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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
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New changes ―新しい変化―

「まあそれはともかく、当たり前で特別な話をするわけじゃないけど、大事なことなのでちゃんと聞いてほしい」

 以後のスケジュール確認や規則、不明な点の問い合わせ先など、当たり前で特別ではないが大事な話がなされた。

 明日の予選、明後日の本戦の前にも同様のミーティングをするという。これはあらかじめ参照を指示されたウェブサイトにも書かれていたことでもある。

 相手がプロだからこそ、大事なことは何度でも言い、確認する。それでこそ円滑な大会運営が出来るというものだ。

「僕から伝えることは以上だ。いいレースを期待してるよ」

 愛想よい笑顔を見せ、主催者は下がった。女性司会者と男性解説者は会場に残り、場内周辺を見て回り、スタッフにも声をかけ、Forza E World GPの雰囲気をつかもうとする。

 それぞれのチーム、シムレーサーもシムリグに戻り、練習を再開する。

 その合間合間に指定された休憩スペース、アリーナ内のカフェで休む者もいる。

「うん、美味しい」

 大会スタッフや各スポンサー関係者、参加チームメンバーなどなどが、思い思いにくつろいでいる。

 レッドヘアのバリバリタトゥーの女性シムレーサーもオレンジジュースでのどを潤し、サンドウィッチに舌鼓を打っている。

 言うまでもなく、会場内は禁酒禁煙だ。破ればペナルティーだ。

(うおおお)

 龍一はシムリグに戻って練習を再開し、心の中で唸りっぱなしだ。

(没入感ハンパないって)

 自分を包み込むような大画面湾曲型ディスプレイは、大画面ながら目を動かす必要が少なく、視界もいい。画面外のものが目に入ることもないので。本当にディオゲネスの市街地コースに入ったような没入感があった。

 シートも、ハンドルも、感触が違う。自分は今、外国どころか異世界にいるんじゃないかと思うほど。新しい変化の中に没入していた。

 ソキョンと優佳たちウィングタイガーのスタッフは2番と3番のシムリグを行ったり来たり、龍一とフィチ双方の走りに目を凝らす。

 龍一は単独タイムアタック、フィチは100%ベリーハードでのレースモードで練習をしていた。

「……」

 ソキョンは何も言わず、黙って双方の走りを見ている。練習日のまだ午前だ。様子見としたところか。

 ゲーム自体は大会のための特別仕様で、不正を防ぐためにもオフライン状態だった。だから自分のアカウントにログインしてゴーストを追うということはできなかった。

 ただし画面の右上にはちゃんと自分のハンドルネームが出ていた。

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