新しい出会いと前世の知識
アセリア歴550年。ここは魔法と機械が融合した世界。この世界では、まだ機械開発技術が発達していなかったので、あまり機械が流行っていなかった。
また、魔法も、生活魔法はある程度使えるが、使える量に限りがあるため、人々の生活は、あまり良いものではなかった。
その世界に産まれた、女の子がいた。彼女は、産声をあげたとき(ここは何処だ?)と思ったのだ。
彼女には、前世の記憶があったのだ。
前世は、OLで社畜だった。徹夜は当たり前、仕事のダメ出しは何度も食らうような会社におり、そこで頑張っていたが、ある日久しぶりに休みがあった時、そこで倒れたのだった。
その時のことを覚えていた女の子は、産まれた時「転生しとる……。」と思ったのだった。
女の子が産まれてから、3ヶ月がたった。大分状況が見えてきた。
自分の名前は、カレン・レッシール。レッシール家の次女。上に、兄2名と姉1名がいるらしい。
今度の母親の名前が、カスミ。母親は俗に言う、家族大好きで、兄弟を愛している。父親と一緒に何か難しい話しをしたり、私の兄弟の話を聞いてあげたりととても幸せそうにしている。
父親の名前は、ドレット。父親は剣士。毎朝鍛錬を欠かさない。また、とても勉強家でどうなればこの土地は栄えることができるのか?いつも難しい話をしている。私の前では、デレデレのパパで、毎回オムツ交換や私の遊び相手などをしてくれている。
「この子は、大きくなったらママ見たく賢い大人に育つぞ〜」
とパパが私の顔を見ていった。
「あらなんでそう思うの?」
ママは首を傾げて、パパにそう聞いた。
「私の勘だが、この子は私達の話が分かっているような素振りをする時がある。もし言葉が分かっているのであれば、この年で分かるのはあまり見ない。きっと天才に違いない!」
パパは鼻息荒くそう言った。私はビックリした。確かに言葉がわかるので、状況がなんとなく見えてきたのだ。
ここは、マエリア領という領土だ。四方を山に囲まれた土地。農作業が盛んで、毎月ある程度の収入があるみたいだ。しかし、この世界にも四季があるようで、冬の間は作物が育たない。また、肥料という概念がないので、同じ土地で同じものを作り続けているため、作物の生育が年々悪化しているとのことだった。
また、狩人もいるらしいが、成果が悪いらしく、収入が芳しくないということも、パパの近くで聞いていたのだ。
このままでは、この領に住んでいる人たちが困窮しています。その対策を立てたいのだが、何から手を付けてよいか分からず、パパも苦労しているみたいだ。いつも書類とにらめっこしてるものね。
うーん、前世の知識でなんとかならないかな………。しかし、それをどうやって伝えればよいかな……。
私が赤ちゃんなので、まだ話せないし、伝えると言ったって、子どもの言うことなんかに耳を貸す人はいないだろうし……。うーん……。
悩みはますばかりだった……。