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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
77/99

Qualifying ──予選──

 解説と司会はそんなやりとりをする。その間にゼッケン3番の龍一のマシンが映し出される。

 ライン取りこそきれいに行えているものの、それを優先した安全運転とでもいうような走りだった。

 モーター音もどこか覇気は薄いように感じられる。

 コスプレコンビは龍一のマシンが映って、画面の端にはシムリグ備え付けの小型カメラで龍一自身が映し出されたのを見て、

「ドラゴン、ファイティン。頑張ってください!」

「トモシビ推しって聞いたから、私のトモシビコスプレの写真を用意したよ!」

 一人は、なんと自身のコスプレ写真を見せながら念を送る。動画も観てくれているそうで、優佳を通じて激励動画へのお礼ももちろん伝わっている。そればかりかいつの間にかトモシビ推しなのも伝わっていた。

 そんなふたりの目から見ても、龍一は本調子ではないと察したようだ。

 25台のマシンが透り抜け透り抜けしながらディオゲネスの市街地コースを駆けている。

(これはまずいわねえ……)

 龍一の調子が上がらない。2回目も1回目と同じ様子見状態だ。もちろん本人が一番不本意なのはわかっているが。

(あ、そうか……)

 性格は真面目で社会性もある。が、しかし。それが試合で足を引っ張ってしまっているのだろうか?

 人間の性格のバランスは難しいと、ふと思った。

 優佳やスタッフも心配そうに龍一を見守る。

 予選の上位争いは、ヴァイオレットガール、フィチ、カール・カイサ、レインボー・アイリーンの4人に絞られてきた。

 ライブ配信で、クラッシュしたマシンが映し出され。もろ手を挙げて、

「やっちまった」

 とアピールする選手が映し出される。

 次に順位が表示され、龍一は11位に落ちていた。

「くそ!」

 ペースを上げようとするが。ディスプレイの画面は吹き飛ぶように流れているが、二桁順位から脱出できない遅いペースだ。

 最終コーナーを抜け、メインストレート。そこから高速第1コーナー、なるだけアクセルを踏み、左足で少しブレーキを踏み、高い速度を維持しようとするが。膨らんでアウト側のフェンスにぶつかりそうになり、結局大幅な減速。

 そこからもどうにもちぐはぐな走りになってしまい。どうにか周回できたものの、タイム更新ならず。順位は11位のまま。

「無理に走らず、ピットインして一時休憩してください」

 ソキョンは言う。このまま無理に走ってもいずれ破綻をきたしてクラッシュしかねない。リタイアするほどの破損だとタイム加算を強いられる。そうなってからでは遅い。

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