考察

「アンタが倒したって言う白い巨猿王コングロード、元々は北の大森林の辺りを拠点にしてた、って言ってたわね?」

「そう聞いてます」



 立ち話もアレなので。

 魔女セレンをリビングに通し、お茶とお茶菓子で、まずはおもてなし。

 魔女の塔で会った時はセクシー系のちょいエロな夜会服だったセレンも、今日は伝統的な魔女の黒ローブ姿だ。

 ディケーより先輩なだけあって、見た目は二十代前半くらい? まあ美人よね。ちょっと性格キツいけど。

 ちなみにライアとユティは話の邪魔になってはいけないと思ったのか、部屋に戻ってセレンから貰ったお菓子を食べている。



「あの辺りは300年前の深淵戦争の時に異界のゲートが開いた影響で、未だに瘴気が強いのよ。

 私達魔女は結界を張ったり耐性があるから多少は平気だけど、普通の人間は長居しない方がいい場所ね。

 あそこは大気中の魔力が他の地域よりも濃くって、結果的に魔物はより強く狂暴になり、樹木は大きく育つ。

 そこを生活の拠点として、倒した他の魔物を喰いまくったのなら、まあ異常進化したのも納得だわ。

 人語を介したり、武器を使う知恵を付けたりもね」



 ……深淵戦争!

 ここでまた出て来るか!!

 エルフが住む南の樹海地域に攻め込んで来たのは炎魔将アグバログだったわね……。

 でも、結構重要なワードなのにレジェグラ本編だと殆ど触れられなかったのは、どうしてなんだろう?



「で、アンタはそいつを倒した。

 血には大量の魔力が含まれていたはず。

 アンタはそれを浴びたワケね。

 ……恐らく、アンタ自身の魔力と巨猿王の血に含まれた魔力が何らかの生理的反応を起こして、アンタの身体に変化を起こした……ま、こんなトコロかな」



 パリッ。

 お茶菓子として出した、ヴィーナの町で買っておいたホットチリ味のポテトチップスをかじり、水色の髪の毛先を指にクルクルと絡めながら、セレンは続ける。



「ただ一部分だけとは言え、髪の色が変わったってのは興味深いわね。

 アンタも知っての通り、スター観測者ゲイザーである私達魔女は歳を取るのがすごく遅いから、一旦大人の姿になると、後は何百年経とうが見た目にそこまで大きな変化は現れない。

 大魔女グランドウイッチクラスになると、自由に好きな見た目になれるみたいだけどね」

「なるほどー」



 確かに。

 巨猿王の頭を叩き潰した時。

 破裂した頭から飛び散った返り血が、右半身(髪や右腕)に飛んじゃったのよね。

 あの血にそんな濃い魔力があったのか……もう倒すのに無我夢中で、気にする余裕全然無かったからなあ。



「血は命の源。

 武器や防具の強化合成の素材として魔物の爪やら牙やら臓器を使う事があるけど、血は最上級の合成素材よ。

 そいつの遺伝情報が全部含まれてる訳だし。

 ディケー、言わば今のアンタは白い巨猿王の血を浴びた事で、そいつの遺伝情報を本能的に読み取って、自身に取り込んだ状態なんでしょうよ。

 その一部分だけ白くなった髪とかね」

「うげっ!!

 わ、私、半分は巨猿王になっちゃったって事ですか!?」

「さあ? 前例がないから分かんないわよ、そんなの」



 うぉぉおおぃっっ!!!

 肝心なところが分からず仕舞いですやんか!

 このまま野生に生きる魔女、野女になったりしないでしょうね!?

 ……いや、でも。




「(本来のレジェグラの時間軸だと、ディケーはそろそろ邪教団の設立を開始してる時期だし、最後の邪神召喚時に妨害しようとする者との戦いに備えて、自分の身体を事前に"そういう体質"に変化させてた可能性もある、ってコト……?)」



 次々と強い魔物を倒して、その能力や情報を自身に取り込んでいく。

 魔女の塔に所属していた魔女達は皆強い魔力を持ってたけど、レジェグラのゲーム本編開始時点ではディケーによって全滅させられてたし……ディケーが短期間で大魔女クラスの力を手に入れる事が出来たのは、つまり、そういうコト?

 大魔女なら見た目も自由に出来るって話だし、ゲーム本編のディケーが黒髪のままだったのも納得だわ。

 私が転生する前、ディケーが何をやっていたかはまだ分からない事が実は多々あるし。



「(ディケーって日記の類いは全然つけてなかったのよね……)」



 ライアとユティをいつ養子にしたのかも本人達に聞いて、私がディケーに憑依転生した時点で半年前って分かったくらいだし。大事な事なんだから記録しときなさいよね、マジで!



「ま、怪我が治って、万全な状態になれば分かるでしょう。

 今のアンタ、魔女ヴァルプルギスナハトの時に顔合わせた時に比べてだいぶ魔力の総量が増してるようだけど、治癒に回してる分ガクンと落ちてて危なっかしいわよ。

 完治するまで、しばらく魔物と戦うのは控えなさいな」

「は、はい……そうします」



 ポテトチップスを食べ終えたセレンは、ペロリと指に付いた油を舐めながら、私を見据えて念押しする。




「いい?

 私は別にアンタのために言ってんじゃないのよ、ディケー。

 ライアとユティ、あの子達のために言ってんの。

 久々の才能ある"魔女見習い"の弟子2人なんて贅沢過ぎよ。

 アンタが養子にしてなかったら、私が鍛練してあげたいくらい。

 ま、アンタが母親役をやりたいってんならそれでもいいけど……あの子達を悲しませるような真似したら、私は絶対許さないからね」

「き、肝に命じます……」




 うん、まあ……。

 言葉にはだいぶとげがあって厳しいけど、子供達のためを思って言ってくれているのは、痛い程伝わって来ました……。




「それじゃ、私は帰るから。

 あの子達によろしく伝えておいて。

 あ、あとこのジャガイモのお菓子、美味しかったわ。

 もう一袋貰って帰るわわね。んじゃ」




 魔女セレンはポテトチップスの袋を魔女ウイッチ工房インベントリにポイと仕舞い込むと、椅子から立ち上がって、あれよあれよと言う間に帰り支度を始めてしまう。




「ディケー」




 そして、リビングを離れ。

 玄関から出る前、私を一瞥いちべつすると。





「私達は星の観測者。

 ……あまり人間や他の種族に肩入れしない方がいいわよ」





 どうせ皆、私達より先に死ぬのだから、と。

 そう呟いて、魔女セレンは私達の山小屋を後にしたのだった。


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