Qualifying ──予選──
各プレイヤーのディスプレイは、今はピットの中にいる視点だったが。ピットクルーがピットロード出口を指さし、
ゆけ!
と指示をする。一瞬フェードアウトして暗くなったと思えば、最終コーナー手前のところにいる画面になり、オートパイロットでコーナーを抜け、メインストレートに入る。
カウントダウンが始まる。
5、4、3、2、1、Go!
オートパイロットが解除され、操作はプレイヤーに委ねられた。予選開始だ。
ライブ配信でも、一瞬暗くなったと思えば、各車がメインストレートから予選を開始する様が映し出された。
プレイヤーはタイムトライアルモードで単独走行だが、ライブ配信では参加車すべてが映し出されている。しかし接触はなく、透き通るゴースト設定となっていた。
予選が開始され、各車メインストレートを加速する。突き抜けるような甲高いモーター音が響き渡り、空まで突き抜けそうだ。それにともない、心も昂ってくる。
龍一とフィチのマシンは、チームのイメージカラーである赤と青のラインが走り、その間にスポンサーである台湾のPCおよびゲーム機器メーカー、AVP gamingのロゴがデザインされていた。翼をもつ虎のエンブレムは、リアウィングの両端にデザインされていた。
しかしゼッケンは龍一は赤い字の2、フィチは青い文字の3が貼り付けられ、区別されていた。
ヴァイオレットガールのマシンはヴァイオレットカラー一色で、各スポンサーのロゴがプリントされたシンプルながらも渋いデザイン。
レインボー・アイリーンのマシンは流線形のレインボーが前から後ろへと広がってゆくアート志向のデザインが施され、コースに一筋の虹が現れたような印象を受ける。
カール・カイサのマシンは黒地に、大きく口を開け牙を見せつける緑色の鰐がデザインされている。これはスポンサーで、北欧発のエナジードリンク、クリーチャー・クロコダイルのデザインだった。この関係はリアルレース現役時代から続いている。
以下、さまざまなデザインの25台マシンが、ヴァーチャル都市ディオゲネスの市街地地コースを駆けた。
画面右上に自分のタイムと順位が表示される。
「まだ始まったばかりですが、予選タイムアタックはヴァイオレットガールがトップタイムを記録しています」
「やはり彼女は最初からイケイケですね」
司会と解説がディスプレイを眺めて言う。
タイムトライアルのワールドレコードホルダーでもある。それと同じようにトップを奪うか。




