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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
70/99

Qualifying ──予選──

 ゲーム設定は、対人なのでAIの難易度はないが、クラッシュすればマシンが破損するハード設定となっている。ともすればリタイアにもなる。最悪の場合は予選でクラッシュ、リタイアもあるが。その場合救済措置はあるが、タイムが加算されてしまうので気を付けないといけない。

「あーあ、やっちゃった」

 レッドヘアのバリバリタトゥーの女性シムレーサーが苦笑いしたあとで、ため息をつく。

 力みすぎてスピンし、そのままフェンスに激突し、マシンが大破してしまったのだ。幸い動くので、ピットに戻るが、スピードが出ないのがもどかしい。

「Oh shit!」

「F--K!」

 といった呻きも出る。コントロールミスでクラッシュし、リタイアになるまでの破損をやらかしてしまったのだ。

(まだはじまったばかりだよ……)

 スタッフ専用スペースからは全体の様子が見える。優佳はクラッシュした選手を見て、やや呆気にとられる。もちろんその選手のチームスタッフはおかんむりだ。

 その様子は選手側からは見えない。単独走行のタイムアタックで走っているから。

「……」

 龍一は無理に飛ばさず、身体をシムリグに馴染ませるためにマイペースで走る。順位は15位だ。

 フィチも同じようにして、現在12位。ソキョンも何も言わない。

(とはいえ、ヴァイオレットガールのセンスはずば抜けているわね)

 昨日の練習でもうコツをつかんだのか、大会用シムリグをもう自分のものにしている。これで将来の夢は海洋学者というのだから、二重で驚かされてしまう。

 カール・カイサも様子見走行でまだ上位に入っていない。レインボーアイリーンも同じだった。

 動画配信サイトでの画面には時折順位表が差し込まれる。

「なんだ、龍一のやつ苦戦してんのか?」

 レース事情を知らない父親はぼやく。

 そんなことは知らない龍一は、あくまでマイペースでコースを流していた。

 事前に、

「タイムを出しに行くのは2回目で、1回目は練習のつもりでやります」

 と伝えていたので、ウィングタイガーのスタッフは今のところやきもきせずに予選を見守っていた。

 フィチは1回目も2回目も本気で行く、と言っていた。そこはキャリアを積んだベテランだった。

 1位はヴァイオレットガール。解説が言う通り初っ端からイケイケだ。

「調子に乗りすぎてクラッシュするなよ」

 1位なのはいいが、クラッシュし救済措置でタイムを加算されるようなことがあったら元も子もない。チーム監督はやや心配になり釘を刺す。

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