25 アイーダ国に到着
アルタさんは、俺たちとギリクが話した事をゆうひに説明した。
ゆうひの顔は、どんどん絶望の色に染まっていく。
そして、ふらふらとした足取りで椅子に座った。
「なんて事……私のせいで、皆のやろうとしている事がバレていたなんて……」
「ゆうひ……」
俺は声をかける事ができなかった。ゆうひが落ちこんでいるのがわかったから。
ゆうひは俯いていた顔を上げる。
その顔は、何かを決意しているようだった。
「今からでも、私だけ別行動します」
「いや、待ってくれ。それだと向こうの思うツボかもしれん」
「それは、どういう事ですか?」
「つまり、ゆうひ殿と俺たちを分断させて、ゆうひ殿を手に入れるという事も考えられる」
アルタさんはゆうひに近づき、目線を合わせる。
「だから、ゆうひ殿にはもう少し俺たちと一緒にいてもらう」
「……わかりました」
ゆうひはあまり納得していないようだったが、提案を受け入れてくれた。
それを確認したアルタさんは、ため息を吐く。
「まぁ、どうせこの会話も魔王は聞いているのだろうからな」
「一体どうすれば……」
俺が考えていると、ドアがノックされた。
開けると、メアリが立っていた。
「皆様、もう少しでアイーダ国に着くそうですよ」
「わかった。メアリ、呼びに来てくれてありがとう」
「ソーマ様、外に出てみませんか? アイーダ国が見えますよ」
「本当か!」
少し外が気になった俺は、すぐに部屋を飛びだした。
外に出てみれば、視界に街らしきものが見えた。多分、、あれがアイーダ国なのだろう。
そして、俺たちを乗せた船は港に着き、俺たちは船を降りた。
振り返ると、獣人の乗組員たちが手を振っている。
「では皆様、お気をつけて」
「ここまで連れてきてくれて、ありがとうございます!」
俺は頭を下げて、その場を後にした。
★★★
「へぇー、ここがアイーダ国なのか」
アイーダという所は、街も発展途上な感じで、人々も活気づいている。
しかし、俺は違和感を感じていた。なぜなら……
「なんか、子どもの数がおおくて、皆働いているよな」
「本当だ。僕たちの国でも働いている子はいたけど、小さな子まで働いているね」
「しかも、皆何かしらの力を使って働いているよ」
「これは見過ごせんな」
俺とツクシが話していると、横にいたアルタさんが呟いた。
「アルタさん、どうしたんですか?」
「基本、働ける年齢は、ソーマくらいの歳からで、ここで働いている子はせいぜい10歳くらいの子がほとんどだ」
「確かに、そのくらいの年齢だと、教育を受けている歳なんじゃないですか?」
「多分、あの子たちは皆転移させられた子たちです」
「えっ、ゆうひの他にも転移させられた子がいたのか?」
「そう。そして、戦力になる子と、ここみたいに働ける子に選別されるの」
ゆうひはとても辛そうだった。
「そして、私は能力のせいで、戦力として戦場にかり出されたの」
「ギリク……やっぱり許せない奴だ」
俺が唇を噛みしめていると、誰かに肩を叩かれた。
振り向くと、手を置いていたのはガイナだった。
「ソーマ、落ち着け。この件に関しては法を犯しているから、奴は遅かれ早かれ罰を受けるだろう」
「まずは、魔王が待っている城に行ってみるか」
★★★
それから俺たちは、魔王・ギリクが待っているという城に着いた。
「こ……ここまで来るのに時間かかっちゃったな」
実は、ここに来るまでが大変だった。
街の人に聞いても、皆場所を知らないと言う人がほとんどだった。
まぁ、後の何人かは知っていても、教えてはくれなかった。
働いている子どもに聞けば、泣きそうな顔で逃げられる始末。
さすがに、俺の心は折れました。
「なんで俺が話しかけると、逃げられるのかな……」
俺は肩を落としながら、ちらりとガイナを見る。
「ガイナが話しかけて逃げるのはわかるけど……」
「今、何か言ったか」
「いえっ、何も言っていません!」
なんでだ。ちょっと呟いただけなのに、地獄耳なのか。
「そうま君、多分その子たちは、あなたの魔力を見て逃げたんじゃないの」
「俺の魔力?」
「そう。隠しきれていない魔力が漏れ出して、あの子たちが感じ取ったのかもしれない」
「それはそれでショックだな……」
「おい、話していないでさっさと行くぞ」
気づいたら、アルタさんたちはだいぶ前を歩いていた。
でも、なんだろう……この違和感は。




