14 襲撃
俺が呟くと、ツクシ以外の全員が武器を構えた。
「え、なになに! 皆どうしたの!」
ツクシは俺にしがみつきながら叫んだ。
すると、またゆうひの体が黒く光りだす。
「ゆうひ、しっかりしろ!」
俺が呼びかけても反応が無い。ずっとうつろな目をしている。
「ゆうひ!」
俺はゆうひの肩を掴んで、必死にゆすった。
「あれ、そうま君?」
ゆうひは意識が戻ったようで、首を傾げていた。
すると、茂みから次々とモンスターが姿を現した。
スライムやオーガ、オークにゴブリンもいた。
「これではっきりしたな。ゆうひ殿が魔物を引き付けている」
「これも呪いのせいですか?」
「多分な。しかしちと数が多いな……」
アルタさんが苦笑いを浮かべていると、ゆうひが前に出た。
「私がなんとかします。これは私のせいだから……」
「何言ってるんだよ、ゆうひ! お前だけのせいじゃないだろ!」
俺の話を聞かずに、ゆうひはモンスターに斬りかかった。
「はあぁっ!」
「ゆうひ……お前のせいじゃないのに……」
「話し合いは後でしてくれないかい? 今は戦闘に集中だ」
「わ、わかりました!」
「ツクシ殿は防御に集中。メアリ殿は援護を頼む」
「かしこまりました」
「ガイナ、行くぞ!」
「はい、アルタ様!」
アルタさんが皆に指示を出してくれて助かった。
「あれ? アルタさん、俺は?!」
「ソーマは攻撃魔法で援護を頼む! だが、俺たちに当てるなよ」
「き、気をつけます」
モンスターたちは、狂ったようにこちらに襲いかかってくる。
ゆうひ、アルタさん、ガイナの剣や槍さばきで次々と倒していくが、数が多くて苦戦している。
俺も攻撃魔法を出しているけど、相手が素早すぎて当たる事がない。
「くそっ、なんで当たらないんだよ!」
「ソーマ、集中だよ。特訓の事を思い出して!」
ツクシのアドバイスで、俺は特訓の日々を思い出す。
「相手をよく見て、目をそらさず……」
俺は集中して呪文を唱える。
「燃やせ、フレイム!」
呪文を唱えると、大量の火の球がスライムやゴブリンに当たった。
「よしっ! 今度は当たったぞ!」
「その調子だよ、ソーマ!」
「この数ではラチガあかないな。退路を作って奥に行くぞ!」
「わかりました。退路は私が切り開きます」
ゆうひはそう言うと、素早い動きでモンスターを倒していく。
すると、人が通れる道ができ、全員そこを通って奥へと進んだ。
奥へ走っていっても、モンスターたちは雄たけびを上げながら追ってくる。
「ひぇーっ! まだ追ってくるよー!」
「ツクシ頑張れ!」
別の所からもモンスターが現れ、俺たちはもっと奥へと逃げた。
しばらく逃げていると、モンスターの気配はなくなっていた。
「だ、だいぶ走ったけど、もう追ってこないよね……」
「そうま君、もう少し体力つけた方がいいよ」
「はぁ……ゆうひはなんで息切れしてないんだよ……」
「これでも私鍛えているからね」
「はー、そうですか……」
「話はそれぐらいにして、だいぶ奥まで入ったな」
「アルタ様、何かモンスターどもに誘導されたような気がします」
「あいつらに、それだけの知識があるのか……」
「あのー、一応先に進んでみませんか?」
俺の提案に、アルタさんは考えこむ。
「……そうだな。疑問はいくつかあるが、先に進もう」
俺たちが先に進むと、大きな扉が現れた。
「うわぁ、でっかい扉だな」
「おかしいわね。私がこの森を通った時は、こんな扉無かったわ」
「という事は、10年の間に誰かがつくったって事か?」
「そうなるわね。でも、誰が何のために……」
話していると、急に扉が音を立てて開いた。
「どうやら、入って来いと言っているようだな」
「中は何があるかわからない。全員気を引き締めろ」
ガイナはそう言うと、また先頭を歩き始めた。
中は案外広く、光る石がたくさん埋めこまれていた。
「へぇー、中は意外と広いんだな。これってダンジョンって感じがする」
「ダンジョン?」
「あぁ、気にしないで。こっちの話だから」
ツクシが首を傾げていたので、俺は慌てて手を振った。
「おや? 珍しい来客じゃないか」
俺たちがしばらく歩いていると、どこからか声が響いた。




