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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
92/99

Final ──決勝──

 5位と6位のバトルも熾烈で。6位のマシンは5位のマシンを抜く機会をうかがい、時折ノーズを割り込ませようとする。

「5位があまりペースが上がってないようですね」

「これがチャンスとなるか、それとも引っ掛かってトップから離されるか。ドラゴンの勝負どこだな」

 PRID-eのスタッフがディスプレイに映った5位6位の争いと、その後ろに着ける龍一のマシンを見据える。

「おッ!」

 そうかと思えば、画面はトップ争いに変わる。同時に、レインボー・アイリーンがスパイラル・Kに仕掛ける。ところは連続S字区間を抜けた後のコーナー。もちろんインは閉めている。だからアウト側で並んだ。自分の存在を知らしめるのだ。

 もちろんイン側が強いから、レインボー・アイリーンは無理をせずに減速し無難に2位でコーナーをクリアし、最終コーナーへと加速する。

 スタッフはディスプレイを見据えてバトルを見守る。

 ソキョンたちもディスプレイを凝視する。

 最終コーナーでもレインボー・アイリーンはノーズを割り込ませる仕草をし、存在をアピールする。

(くる……ッ!)

 ウィングタイガーのスタッフたちは戦慄した。

 最終コーナーを抜け、フィチがトップでメインストレートに入るが、レインボー・アイリーンもぴったりつけている。スリップストリームが効く。加速の勢いは明らかにレインボーカラーのマシンが勝り。スタートラインのところで並んで、それからはするするすると赤と青のマシンがレインボーカラーのマシンに追い越されてしまい。

 第1コーナーではフィチが追う側に回った。レインボー・アイリーンの視界はクリアになった。

「Yeah!」

 アレクサンドラは伴侶がトップに立つのを見て思いっきり喜びを表現し、ショーンを抱きしめる。レインボーカラーのマシンのノーズ、フロントスポイラーには、We love Shaun と書かれている。

「やられた!」

 ソキョンは天を仰いだ。優佳はディスプレイを凝視し唇を嚙み。コスプレコンビは「きゃあー!」という悲鳴を上げた。

 実況解説もバトルに喜ぶ。

「自分がされるのはいやですけど、観客として観る分にはすごくいいレースですねえ」

「やっぱり参加者としては単独トップがいいですか?」

「そりゃあもちろん。楽ですから」

 解説は笑って応えた。

 当のフィチは落ち着いたものだった。無理に張り合わず、前に出し、後ろにぴったり張り付く。

 無言。

 じっとディスプレイ越しに、レインボー・アイリーンのマシンを凝視する。

 モーター音や風の音がヘッドセットから聞こえてくる。しかし聞こえない。あるのはシムリグとの一体感。

 自身もディスプレイの中にいるような没入感。

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