15 魔王・ラージャ
「姿が見えないのに、声が周りに響いている?」
「これはテレパシーのようなものだな。相手の頭の中に直接伝えるんだ」
アルタさんの説明に、俺は産まれた時の事を思い出した。
「なら、俺もテレパシー使えますよ」
「なんだと?」
アルタさんは顔をしかめていたが、俺は意識を集中させる。
でも、これ使ったせいで、俺捨てられたんだよな。
俺は苦い思い出を思いだしながら、声の主に語りかけた。
お前は誰だ。ここの主なのか。
俺が語りかけても返答はなかった。
「あれ、通じなかったのかな……」
「ソーマ、言いにくいんだが、もしかすると、成長した事で能力が失われたんじゃないのか」
なんてこったー! じゃぁ、普通に話した方が早いじゃないか。
俺は少し恥ずかしくなったので、大声でごまかした。
「おい、お前は誰なんだ! ここの主か!」
「なんじゃい、うるさいのぅ」
声とともに現れたのは、妖艶な美女だった。しかも巨乳である。
「ここをつくってから、人間の来客は初めてじゃな」
美女は笑う。何がそんなにおかしいのか。
「我が名は魔王・ラージャ。このダンジョンをつくった者さ」
「え、魔王?」
なら、こいつがゆうひを転移させた張本人、なのか?
俺はそばにいるゆうひに問いかけた。
「なぁ、ゆうひ。あいつがお前をこの世界によんだ奴なのか?」
「いいえ、違うわ」
という事は、この世界には魔王が何人もいるのか?
「ソーマ、ゆうひ殿がこの世界によばれたというのは、どういう事だ?」
「あ、ちゃんと説明してませんでしたね。というか、アルタさんが話し聞かなかったんじゃないですか」
「そんな大事な事は教えてもらわないと困るな」
「おい、わしを無視するでないぞ」
俺とアルタさんが話していると、ラージャが不機嫌そうな声を出した。
「まぁいい。人間が来る事などないしな。ちと遊んでやろう」
ラージャはそう言うと、胸にある宝石に触れた。
すると、ラージャは人の姿から、巨大な獣の姿になった。
頭は闘牛で、背中にはドラゴンの羽が生えている。
「グオォーッ!」
ラージャは戦いを告げるように、雄たけびを上げた。
「どうやら、戦うしかないようだな」
「アルタさん、俺も魔法で戦えます!」
「なら、俺とゆうひ殿、ガイナは接近戦、ツクシ殿は守りに徹してくれ」
「はい、わかりました!」
「メアリ殿は援護、ソーマは思いっきり魔法を使ってくれ。だが、俺たちに当てるなよ」
「わ、わかってますよ! じゃぁ、全員戦闘開始だ!」
俺の声を合図に、ゆうひたち3人は駆けだす。
「はあぁっ!」
「グウゥ……」
3人同時に攻撃したので、ラージャは少しよろめいた。
しかし、すぐ気迫で3人をはね返した。
「おっと!」
3人はなんとか着地して次の攻撃にうつろうとしたが、ラージャが勢いよく羽ばたいて距離をとった。
「上に逃げられたら、剣が届かない」
「私がやってみます!」
メアリはそう言うと、弓矢を構え、ラージャに向かって放つ。
だが、距離がありすぎて届かなかった。
「はははっ! 何をしておる。次はわしから行くぞ」
ラージャは高笑いをして、巨大な電撃の玉を何個も作り、こちらに放ってきた。
「スクトーム!」
当たるギリギリで、ツクシが呪文を唱え巨大な盾が現れた。
「な、なんとか間に合った……」
しかし、すぐに盾はボロボロになり消えていった。
「相手が電撃なら、俺だって出来る! くらえ、マジックサンダー!」
俺が呪文を唱えると、ラージャの上に雷雲が現れ、雷を落とし始めた。
「はははっ! どこを狙っておるのじゃ!」
「くっ、逃げ足が速い!」
ラージャはまた高笑いをして、派手に飛び回る。
「だったら、これならどうだ! ボン・エアー!」
俺が杖を振ると、炎の球がいくつも出現し、それに風が巻きつき放たれた。
「そんな球、いくつ放っても、わしにはきかぬ……」
ラージャが言い終わる前に、俺の攻撃が当たり爆発した。
「ぎゃあぁーっ!」
悲鳴を上げたラージャは、そのまま地面に落下した。
「ぐうぅ……あんな攻撃に、わしがやられるとは……」
「ツクシ殿、こうそく魔法を使ってくれ」
「わかりました。ルナ・カデナ!」
アルタさんの指示に、ツクシが杖を振ると、光の鎖がラージャの足元から現れ巻きつく。
「なっ?! こんな魔法で、わしを止められると思うなよ」
ラージャは俺たちを睨みつけるが、俺は杖をしまい近づこうとすると、先にゆうひが剣を取り出しラージャに向ける。




