表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/39

35 脱出

「ギリク、お主正気か?」

「私はいつだって正気ですよ。恥をさらすぐらいなら、消えた方がいいですからね……」

 ギリクは笑っていたが、その笑みはどこか悲しげだった。

「ギリク……」

「それでも、私1人が消えるのは耐え難い。あなたたちも道連れにしてやります!」

 ちょっとかわいそうかもって思ったのに、ギリクはギリクだった。

 俺は頭を振って、杖を握りしめギリクに向ける。

「そんな事させるか! ボン・エアー!」

 風をまとった炎の球をいくつも放つと、その爆発でギリクはよろける。

「くっ、さっさと観念しなさい」

「観念するのはそっちだろ! ギガ・フレイム!」

 俺は容赦なく、次は巨大な炎の玉を放った。

「ぐっ!」

 俺の攻撃を受けるのが、精いっぱいのギリクが一歩下がると、ダークホールが飲みこんでいく。

「な、なに?!」

 状況を理解したギリクは、俺の方に両手を伸ばしてきた。

 そして、俺の体を思いっきり掴んだ。

「うわっ、何するんだギリク!」

「言ったでしょう……あなたたちも道連れだと……」

「は、離せギリク!」

「そうま君!」

 ゆうひが慌てて俺の腕を掴んだ。

 ラージャとドーラも飲みこまれないように、ゆうひを支えている。

「さぁ、皆で仲良く闇におちましょう……」

「誰が、あなたなんかとおちるもんですか!」

 もう体半分がダークホールに飲まれているギリクに、ゆうひが持っていた剣をギリクの頭に突き立てた。

「ぎゃあぁっ!」

「もう、あなたに奪わせはしないわ!」

 ギリクは悲鳴を上げ、俺から手を離した。

 そして、ギリクはダークホールに飲まれて消えていった。

 ゆうひの言葉は、あいつに届いたのだろうか。

 俺はゆうひを見たが、ゆうひは無表情のままだった。

「というか、ギリクが消えたのに、ダークホールが消えないんだけど!」

「消えるどころか、さっきよりも大きくなったのぅ」

「ラージャ、何のんきな事言ってるんだよ! 早く逃げないと」

「まぁ、慌てるでない。わしのワープでお主たちを外に連れだしてやろう」

「本当か、ありがとうラージャ」

 それから俺たちは、ダークホールに飲まれないように距離をとった。

「では、行くぞ」

「あぁ、待ってラージャ!」

「なんじゃ、ソーマ。急がんとダークホールがすぐそこまで来とるぞ」

「うわあぁっ! じゃぁ早く地下に頼む!」

「地下じゃと? 外ではないのか」

「地下には、この世界に転移させられた子たちがたくさんいるんだよ。その子たちも連れていってくれないか」

「ふむ、いいだろう。ドーラよ、わしはソーマを連れていくから他の者を頼めるかい?」

「承知しました、ラージャ様」

 ドーラは倒れている国王を掴み、ラージャに頭を下げる。

 すると、ゆうひが俺に近づいてきた。

「そうま君、気をつけてね」

「あぁ、わかってるよ。大丈夫、ちゃんと戻るから」

 俺はゆうひの手を握って、安心させるように言った。

「こら、いちゃついていないで、さっさとこんか」

「ごめん、ラージャ。すぐ行くから!」

 俺は慌てて手を離し、ラージャの所に行く。

 ゆうひは不安そうだったが、ドーラに乗ってもう一度俺の方を向く。

「必ず戻ってきてね!」

 ゆうひの言葉に、俺は強く頷いた。

「さぁ、ドーラよ。その者たちを頼むぞ」

「はい。ラージャ様もお気をつけて」

 ドーラはそれだけ言うと、すぐに飛び立った。

 そして窓を破り、外へと脱出した。

「よし、わしらも行くぞ」

 ラージャが指を鳴らすと、俺たちはその場からワープした。

★★★

「あいたっ! 着地失敗したぁー……」

「なにやっとるんじゃ、お主は」

 着地に失敗した俺を見て、ラージャは呆れ顔だった。

「あっ、落ちてきたお兄さんだ!」

「本当だ! 隣の女の人は誰?」

「もしかして、お兄さんの恋人なんじゃないの?」

 何やら、まずい誤解がうまれようとしている気がする。

 俺は苦笑したが、時間がない事がわかったので子どもたちを自分の所に集めた。

「皆、集まって。これから外に脱出するよ!」

「えっ、それじゃぁお兄さんが魔王をやっつけたの?」

「そうだよ。そして、もうその魔王はここにはいないから、皆自由なんだよ」

 俺の言葉に、子どもたちは大喜びした。

「やったーっ!」

「じゃぁ、もう怖い事なんかないんだね!」

「そう。君たちがやりたい事をやればいいんだ」

「おい、ソーマ。そろそろダークホールがここまでくるぞ」

「あっ、そうだった!」

 子どもたちがはしゃいでいたので、全員に呼びかける。

「皆、早く脱出するから、このお姉さんの所に集まってくれ!」

 子どもたちはすぐ言う事を聞いてくれた。

 ぞろぞろと、ラージャの所に集まってくる。

「ソーマ、これで全員か?」

「うん、全員集まったみたい。じゃぁ、頼む!」

「よし、ならお前たち行くぞ!」

 ラージャはもう一度指を鳴らした。

 ダークホールがそこまで来ていたが、ギリギリワープが間に合って俺たちは消える。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ