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君の笑顔を取り戻すために、転生した俺は魔王を倒しに行くと決めた!  作者: しゅうらい
第2章 目指すは、海の向こうのアイーダ国
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22 隠し玉

 コロシアムでは、ゆうひとシルフィの決闘がまだ続いていた。

「あなたは、どうして戦うの?」

「んにゃ? いきなりなに言い出すのかにゃ」

「あなたは、戦いを楽しんでいる気がする。どうしてなの?」

「あたしは戦士だにゃ。戦いこそが己を示すやり方だにゃ」

「そんな事ないわ。他にもやり方は色々あるのよ」

「あたしは、そんなの興味ないにゃ!」

 お互いの攻防が続く中、シルフィの拳がゆうひの剣をはじく。

「話に夢中にならないで、戦いに集中するにゃ!」

 はじかれたゆうひは後退したが、また態勢を整え剣を振りかざす。

「くっ……あなたに守りたいものは無いの?」

「まだ、そんな事言っているのかにゃ。そんなの、ある訳ないにゃ!」

「それなら……そんなあなたに、負ける訳にはいかないわ!」

 ゆうひはシルフィと距離をとって、剣を顔の前で平行に持ち直した。

 すると、剣が黒く光りだし、それを突き出すと黒い光が放たれた。

「はあぁっ!」

「にゃにゃっ?!」

 シルフィは慌てて空中に飛びのいた。

 その光は観客の方まで届き、客席をえぐって空に消えた。

 なんとか観客は避けて、被害者はゼロである。

 その場にいた全員は、ぽかんと口を開けたままだ。

「にゃーっ! いきなりビームなんてズルイにゃ!」

 シルフィは空中で文句を言っていた。

 両手両足をバタつかせて、まるで小さな子どもが駄々をこねているようだ。

 ゆうひ、あんな技使えたのか……

 俺は改めて、ゆうひの恐ろしさを知ったのだった。

「ふんっ、ビームなんて出しても、あたしは負けないにゃ!」

 地面に着地したシルフィだったが、穴のギリギリの所に降りたので、足を取られてしまう。

「んにゃ?」

「危ない!」

 ゆうひはとっさに手を伸ばしたが、それは空を切り、シルフィは穴に落下した。

「んにゃーっ!」

「シルフィ!」

「ツクシ殿、君の魔法で彼女を助けるんだ!」

「は、はい! スクトーム!」

 アルタさんの指示で、ツクシが杖を振った。

 落ちていくシルフィと針の間に巨大な盾が平行に現れ、その上にシルフィが落ちる。

「あいたっ! いてて……た、助かったにゃ?」

「よかった……」

 上から見ていたゆうひも、安心したのかほっとした顔をしていた。

「ふー……ツクシ、ありがとう。お前の魔法がなかったらどうなっていたか」

「アルタさんがとっさに指示をくれたからだよ」

「まぁ、死者が出なくてよかったな」

 俺はほっとして席についた。

 ほっとしたのも束の間、審判の声が響き渡る。

「そこまで! 勝者はゆうひ殿となります。これにて、決闘は終了でございます」

「あれ? いつの間にゆうひの攻撃が当たっていたんだ?」

 俺が首を傾げていると、ガイナがシルフィを指さした。

「よく見ろ。あの女の方の武装がはがれているだろう」

「あっ、本当だ」

 ガイナ、よく見ているな。だとすると、ゆうひがあのビームを出した時にかすったんだろう。

 ゆうひたちを見れば、お互いに終了の握手をしていた。

「にしても、ゆうひが勝ってくれて助かったー」

「ソーマ様のリボン姿、可愛らしかったのに残念ですね」

「メアリ、冗談でもやめてくれ」

 しばらくすると、ゆうひとシルフィが戻ってきた。

「にゃにゃーっ!」

「うわあぁーっ! あれ?」

 いきなりシルフィが飛んできたので、俺は身構えた。

 しかし、シルフィはあっさりと俺を通り過ぎていく。

「うわあぁーっ! なんで僕なの?!」

 俺を通り過ぎたと思ったら、ツクシの方に飛びついた。

「ツクシ、大丈夫か!」

「んにゃ? お前、ツクシって言うのかにゃ。さっきは助けてくれてありがとうにゃ!」

「ど、どういたしまして……」

「助けてくれた恩返しに、あたしはツクシについていくにゃ」

「ちょっと待て! 俺はどうなるんだよ」

「ソーマは、ゆうひのものだから、どうでもいいにゃ」

 気まぐれにも程があるだろ!

 解放されたのはうれしいが、なんか納得がいかなかった。

「娘がすみません……どうか、一緒に連れていってはもらえませんか」

 領主様が申し訳なさそうに頭を下げた。

「いえ、人数が増えるのは構わないんですけど、いいんですか?」

「はい。娘も戦士のなんたるかを知るいい機会でしょう。どうかよろしくお願いします」

「わかりました! 娘さんの事は任せて下さい」

 俺が自信満々に言うと、シルフィが冷めた目で俺を見る。

「あたしはソーマじゃなくて、ツクシについていくんだにゃ」

 じゃれていたシルフィは、ツクシの手を握る。

「そして、あたしの夫にするんだにゃ!」

「それはまだ早いから、やめておきなさい」

「にゃーっ! なんでにゃーっ!」

 俺と領主様にとめられて、シルフィのがっかりした叫びがコロシアムに響いた。


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