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34 殴りに来たんだぜ

「そうま君、私をドーラの所まで飛ばして!」

「わかった。ボン・エアー!」

 俺は杖を振り、床に向けて魔法を放った。

 それは爆発し、その勢いを利用してゆうひは飛んでいく。

 ドーラの上に着地すると、そのまま駆けだしギリクに斬りかかる。

「はあぁっ!」

 すると、攻撃を受けていたギリクが、ゆうひの剣を掴む。

 ギリクは口角を上げて、笑みを浮かべた。

「くくく……捕まえましたよ。もう逃がしませんからね」

「くっ……」

「わしを忘れてもらっては困るのぅ」

「なに?」

 ギリクが振り向くと、背後にラージャの姿があった。

 ラージャは口角を上げると、思いっきり蹴りを入れた。

「ぐあっ!」

 かわしきれなかったギリクは、そのまま下へと落ちていく。

「くっ……私としたことが、あんな奴らの攻撃を受けるとは……」

 ギリクは歯を食いしばったが、上から聞こえる音に顔を上げた。

「この音は……やめなさい、ゆうひ!」

「くたばりなさい、ギリク!」

 ゆうひは、シルフィとの決闘の時に出した黒い光を、ギリクに向かって放った。

「はあぁっ!」

「そんなもの、この魔法陣で止められます!」

 黒い光は現れた魔法陣に阻まれ、ギリクには届かなかった。

「くくく……惜しかったですね」

「笑っているのも、今のうちじゃよ」

 すると、ギリクの体に床から現れた鎖が絡みついてくる。

「な、なんだこの鎖は!」

「あの魔法って、もしかして……」

「そう。お前の仲間の魔法を真似てみたのさ」

 やっぱり、そうだと思ったけどね。

 俺は苦笑したが、ラージャが得意気だったので触れない事にした。

「さぁ、ソーマ。あいつに最大の魔力をぶつけるといいさ」

「あぁ、わかってるよ」

 俺は鎖を解こうと必死になっているギリクを見つめる。

 イメージするんだ。あいつをぶっとばせるほどの力をこめて。

 俺は杖を上に向け、意識を集中させる。

 どんどん魔力が集まっていき、やがて大きな炎の拳が出来上がった。

「くらえ、ギガ・フレイムパーンチ!」

「な、なんだその技はーっ! ぐはーっ」

 ギリクの叫びとともに、炎の拳がぶつかり、壁へと吹き飛ばしていった。

「はははっ。まさかあんな形で殴るとは思わなかったぞ」

「いやぁ、イメージしてたらあんな形になったんだよ」

 大爆笑しているラージャを見て、照れ隠しに俺は頭をかいた。

「そうま君、すごいよ! 今の技は何?」

「いや、俺も土壇場で出たからわからないよ」

「本当に奴を殴るとは、驚きだな」

 上から戻ったゆうひとドーラにも驚かれて俺は困ってしまう。

 すると、ゆうひが壁際で倒れているギリクに歩み寄る。

「ゆうひ、今近づいたら危ないよ!」

「大丈夫。あいつはもう、そんな体力ないから」

 ゆうひは歩みを進め、ギリクの前で足を止める。

「なんですか……私に文句でも言いに来たのですか?」

「あなたに言いたい事は山ほどあるけど、私もあなたを殴るためにここまで戻ってきたのよ」

「ふんっ……私がまだ何も出来ないとでも?」

 ギリクは力なく笑う。俺の所からでは、ゆうひの表情はわからない。

「このまま儀式を発動させて、あなたを器にする事も出来ますよ」

「それなら、もうとっくにやっているはずよ」

「くくく……お見通しですか。面白くないですね」

「……あなたは、面白ければなんだってするの?」

 ゆうひの声は、怒りを抑えているようだった。

「そうですよ! 全て私の駒にすぎないのです! あなたもその1人だったのですから」

 ギリクの笑いは狂気に満ちていた。

 少しして、ぱんっとかわいた音がした。

 ゆうひがギリクをひっぱたいたのだ。

「……は?」

「……ふざけないで。あなたのせいで、どれだけの人が苦しんだと思うの」

「ゆうひ……」

 俺は黙って見ている事しか出来ないでいた。

 ゆうひは拳を握りしめて続ける。

「今まで失ってきた命のためにも、あなたは償わなければいけない。そうするべきなの」

「……くくく」

「ギリク?」

「あはははははっ!」

 部屋の中に、ギリクの高笑いが響き渡る。

 やがて笑い終わったギリクは、力なく立ち上がった。

「私が償う? 冗談じゃない。そんな事をするくらいなら……」

 ギリクが指をパチンと鳴らすと、その背後に黒く大きな穴が現れた。

「これは、ダークホール。全てを飲みこむ闇ですよ!」

 ダークホールはどんどん大きくなり、巨大なギリクの背丈まで広がった。

「さぁ、この中に飲みこまれてしまいなさい!」


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