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【50万PV感謝】大魔女ディケーの異世界百合な日々!~元アラサーの私が転生先で美女達からグイグイ迫られる件~  作者: 漁業フリーダム
第4部-2 異変続発! 魔女たちの共同戦線!!

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第202話 集団暴走《スタンピード》と異世界のポケベル事情

「確かにディケーさんの仰られているようにここ最近、各地で魔物の集団暴走スタンピードが頻発しているようですね。

 おびただしい数の死体も各地で発見されている事から、何者かに殲滅されてはいるようなのですが……」

「ですが?」

「生憎、偵察用ドローンに何故か交戦中の映像だけが映っていなくて……。

 それに冒険者でしたら必ず所属しているギルドに報告しているはずですので、恐らく冒険者以外の達人や猛者もさに殲滅されたものと推測されます。

 居るんですねえ、そんな人達が……」

「(……魔女の認識阻害の術式!

 メテオラやアイリーン以外にも魔女の誰かが集団暴走に遭遇して、倒したんだわ……)」





 メテオラとアイリーン、二人の先輩魔女が魔物の群れと交戦してズタボロになり、私の家で療養する事になってから一週間が過ぎた頃。

 折を見て、私はヴィーナの冒険者ギルドで事件の概要を把握するため、受付嬢のベルちゃんにそれとなく話を切り出していた。

 ……やっぱり、メテオラ達が遭遇した魔物の集団以外でも、他の地域で別の集団が結構暴れていたみたいね。





「ベルちゃん、倒されていた魔物達が発見された地域をリストアップとか出来る?」

「お待ちを。

 ええっと……ここと、ここと、それからここ……こんな感じなのですが」

「ふむふむ」




 ベルちゃんが魔晶製のコンソールパネルを指先でピッピッとつついていくと、連動して掲示板の壁に設置された魔晶ボードに、事件の起きた場所がいくつもマーカー表示されていった。





「(……良かった、ライアとユティ、それにエリザお嬢様の通うキンドラー魔術学校からは何処も離れているみたいね)」





 ブランディル自治領の方でも起きていないみたいだけど……まあ、あそこはこの世界最強候補の一角の死妖姫イモータルプリンセスのシェリルが居るし、魔物も本能的に恐れて回避したんでしょうねえ……。




「この手の集団暴走は数年に一度の頻度で起きてはいるのですが……もうすぐ冬という、この時期に起きるのはまれかもですね。

 魔物や有害召喚獣も冬になると冬眠する個体が多いので、冬が迫ると活動はむしろ控えて、巣穴などで大人しくなるはずなのですが……」

「そうなのね」




 異世界の魔物の冬眠事情は、私には正直分からないんだけど……でも、私の世界でも冬眠の時期に山に落ちてるどんぐりが足りなくなって、野生の熊が人里に下りて来るような事例がこっちにくる前に頻発してたし……何事も例外は付き物、そういう前提で考えた方がいいかもしれない。




「(これも歴史の強制力……なのかしら?)」




 マーカーされた地点をよく見れば、幾つかはディケーの魔女の先輩達が"スター観測者ゲイザー"としての活動を担当している地区もあるし……メテオラとアイリーンが集団暴走に遭遇した地区にドンピシャの所もあった。




「(……偶然とは考えにくいわね)」




 本来の時間軸の流れだったら、昨年ディケーによって全滅させられていたはずの魔女達が、皆生きている。

 その魔女達を本来の歴史の流れと同じく全滅させるために"強制力"のような力が働いて、魔女達と戦うよう魔物を強制的に暴走させた……そうは考えられないかな?




「(……先輩達を死なせるワケにはいかない!)」




 12年後、邪神が復活した時、一緒に戦って貰いたいのは勿論だけど……もう何度も顔を会わせてる人達だし、死んで欲しくないと思うのが人情でしょうよ。

 ……歴史の強制力なんかに負けない、それくらいの気概で臨まないとね!





「(大丈夫、乗り越えられる!

 私とライアとユティが、乗り越えられたように……!!)」





 早速、何か対策を考えなきゃだわ。

 一難去ってまた一難、ぶっちゃけありえない!!

 ……そんな感じで畳み掛けて来られたら困るからね!





「(メテオラとアイリーンは二人で組んで戦った事で窮地を脱して、何とか勝てた……。

 でも大魔女グランドウイッチやミア姉様みたいに単騎でも余裕で戦えるような魔女ばかりじゃないし、出来れば何かあったら即応援に駆け付ける事が出来ればいいんだけど……)」





 ……出来れば"魔女ウィッチ刻印サイン"は連絡手段に使いたくないのよねえ。

 去年、ブリーチェの町で私がライアとユティへの連絡用に不用意に使ってしまったせいで、それをたまたま見ていた「はぐれ魔女」、"黄衣きごろもの魔女"イーティルに襲撃されて、一緒に居たキャルさんを危ない目に合わせちゃったし……。





挿絵(By みてみん)





「(……冒険者に配布されている通信石の技術を応用して、魔女専用の通信装置みたいな物を作れないかしら?)」





 平成初期の頃に流行った、ポケベルみたいなやつね!

 ……私が生まれた頃には、もう廃れちゃってたけど!!

 ……でも検討の余地はありそう。




「あのさ、ベルちゃん。

 他にもちょっと聞きたい事があるんだけど」

「何でしょうか?」

「いきなりなんだけど……。

 壊れたり、型落ちした通信石ってさ……廃棄しちゃったりするの?」

「まあ、基本的には。

 まだ使えそうだった場合は、通信記録や所有者の記録を全て削除してから中古屋に売ったりもしますね。

 好事家のコレクターが買ったり、中に入っている魔晶石を取り出して別製品に使用したりと、用途は様々のようですが」

「そうなのね」




 中古屋か……。

 そう言えば、私が使ってるインスタントカメラの「写すンです」も、ヴィーナの中古屋で買った型落ちカメラを合成を駆使して何とか昭和末期くらいの性能にまで引き上げたのよね。

 ……なら中古の通信石を合成で、ポケベルくらいの性能に引き上げる事も出来るかも?

 まずは現物を見て、要確認ね。

 中古と一口で言っても状態は様々だし……まずは中古屋に行ってみましょうか。





「ありがと、ベルちゃん。

 早速、中古屋さんを覗いてみるわ」

「いえいえ。

 ……出来れば、一緒に私もディケーさんの腋を覗いても?」

「あはは。ないわー」





 リコ・ルイス(※)が「好きな日本のアニメはリコリス・リコイルさ!」とか突然言い出すくらい、ないわー! ……しれっと腋狙い!!




※イギリス代表のサッカー選手





「(心臓が逃げる!)」





 私も逃げる。

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