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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
72/99

Qualifying ──予選──

 そのカール・カイサのマシンが丁度ゼッケン2の龍一のマシンに追いつく。後ろから迫られていると優佳はすぐに伝えた。

「……、そのままいかせます」

「了解」

 参加選手にはほかのマシンは見えないが、ライブ配信画面では、カール・カイサのクリーチャー・クロコダイルのマシンが龍一のマシンを苦も無く透き通って抜き去るシーンが写った。

(ま、まあ、1回目は様子見でいくって言ってたけど)

 ソキョンは苦笑を禁じ得ない。自チームのマシンが抜かれるのを見るのはやはりいい気分ではない。

「さきほど抜かれたのはスパイラル・Kのチームメイトのドラゴンですね。まだ本気を出していないようです」

「彼は今大会が公式大会初参加の新人でもありますが、焦らずに様子を見て調子をつかもうとする姿勢はいいと思います」

「やはり新人のうちは焦るものですか?」

「はい。まあ私も新人のころに、タイムを出そうと力みすぎてクラッシュした苦い経験があります」

「ドラゴンは新人ではありますが、年齢はスパイラル・Kと同い年の23歳です。eスポーツの世界では遅めのデビューですが、年を重ねた分落ち着きもあると見ていいかもしれません」

「そうですね、デビュー年齢が遅いからと言ってダメということはありません。そんなことを言ったらカール・カイサなんて」

「でも彼はリアルレースで経験がありますね……」

 司会と解説はライブ配信画面を見ながら思い思いの話をする。

 ディオゲネスの市街地コースでの予選の様子だけでなく、時折シムリグに備え付けられた小型カメラで選手の様子も映し出す。

 レインボー・アイリーンが映し出されて。伴侶のアレクサンドラは足の上に乗せた息子のショーンの手を取りディスプレイに声援を送る。

 彼女も予選の1回目は様子見で2回目でタイムを出すプランだ。

 昨日の練習で感触はつかんではいるが、念には念を入れて、だった。

 そうこうするうちに、時間は過ぎてゆく。

 1位はヴァイオレットガール、2位はスパイラル・Kことフィチ、3位はカール・カイサ……、と続き。レインボー・アイリーンもドラゴンこと龍一も、上位に入らず淡々と周回をこなす。

 ディスプレイの上側にもうすぐ1回目の予選が終わることが表示され。ついに、1回目の予選はフルタイムを迎えた。

 1回目の予選終了が告げられ、画面は強制フェードアウト。現時点で一番いいタイムが予選タイムとして表示された。

 場内アナウンスでも1回目の予選終了が告げられる。昼の休憩に入る。

 選手がシムリグから離れると入れ替わりに運営スタッフが清掃および消毒作業を始める。感染対策だ。

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