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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
6/99

Battle against myself ―自分との戦い―

 ブレーキを踏み込んで減速したが、間に合わない。そのままフェンスに突っ込んでしまった。ダメージ設定をリアルにしていたので、マシンのフロント部分はひしゃげ、タイヤがあさっての方向を向く。

 フェンスの向こうにはギャラリーは一瞬驚いた仕草を見せたが。すぐにもろ手を挙げて、あるいは激しく手を打ち鳴らす仕草をしてレース観戦をおおいにエンジョイしている。

「まったく、もう」

 ミスった自分に苦笑しつつ、NPCノンプレイヤーキャラクターのギャラリーのはしゃぎっぷりにも苦笑するものを覚える。人工知能=AIでもない飾りなのだが。自分のクラッシュを喜ばれるのはやっぱりいいもんじゃない。

 このゲームは設定上、フェンスがしっかりしてて。腰までの高さにも関わらず、それから高いところにも透明のフェンスがあって。どうやってもクラッシュにギャラリーを巻き込まないようになっている。

 ゲームタイトルによっては、コース脇のギャラリーを巻き込んでしまうこともある。龍一をはじめとした、多くのシムレーサーは、ゲームの中で何人殺したかわからない。そんなゲームではないのに。

 人によってはトラウマになって、シムレーシングをしなくなってもおかしくはない。

 ともあれ、気を取り直し。ハンドルのボタンを押して、再スタートをする。

 画面が一瞬黒くフェードアウトして、フェードインすれば、ドライバー保護のために装着されたHALO越しに前を見据え、視界の隅に議事堂があり。そのストレートからタイムアタックが再開される。

 ディスプレイの景色が吹き飛ぶように突き進む。道路のセンターラインも、激しく明滅するように見える。

 アクセルとブレーキを微調整しつつ、高速第1コーナーを駆け抜ける。ゴーストは見えない。ということはゴーストより速く走れている。が、それも連続S字まで。連続S字を抜けると、うっすらと自分のゴーストが見えてくる。つまりペースが落ちたということだ。

 景色は吹き飛びセンターラインは明滅し。その激しい流れに逆らうように、ゴーストの姿ははっきりと見えるようになってくる。ということは、置いていかれているのだ。

 自分に。

 ディオゲネスの街のメインストリート、議事堂前ストレートの、スタート/ゴールラインを抜ければ、ゴーストは消える。

 で、今度は第1コーナーを駆け抜けるさなかで見えてきた。自分としてはミスなく走っているつもりでも、無自覚なミスが出てしまう。それでゴーストが出る。

 だが慌てない、落ち着いて操作し。シムリグに身を託し。レーシングに没頭する。

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