表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
321/412

第321話 大魔女ディケー無限新年会編・先輩魔女再来

「ただいまー!」

「ただいま帰還しました、お母様」

「ライア、ユティ、おかえり」




 ドラゴニアルウムでの鍛練を終えて。

 数日間のお正月休みをキラリちゃんとのんびり過ごしていると。

 ブランディル自治領で冬季休暇を過ごしていたライア達が、我が家に戻って来る日になった。

 今回はナタリア様の出産に立ち会わなきゃいけなかったから、マリー様に引率をお任せして、私は不参加だったけど……でも二人の顔を見る限りだと、満足げな様子が伝わって来るわね。




「二人とも、ブランディルは楽しめた?」

「メッチャ楽しかった!」

「マリー公爵夫人がよくしてくださいました」

「そう……。

 マリー様には後日、母様から改めて御礼を言っておくわね」




 昼下がり、元気な声が我が家に木霊こだまする。

 私は数週間ぶりに再会した娘達の頭を優しく撫でてあげて、まずは無事に帰って来た事を喜びあった。

 ……ライアとユティと出会って、今年で五年になるのかあ。

 二人とも、あの頃から背も髪も伸びて、すっかり女の子らしくなって……はあ、後で「写すンです」で写真撮ろう。




「イモのお姫様、いつもみたく優しくしてくれた!」

「ローラとベルタも元気にしていました、お母様」

「良かった、ブランディルは変わり無いようね」




 クロアちゃんの話を聞いて、シェリルに関しては少し警戒していたんだけど……この様子なら、本当に大丈夫だったみたいね。

 私と同等の実力者のマリー様が常に子供達の側で引率していたでしょうし、下手に手を出せなかったかもだけど……。




「(さすがにライアとユティを吸血鬼ヴァンパイアにされちゃ困るからね……)」




 二人は魔女になるんだから!

 ……と、戻って来るのはライア達だけじゃなかったわ。




「ただいま戻りました、マスター……」

「よう、マスター。戻ったぜ」

「ソロアちゃんとクロアちゃんも、おかえりなさい」




 そう、子供達と一緒にソロアちゃん達もブランディルで冬季休暇を過ごして貰っていたのね。

 特にクロアちゃんは「もしシェリルがアタシの世界同様に異界の連中に手ェ貸してるような素振りを見せたら、問答無用で叩き切る!」って意気込んでブランディルに乗り込んで行ったんだけど……。




「クロアちゃん、シェリルの様子はどうだった?」




 防寒フードを脱いで、壁にかけている最中のクロアちゃんの背中に、私は話し掛ける。

 しかして、クロアちゃん曰く、




「……喰えない女、って感じだな。

 アタシが平行世界パラレルワールドから来た別のソロアだって話しても、大して驚いた様子もなかったぜ。

 "あっちの世界"のシェリルが異界側に付いてるって話もしたが『そう、興味ないわあ。なら、そっちの私は貴女が好きにブチ殺しておいて♪』って、頓着なさそうだった。

 ……フツー頼むか? 別の世界の存在とは言え、自分を殺しといてくれ、とかさ」

「シェリルらしいと言えば、まあらしいのかしらね……」




 ……じゃあ、今のところは"こっちの世界"のシェリルはディケーとの約束を一応は守って、時が来るまでは何処にも誰にも味方しないスタンスで行くのかもしれない。下手に気まぐれで行動されるよりはマシだし……まあ、このまま私の味方で居てくれるならこの際、文句は言わないわ。




『四人ともおかえり。

 ホットココアしかないんだけど、いいかな?』

「キラリちゃーん!」

「ただいま、キラリちゃん」




 寒い雪国から帰宅した四人を、キラリちゃんが熱々のホットココアでお出迎え。

 パタパタと背中の羽で飛びながら、ライア達の頬っぺたに頬擦りして、無事の帰宅を喜ぶのだった。




『二人とも、あっちでも鍛練サボらずやってたんだね。

 良い感じの魔力オーラが出てる』

「あはっ。

 キラリちゃん、ますます母様に似て来たね」

「だよな。

 頬擦り、母様がいつもやってるし」

「『そーかなー?』」

「ほらな」




 うーん、使い魔はあるじの魔女に似て来ると聞くけど……四年も一緒に居ると、確かに自然と似て来るのかもしれないわねえ。

 ……と、まあそれは置いといて。




「ソロアちゃんもお疲れ様。

 子供達の面倒見て貰ってありがとうね」

「い、いえ……。

 ブランディル女公の魔鉱石と魔導書グリモワールのコレクションは相変わらず素晴らしくて……私、そっちに夢中で、あまりお二人の面倒は見れなくて……」

「だからアタシとマリー様が一緒に見といたぜ」

「そうだったのね。

 ……ありがとう、クロアちゃん」

「へへ……♪ 

 んだよ。恥ずいだろ、マスター」




 ソロアちゃんと同じ水色の髪のクロアちゃんの頭を優しく撫でてあげると、クロアちゃんは頭から生えた猫耳をピョコピョコと左右に動かして、くすぐったそうに笑った。

 うん、こういうトコロは性格や世界が違っても、同じソロアちゃんって感じがするわね。




「皆が今日戻って来るのは分かってたから、ヴィーナのお正月セールで御馳走の材料をいっぱい買っておいたの。

 夕食は期待しててね」

「「「「やったー!!!!」」」」




 うふふ、このにぎやかな感じこそ、我がスターレイム家って感じよね!

 さーて、それじゃ今のうちに仕込みをやっておきましょうか。




「あ、母様」

「ん?」




 とーーー。

 再会を喜び合うのもそこそこに、私がエプロンを付けて夕食の仕込みを始めようとした矢先。




「今年は他の魔女様達をおうちに呼んでの新年会、やらないの?」

「……げっ」




 ……しまった!

 「お仕えしているヴィーナの御領主家の奥様の出産に立ち会うので、新年会は娘達がブランディルから戻った後に延期させてください、サーセン!」って……そういや去年、ウィッチベルで魔女のパイセン達に一斉送信したの、すっかり忘れてた!




「Great Scott!(こいつはコトだわ!)」 ※訳:戸田奈◯子




 ……明日にも皆一斉に我が家に来る、嫌な予感しかしないッ!!!




『宴の時間だね、ディケー』

「うぅ、頭と胃の痛くなる宴のね……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ