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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
8/99

Battle against myself ―自分との戦い―

「少なくなったかな……」

 まあいいや。さて、少し休んだらもうひと頑張りするか。と、そう思った時に、スマホが鳴って、出る。

「フィチ、いいかしら?」

 と呼ぶ声。

「あ、お母さん。どうしたの」

「悪いけど、買い物に行ってくれる? 卵がまだあると思ってたけど、勘違いだったみたいで」

「うん、いいよ」

「ごめんね、大事なレースの前で、練習してたのに」

「いいよ。レースより家族が大事だ」

「まあ、この子ったら」

 母親は昔事故で足が少し不自由になっていた。必要な外出時に父が代わりに車を運転し。スーパーマーケットに着けば、母は父に付き添われて、ゆっくり買い物をしていたが。

 Covid19のパンデミック。コロナ禍である。

 感染のことを考えれば、足の不自由な人がゆっくり買い物できる状況ではない。

 なるだけデリバリーを利用しているが、全てをまかなえるわけではなく。やむを得ない場合は、父やフィチが行って、人を避けつつ、早め早めに買い物を済ませるのである。

 全ての電源を切り、1階にいた母親に、

「行ってきます」

 と、マスクを着けて、かごを取り付けたロードバイクに乗って、颯爽と買い物に出かけた。

(ついでにビスケットも補充しておこう)

 という下心もあったのは、内緒だ。

 そうと知らない龍一は必死の思いで自分のゴーストを追っていた。

 かつてはワールドレコードであったゴーストである。一筋縄でいくわけもない。

 当時どのようにしてワールドレコードを叩き出したのか、覚えてはいない。ただ、必死だった。

 緑の字でタイムが表示されて。ふうとひと息ついて、タイムの記録表を見れば。1位、ワールドレコードである。かえって自分がびっくりして、シムリグから転げ落ちそうになった。

 もっともすぐにヴァイオレットガールに抜かれ、さらにレインボー・アイリーンに、スパイラル・Kことフィチに抜かれ。あれよあれよという間に4位に落ちてしまった。

「ヴァイオレットガールに、レインボー・アイリーン……」

 今の時代は便利になったもので、そのハンドルネームを検索すれば、使用するSNSのアカウントが出る。どんなヤツかと思えば、ヴァイオレットガールは黒人の女の子で、まだ17歳! 

 レインボー・アイリーンは少し年上の25歳の、栗色の目と髪の白人アメリカ人女性だが、同性愛者でもあり、伴侶がおり、2歳になる男の子の母親でもあった。

「っていうか、それどころじゃないだろ!」

 集中力が途切れ、ゴーストがちらつき。さらには、コーナー立ち上がりでアクセルを踏みすぎてしまいオーバーステアの、スピン。

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