New changes ―新しい変化―
メールが来る。フィチからだ。ビデオチャットをオンラインにする。
「順位表を見たかい?」
「見た」
「強敵あらわるだよ」
「カール・カイサだぜ」
SNSも積極活用し、Forza Eの世界大会出場を表明し、先日の予選に通過したことも書き込んでいた。
さらに、
―タイムトライアルでやっと4位に入ったよ。シムレーシングプレイヤーも速いね!―
―彼ら彼女らも世界大会に出るんだね。本戦を楽しみにしているよ!―
との書き込みもあった。
順位表は変動するものだが。Forza Eの1位から4位までの変動は最近はなかった。それだけ速く走れていたということなのだろうが。そのまま固定化されるということも、さすがにないということだった。
「おもしれえ。やったろうじゃん」
「そうだね、願ってもない好機だ」
テレビやディスプレイ越しながらカール・カイサの走りを見てわくわくしたいちモータースポーツファンでもあり。闘争心はさらに燃え上がるというものだった。
ヴァイオレットガールにレインボー・アイリーンも、その挑戦受けて立つ! と意気込みの書き込みを自身のSNSでした。
しかし出発の準備もある。タイムトライアルもそうそう出来るものでもない。だから、本戦レースで決着をつけるのだ。と、皆闘争心を燃やしながら、着々と準備をしていた。
龍一のもとに航空券のチケットが届いた。
―航空券届きいました! ありがとうございます!―
とメールをすれば。
―いえいえ、お会いできるのを楽しみにしています ^-^―
と、返信が来た。
手続きも費用も、すべてチーム持ちだ。ただただ感謝しかない。
Forza Eの世界大会であるForza E・ワールドグランプリは、アイスランドはレイキャビクのスポーツアリーナで開催される。
通常なら観客を入れての開催なのだが、コロナ禍である。無観客試合となる。また、選手やチーム、大会の関係者しか来れないようになっている。友人はもちろん、家族を招くのもダメ。
それは仕方がないことなのだが、やはり残念なことでもあり。
―残念だけど、仕方がないわ。でもやっぱり、率直に言えば、家族で大会を楽しみたかったわ―
と、レインボー・アイリーンはSNSに書き込んでいた。同じくカール・カイサも、
―ファミリーで行って、ほかファミリーとの交流もしたかったのになあ。残念だよ―
といった書き込みをSNSにしていた。彼は既婚者で10歳の息子と8歳の娘がいた。
「……」
龍一ももちろん、このコロナ禍の中で、色々と思うことがある。が、心を奮い立たせる。
「頑張れるうちは、頑張ろう」




