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37 これからの事

 俺はある程度説明したが、アルタさんは考える仕草をする。

「あのダークホールは、魔王が最終手段として使ったのか」

「はい。結局、自分は飲みこまれてしまいましたけど……」

「まぁ、最後まで油断ならない敵だったな」

 俺とアルタさんは、えぐられた地面を見つめる。

「そうだ、ソーマ。これからの事なんだが……」

「はい?」

「あの子どもたちを、どうするんだ?」

 アルタさんが指さした方を見ると、子どもたちがこちらに走ってくるのがわかった。

「お兄ちゃーん!」

 マイクが手を振って、俺の所に駆け寄ってくる。

「おっと。マイク、無事でよかったよ」

「お兄ちゃん、すごいね! 本当にあいつをやっつけちゃうんだもん」

 そう言って、マイクは俺に抱きついてきた。

 俺はうれしくなり、その頭を優しく撫でる。

「アルタさん、この子たちのために、孤児院をつくりたいんですが」

「孤児院を?」

「はい。この子たちは、皆まだ義務教育が必要な年齢です」

「ふむ、まだ10歳から12歳くらいの子がほとんどだな」

「だから、ちゃんと学べる所をつくって、いろんな事を教えてもらいたいんです」

「ん?」

 俺の言葉に、アルタさんは首を傾げた。

「それは、誰か頼める奴がいるのか?」

「俺はその役目を、アルタさんに頼みたいんです」

 さすがに、アルタさんは驚きのあまり目を見開いた。

「俺が教えるだと? 冗談を言っているのか」

「冗談じゃありません。頼めるのは、アルタさんしかいないと思ったからです」

 俺の視線に、頭を抱えるアルタさんだった。

「できれば冗談の方がよかったな……仕方ない、引き受けよう」

「本当ですか!」

「ただし、条件がある」

「条件、ですか?」

 今度は俺が首を傾げる。

 アルタさんは頷き、こう言った。

「孤児院が出来るまで、ソーマもこの国にいてもらうぞ」

「わかりました。それはもちろんです」

「おい、この国王はどうするのだ」

 話がまとまったところで、人間の姿になったドーラが、国王を抱えて連れてきた。

「見たところ、こいつはもう生気がほとんど無い。廃人というものだな」

「ギリクに乗っ取られて、精神を壊されたのね……」

「こいつはもう、王としてはやっていけないだろう。ソーマ、お前はどうする?」

「え、俺?!」

 俺は急に振られて驚いてしまった。

「何を驚いている。なんなら、俺がここで始末してもいいんだぞ」

「ま、待って待ってドーラ! 子どもたちの前でそれはまずい!」

「なら、どうする」

 俺は必死に考えた。

「……その人の命が尽きるまで、俺が面倒みます」

 考えて考えて、出た答えがこれだった。

 すると、メアリが片手を上げる。

「なら、私も微力ながらお手伝いいたします」

「ありがとう、メアリ!」

「ソーマ様のお力になれるのなら、うれしいです」

 俺とメアリが笑いあっていると、何やら背中に視線を感じた。

 振り向けば、ゆうひとガイナが睨んでいた。なぜだ。

 顔を引きつらせた俺は、苦笑するしかなかったのである。

★★★

 それからの皆の行動は早かった。

 街にいる新聞記者の所に行って、国王の記事を書いてもらった。

 事の全容は伝えられないので、少しごまかしたけどね。

 記事の見出しは、「国王の最後の願い、孤児院をつくる」である。

 それは、瞬く間に国民に知れ渡った。

「すごいですね。アルタさんのおかげで、孤児院をつくるのを手伝いたいって人がたくさん来ていますよ!」

「これだけの人が集まれば、つくるのに時間はかからないだろう」

「あたしたちも手伝う!」

 俺とアルタさんが話していると、クランたちが手を上げた。

「皆、ありがとう。でも今は、自分の能力の練習を頑張らないとな」

「えー……僕たちも何か出来る事ないの?」

「うーん……アルタさん、どうしましょう」

「いいじゃないか。自分たちの能力を使えるいい機会だ」

 アルタさんの言葉に、子どもたちは大喜びである。

「ただし」

 その声に、子どもたちは動きを止める。

「あくまで手伝うだけだ。大人の邪魔をしてはいけないよ」

「わかりました、アルタ先生!」

「先生……」

 そう言われたアルタさんは、少しうれしそうな顔をしていた。


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