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君の笑顔を取り戻すために、転生した俺は魔王を倒しに行くと決めた!  作者: しゅうらい
第2章 目指すは、海の向こうのアイーダ国
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19 俺のために争わないでくれ!

 シルフィに町を案内してもらっていると、向こうから数人がこちらに歩いてきた。

「あぁん? 道の真ん中をぞろぞろ歩きやがって、誰に許可とって歩いてんだよ」

 歩いてきたのは、ガラの悪い男たちだった。

 獣耳は生えているが、見た目は俺やツクシにからんできた奴らと似ているな。

「道を歩くのに、許可なんていらないにゃ。お前たちこそ、そこをどくにゃ!」

「なんだと、この猫娘!」

「やるかにゃ?」

 シルフィはとてもやる気だ。相手の奴らも戦闘態勢に入っている。

「どこにでもいるのね、ガラの悪い奴って……」

「あの男たち、ゆうひ様が退治した奴らにそっくりですね」

「ひぃーっ! けっこう人数いるけど、あの子大丈夫かな……」

「まぁ、ここのケンカだから、俺たちが口出しする必要もないだろう」

「でも、アルタ様。1人、人の話を聞かないのがいらっしゃいますよ……」

「おい、お前ら! 女の子に寄ってたかって、恥ずかしくないのかよ!」

 俺は見ていられず、男たちとシルフィの間に入った。

「ソーマ、何をしている! こいつらの事に首を突っこまなくてもいいだろう」

「アルタさん、もう遅いみたいですよ」

 振り返ると、珍しくアルタさんが慌てていたが、こんな状況ほっとける訳がない。

「なんだ? お前。口出しするなら容赦しねぇぞ!」

 男たちは俺に突っかかってくる。

 どうする……雷や炎は周りに被害が出るし、あと使える魔法は……

 俺は必死に考える。そして、ある魔法を思いだした。

「アイス・ショット!」

 俺は杖を上に向けて、呪文を唱える。

 すると、ピンポン玉くらいの氷が、男たちにバラバラと降りかかる。

「ぎゃぁっ! いきなり上から氷が落ちてきやがった!」

「まだするって言うなら、もっとすごい魔法をおみまいするぞ」

「く、くそっ、覚えていろよ!」

 男たちは、捨て台詞を吐きながら急いで逃げていった。

「ふー、なんとか追い払う事ができたよ」

「すごいにゃ、少年。そんな魔法も使えたのかにゃ」

「出来るだけ周りを巻きこみたくなかったからね」

「その気遣いは有り難いにゃ。しかも、氷はビーストランドでは貴重なんだにゃ」

「そうなのか?」

「そうだにゃ。お前、私と結婚してここで暮らせばいいにゃ。そして、いっぱい氷を提供するにゃ」

「はい?!」

 この子は、よく考えてものを言う事はないのか!

 俺が呆気に取られていると、シルフィが腕を絡ませてくる。

「俺が結婚?! シルフィ、何言って……」

「そうにゃ。あたしはここの領主の娘だし、自分で言うのもなんだが、けっこう可愛いと思うんだがにゃ」

 さっき可愛いって言われるの、嫌がってなかったっけ。

 どうやら、自分で言うのはいいらしい。

「どうかにゃ? 迷う必要はないと思うんだがにゃ」

「いやいや、俺まだ15だし、俺には目的があるんだよ!」

「目的かにゃ? そんなの、あたしがなんとかしてやるにゃ」

「こらこら、勝手に話を進めるな」

 シルフィがすり寄ってきたので、俺が戸惑っていると、アルタさんがこちらに近づいてきた。

「アルタさん、助けて!」

「シルフィ殿、ソーマはアイーダ国に用があるので、あなたに構っている場合ではないんだが」

「なら、あたしと勝負するにゃ」

「勝負?」

「そうにゃ。ここビーストランドでは、物事の解決は決闘で決める事になっているんだにゃ」

 シルフィは俺の腕を離し、アルタさんたちに説明をする。

「もし、あたしに勝てたら、この少年はあんたたちが連れていくといいにゃ。だが、あたしが勝てば、少年はあたしと」結婚するにゃ」

「わかった、いいだろう」

 ちょっと待て。俺の意見はどうなるんだよ!

 俺が慌てているのを無視して、話を進めるアルタさんたち。

 すると、ゆうひが話に加わった。

「なら、戦うのは私がやります」

「ゆうひ殿、君が行かなくても、ドーラに任せようと思ったんだが……」

「いいえ。ここは私がやります。私はそうま君の護衛だから」

「人間の小娘に、あたしの相手がつとまるかにゃ?」

「……そうま君は渡さない」

 あれ、ゆうひ……なんか怒ってる?

 ゆうひとシルフィは睨み合っている。

 なんだか、2人の間に、火花が飛んでいるような気がした。

「だったら案内はここまでにして、今から決闘場所に向かうにゃ」

「一体、どこに行くんだよ」

「コロシアムだにゃ」

「コロシアム?! ゆうひ、やっぱりやめた方がいいって!」

「大丈夫よ、そうま君。私は負けないから」

 ゆうひは表情を変えなかったが、やっぱり怒っている気がする。

 これは、幼なじみとしての勘だけどね。

「そう言ってられるのも今のうちだにゃ」

 シルフィもやる気に満ちていた。

 俺をかけて、女同士の戦いが今始まろうとしている。


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