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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
97/99

Final ──決勝──

 だが、その声援は悲鳴に代わった。

 メインストレートを抜けての、第1コーナー。迫られるレインボー・アイリーンはプレッシャーによる焦りからかインを空けてしまい。そこにカール・カイサが飛び込む。

 と、そのまま2台は絡んで。あろうことかダブルクラッシュをしてしまい、吹っ飛んでフェンスに激突。

 ともに一発廃車のダメージで、幻と消えていった。

「オーマイゴッド!」

「なんということでしょう!」

 実況解説もこのアクシデントに絶叫する。チャットもざわめく。なにより、アレクサンドラやカール・カイサの家族は唖然とディスプレイを眺めるしかなかった。

 レインボー・アイリーンとカール・カイサは同時にシムリグから立ち上がり、素早くマスクをつけ、互いに歩み寄る。

 双方のスタッフが慌てて駆け寄る。

 揉めるか、と誰もが心配した。

「I'm sorry」

 同時に双方から謝罪の言葉が発せられた。

 それから、互いに笑顔を見せ、肘タッチで互いの健闘をたたえ合い。スタッフスペースに戻った。

「抜くときに膨らんでしまった。悪いことをした」

「抜かれたくなくて余計にインを閉めようとしちゃった。悪いことをしたわ」

 それぞれ、そうスタッフに説明する。それからスマホで、故国の家族に、

「リタイヤしてしまった。ごめんよ」

 とメールした。

 そうするうちに40周を超え。レースは終盤に差し掛かった。

(びっくりしたなあ、もう)

 トップ2台のダブルクラッシュには驚かされたが、幸い巻き込まれずにスルーできたのはよかったが。これでトップ争いは、フィチとヴァイオレットガールと龍一のマシンの、3台に絞られた。

 フィチも全力で飛ばす。しかしヴァイオレットガールも龍一もしがみつくように追走する。

 残りあとわずかだ。フィチは逃げ切れるか、それともヴァイオレットガールが、あるいは龍一が逆転するのか。

「ひゃああ、チームメイト同士のトップ争いですか」

「胃がキリキリするわ……」

 ウィングタイガーのスタッフたちはディスプレイを凝視する。

「うああっ……」

 と唸る間に、連続S字区間入り口でヴァイオレットガールのマシンがフィチのマシンのインを突いた。

「いかせるか!」

 フィチは粘った。ここで粘れば次で自分がイン側だ。そしてその通り、2台並走して真ん中の左コーナーに差し掛かり、フィチがイン側。しかし今度はヴァイオレットガールが粘り、2台並走し。次の右コーナーではヴァイオレットカラーのマシンがイン側となり……。

「OK!」

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