27 仲間の元へ急げ!
俺たち4人は階段を上がっていた。
「そういえば、君たちって何の力が使えるんだ?」
「あたしは風を操れるの。おにいさんを受け止めたのもあたしの力なんだよ」
「あぁ、あの時はありがとうな。おかげで怪我せずにすんだよ」
俺がお礼を言うと、クランはうれしそうに微笑んだ。
「僕は発した言葉で、相手の動きを制限できるんだ」
「すごいな。言霊みたいなものかな?」
「そうだね。でもこの力、あまり使いたくないんだ」
マイクは俯いてしまった。本当にその力が嫌なんだな。
俺は話をそらすために、横にいるたくやに話しかける。
「たくやは何が出来るんだ?」
「俺は地面に触れれば、自由自在に使う事ができるんだぜ」
「へぇー、すごいな。ん? ちょっと待てよ……」
俺はホールで起きた事を思いだす。
そして、ひきつった顔でたくやを見る。
「……もしかして、俺が落ちた原因って、お前の力なんじゃないか?」
「バカ言うなよ! 俺は何もしていない!」
俺に疑われている事を感じたのか、たくやはムキになって怒りだす。
それがわかったので、俺はなだめるように両手を振った。
「わかった、わかった。悪かったな、疑ったりして」
「ふんっ」
たくやはまだ怒っているようで、そっぽを向いてしまった。
じゃぁ、あの地割れは偶然起きたのか?
1つの疑問を残したまま、俺たちは暗い階段を上がる。
そして階段が終わると、ドアが現れる。
開くと、明るい場所に出た。どうやら、廊下に出たらしい。
「ふー、やっと地下から出れたよ」
子どもたちは地下から出れたのがうれしいのか、のびをしている。
しかし、俺は少し違和感を感じていた。
でも、変だな。ここまで何事もなく来ているのがおかしい。
「罠、なのか?」
「お兄さん、どうしたの……」
マイクが俺に近づこうとした時、床から無数の黒い影が出現した。
「なっ、床から影みたいなのが出てきた!」
「あたしの風で吹き飛ばしてやる!」
俺が驚いていると、クランが飛びだした。
両手を使い、風を操りながら影を吹き飛ばしていく。
だが、影は減るどころか、増える一方だ。
「どんどん出てくるよ!」
「全員俺の後ろに下がってろ!」
俺は3人を後ろに守って杖を取り出す。
それを上に向け、呪文を唱える。
「マジックサンダー!」
すると、影たちの上に雷雲が出現し、たくさんの雷を落とした。
すごい音と光だったので、子どもたちは驚いていた。
あっという間に影はいなくなったが、被害は甚大だった。
床は焦げた跡が残り、窓は衝撃のせいかすべてひびが入っている。
「やばい……これはなかった事にしよう」
「すごい、お兄さん! 全部倒しちゃった」
子どもたちが喜んでくれたのはうれしいが、俺はすぐ気を引き締める。
「安心するのはまだ早いぞ。次が来る前に、移動しよう」
子どもたちは頷き、急いで廊下を走った。
しばらくすると、またドアが見えてきた。
「この向こうが、お兄さんがいたっていうホールだよ」
マイクが教えてくれたので、俺はドアを開ける。
そこは確かに俺がいたホールだった。
しかし、仲間たちは魔物に囲まれていた。
ドーラはドラゴンの姿に戻り、応戦している。
「よかった、皆いるな! あれ、ゆうひがいない?」
全員の無事を確かめたかったが、ゆうひの姿が見えない。
俺は不安になったが、頭を振って、目の前の事に集中する。
「とにかく、今は皆を助けよう!」
「あたしたちも手伝うからね!」
「ありがとう! じゃぁ、たくやの能力を貸してくれないか」
「いいぜ。俺に任せろ!」
たくやは笑みを浮かべ、両手を床につける。
すると、突然床が盛り上がり、魔物たちの足場を崩していく。
「次はあたしよ! はあぁっ!」
クランが風を操り、魔物以外のものも上に巻き上げる。
そして、落ちてきたものに俺は目を見開く。
「えっ……首が無い?」
それは首の無い人間の体だった。
「ソーマ、多分それは、ここにいた兵士たちだろう」
俺が驚いていると、アルタさんがこちらに気づいたらしく近づいてきた。
「糸みたいなもので操られていたらしい。さっきの風で切れたみたいだ」
「アルタさん、皆も無事でよかった」
「あぁ。ソーマも怪我が無くて安心したぞ。ところで、その子どもたちは?」
アルタさんは、俺の後ろにいる子どもたちを指さした。
「この子たちは、この世界に転移させられた子どもたちです」
「なに? ならゆうひ殿と同じという事か」
「そうだ! ゆうひは? ゆうひはどこにいるんです!」
「あぁ、それは……」
アルタさんは、気まずそうに今までの事を話し始めた。




