第18話 金星から来た黄金三つ首竜バーガー
「金星から来た黄金三つ首竜バーガーください」
「ギドラバーガー入りましたー!」
ミア姉様の紹介状の効果は絶大だった。
トントン拍子に冒険者ギルドへの所属が決まり、有害召喚獣の狩猟許可も無事に下りた。
今後は依頼を受けて駆除した個体をギルドに持って行けば、賞金と部位素材(牙とか爪とか、お肉も)も貰える事になる。
ちなみに倒した後はギルドから支給される捕獲袋の口を開けて相手に向ければ、どんなサイズだろうと吸い込んで閉じ込めてしまうとの事。
あれよね、西遊記で妖怪の金角と銀角が持ってた、名前を呼ぶと相手を吸い込むヒョウタンみたいな感じかしら?
私の持ってる魔女の工房と同じような術式が使われてるのかもしれない……。
「熱いのでお気をつけて!」
「ありがとう」
ギルドを出た後。
小腹が空いたので、町の大通りに面した出店で地元の名物っぽいハンバーガーを買って、ハムハムと齧りながら町の散策と洒落込んでる。
「はむっ……うまっ!
激旨よ、金星から来ただけあるー!」
雰囲気としては20世紀初頭のアメリカとかそんな感じの町並みかしら?
公国の首都から離れてる地方都市だけど、ここも港町のブロケナ同様に割と栄えてるように見えるわね。人通りも結構多い感じ。
「(ライア達へのおみやげも、後で何か買って帰ろう)」
ちなみに私が留守の間、ライアとユティの面倒は魔女タチアナに見てもらってる(「困った事があったら空に魔女の刻印を描きなさい」って言ってた人ね)。事情を話したら即OKしてくれた。子供好きな人で良かったー。
「(……と言うか)」
魔女って子供が産めないから、本能的に子供が好きなのかも……。
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所変わって、ベンチに座って小休止。
今後は此処を拠点にスキマ時間で冒険者としても有害召喚獣の駆除活動をしていく訳だし、町や人の様子をよーく観察しておきましょう。
「(はー。にしても、こっちの世界だとギルドに所属して冒険者になるだけで狩猟免許が貰えるなんて便利だわ……)」
元の世界に居た頃、実家の家庭菜園を野生のアライグマに荒らされた事があって、とっちめてやろうと市役所に相談したら「自治体の許可と狩猟免許が無いとダメ」って言われちゃったのよね……わな狩猟免許ってやつ。
実家の喫茶店の手伝いもあるし、市役所の講習会に参加出来ず仕舞いで、なあなあになっちゃったけど……。
「(それにしても……)」
国境に近い町のせいか、すれ違う人に亜人種が多い。頭から猫耳やら角やらが生えた人とか、翼や尻尾のある人とか……町並みは一見すれば近世のようだけど、剣とか槍とか斧を携えた冒険者や傭兵の亜人もそこそこ居て、すごい違和感があるわね……まさに人種のるつぼ。
地方都市とは言え、公国領内だから給金はそれなりだし、国外から出稼ぎとか職探しに来ている人が多いのかも?
「(このカオスっぷりがレジェグラと言えばレジェグラなんだけど……)」
って、今の私も魔女だから、分類的には亜人になっちゃうのかしら……?
一応、とんがった耳は幻術で隠して、ヒューマン型種族と同じく、丸く見えるようにしてるんだけど……(冒険者ギルドへの登録も「種族:ヒューマン」って書いちゃいました、サーセン!)。
「(ーーー魔女は世界の理を見つめる存在であり、星の観測者でもある)」
現に、私が憑依転生してしまったディケーも元々は星の測量を生業としていた魔女だった。でも、いつまでも古の慣習に倣ったままではいけないと感じている魔女も多く、世界の発展に呼応して生き方を改め、順応しようとしている者も多い……ミア姉様のように、魔女である事を隠しながら冒険者をやったり。
魔女アルエスや魔女シャウムのように、人間同士の争いに介入したばかりに戦死した魔女も居たけどね……。
閑話休題。
「(素性の怪しい人も中には居るだろうし、ギルドの受付嬢の子が塩対応気味だったのも、何か分かるかも……)」
次から次に外国人を大量に迎え入れちゃって、結果的に外国人の犯罪がやたら増えたりしてたからなー、日本でも。
このレジェグラの世界も公国と帝国の戦争は帝国の敗北に終わったけど、まだ再起を図ろうと、公国内に潜入してる帝国の残党とかが居ないとも限らないし……いや実際、ゲーム本編でもそういう展開あったんだけどね。
「(……まあ、とにかく)」
私も今日からは晴れて冒険者を名乗れるし、スキマ時間で積極的に有害召喚獣の駆除を始めて行きましょう!
……まあ、大体ミア姉様の紹介状のおかげなんだけど。




