表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
98/99

Final ──決勝──

 ヴァイオレットガールは会心の雄叫び。チームヴァイオレットのメンバーたちもガッツポーズして喜ぶ。

 連続S字区間をクリアしたとき、先頭はヴァイオレットガールになり。フィチ、龍一と続く。

「しっかりなさい! レースにレディーファーストはないのよ」

 ソキョンはフィチを叱咤する。自分とこの選手が表彰式でキャンペーンガールならぬキャンペーンガイよろしく優勝者となった少女を挟むのは、勝負の世界で生きる身としては悔しい限り。

「悪いなフィチ……」

 龍一はぽそっとつぶやき、フィチに張り付く。最終コーナーでインをうかがう。しかしフィチも用心し、ラインを塞ぐ。だがそれも想定内だ。

 最終コーナーを抜けた。メインストレート、加速。モーター音が唸る。スリップストリームに入る、スピードが乗る。

 フィチのマシンがヴァイオレットガールのマシンを、龍一のマシンがフィチのマシンを、追い越そうとして。3台並んで、第1コーナーに突入する。

 イン側から龍一、フィチ、ヴァイオレットガールと並ぶ。このままいけば龍一がトップに立ちそうだが……。

 一番アウト側のバイオレットガールは、タイヤをスライドさせほぼドリフト状態でコーナーを駆け、頭一つ抜け出す。

 悪辣だが正確無比のコントロールをするAIのように。

「なんてコだ」

 フィチも龍一も唸らされた。ヴァイオレットガールはアウト側にいながらトップを死守し、第2コーナーに龍一とフィチを引き連れて飛び込んだ。

 龍一はフィチを抜けた。が、やった、と思うよりもヴァイオレットガールの走りに思わず圧倒させられてしまった。 

「あと1週半……」

「勝つのよ、下手に安全策とっちゃだめよ」

 優佳とソキョンもディスプレイを眺め唸るように言う。胃がキリキリし、心臓の鼓動が大きく速くなる。

 早く終わってほしいような、でも終わってほしくないような……。

 なんだかんだで、こんなレース状況の中にいられるのが一番の幸せだった。

 このままループしてもいいような気もするが。

「それじゃ勝てないでしょ!」

 ひたりそうな自分に戒めるようにソキョンは言い聞かせる。

 ウィングタイガーのワン・ツーフィニッシュ! それが出来れば言うことなしなのだが。

 連続S字区間を抜け、次の右直角、その次の右直角の最終コーナーまで、変動なし。

 最終コーナーを抜け、メインストレートに入る。加速する。モーター音が唸る。ラインを超える。

 ラストラップに入る。

 ヴァイオレットガールがトップ、龍一とフィチが追走する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ