10 いざ、ベルグールへ!
屋敷を出発した俺たちは、アルタという人物に会うため、ベルグールを目指していた。
「えっと……ここからベルグールまではどう行ったらいいんだ?」
俺はジェフおじさんからもらった地図を確認してみたが、意外と遠い事がわかった。
「さすがに歩きだと、時間かかりそうだな」
「なら、途中で馬車を手配したらどうでしょうか」
「そうだな。もうすぐ近くの町も見えてくるし、そこで馬車を探そう」
俺たちは町に着き、馬車はメアリがすぐ手配してくれた。
それから俺たちはベルグールに向かうが、馬車の中は乗り心地が悪く、さすがに酔いそうだった。
あ、ツクシはもう酔ったらしく、横になっていた。
「お客さんすまないね。ここの道は工事されていないから、足場が悪いんだよ」
「だ、大丈夫です……」
乗っている俺たちに気を遣ったのか、手綱を持ちながら男が話しかけてきた。
俺はなんとか返事をしたが、さすがにもう無理かもしれない。
「そうま君、気分が悪いなら横になっていいよ? 着いたら起こしてあげるから」
「あ、ありがとうゆうひ……そうさせてもらうわ」
それから俺は横になって寝た。
しばらくして、ゆうひが顔を叩いてきた。
「そうま君、着いたよ」
「ふぇ? もうそんな時間?」
「何寝ぼけているの。ベルグールに着いたんだよ」
「そうなのか! じゃぁ、早くおりないと!」
そして馬車をおりた俺たちは、お金を払ってベルグールに入った。
ベルグールは近くに大きな川が流れており、市場がとても活気づいていた。
「へぇー。ここもけっこう広い町なんだな」
「ソーマ、それでアルタって人はどこに住んでいるの?」
「えっと、確か地図によると町から少し離れた所に住んでいるらしい」
「それなら、会うのは明日にしたらどうでしょうか。もう日が暮れてきましたし……」
「そうだな。そしたら、どこか宿でも見つけようか」
幸い、すぐに宿は見つかった。町の中でも大きな宿だ。
「俺はもう少し、小さな所でもよかったんだがな」
「いいじゃない、いい所が見つかったんだから」
「では、私たちは隣の部屋にいますので、ご用があれば呼んで下さい」
「ありがとう、ゆっくり休んでね」
ゆうひとメアリが部屋を出ていくと、さっきまで横になっていたツクシが俺に近づいてくる。
「ねぇ、ソーマはゆうひさんとどういう関係なの? なんかけっこう仲良くない?」
「あぁ、俺たちは幼なじみなんだよ。今回の旅もゆうひのためなんだ」
「そうなの?」
「俺はゆうひの笑顔を取り戻したいんだ」
「確かに、笑ったところ見た事ないかも」
「ゆうひのためなら、俺はなんだってするよ」
「すごいね、ソーマ。誰かのためにそこまで出来るなんて。僕なんかこんな性格だから、ソーマが羨ましいよ」
「いやー、そこまで言われると照れるな」
俺は照れ笑いをして、頭をかいた。
「ツクシも、俺たちについてきてくれてありがとう!」
「僕も力になれるように、頑張るからね」
そして俺とツクシは拳を突き合せた。まぁ、お互い頑張ろうという事だ。
それからぐっすり寝た俺たちは、次の日すぐ宿を出てアルタさんのいる家に向かった。
アルタさんの家は、ベルグールから少し離れた所にあり、小さな家だった。
俺はドアをノックして呼びかける。
「あのー、すみません。ジェフおじさんから教えてもらいやってきました。アルタさん、いらっしゃいますか!」
するとすぐにドアが開き、中からガタイのいい長身の男が現れた。
「……」
「あ、あの、アルタさんですか?」
男は黙ったまま俺を見下ろす。なんだか怖い人だな。
「あのー……」
「俺はアルタ様ではない」
アルタさんじゃないんかい! じゃぁ誰なんだよ。
俺が驚いていると、また声が聞こえた。
「こら、ガイナ。またやってきた人を困らせているのかい」
ガイナと呼ばれた人の後ろから、若い男性(といっても、30代後半ぐらいの年齢だろう)が顔を覗かせた。
「アルタ様、俺は別に困らせている訳では……」
いや、勘違いはしたけど、困っていますからね!
俺がじっと見つめているのがわかったのか、ガイナは俺を睨みつける。
「何か?」
「い、いえ!」
「ガイナ。お前は部屋にいなさい」
アルタさんにそう言われたガイナは、納得がいかないとでもいうような顔をして奥に行った。
「うちの者がすまなかったね。それで、何のご用かな?」
「あ、あの、はじめまして。俺はそうまと言います。ジェフおじさんにあなたの事を教えてもらってここに来ました」
「ほぅ、懐かしい名前だ。とりあえず中に入るといい」
アルタさんに促されて、俺たちは家の中に入った。




