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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
48/99

Go over 100%! ―100%を超えろ!―

(オレじゃ無理だなあ)

 そもそも表に出ずに野良ぼっちで活動している龍一は自分に苦笑する。予選もレースに専念するために配信なしでやったのだ。でも、これからはそんなことは言ってられないかなと、少し考えた。

 チャットの中にはフィチのハンドルネーム、Spiral Kもあった。

―have a nice game!―

 と双方に書き込んだ。

「Hey Spiral! I will not be beaten by you」

 友人でありライバルでもあるスパイラル・Kことフィチが観ているのを知り、ヴァイオレットガールとレインボー・アイリーンは、負けないよ、と不敵な笑みで言う。

「本戦ではDragonとも会えるかな? どんな人なんだろう。楽しみだね!」

 ヴァイオレットガールがそう言い。フィチは、そうだね、いい人だよと答え。優佳がこれを訳して龍一に伝える。

 龍一はなんだか顔が真っ赤になるほどの熱さと照れを禁じ得なかった。

(ってゆーか、予選通るのが当たり前みたいな気の持ちようだな。なかなか気が強いな)

 とも感心させられたものだった。

 それから、注意書きが出て、Yesが選択される。

 一瞬にして気持ちが切り替わり、緊張感がほとばしる。

「Here we go」

 レインボー・アイリーンがつぶやく。

 レーススタート!

「うおお!?」

 思わず龍一は唸る。ヴァイオレットガールもレインボー・アイリーンも、なんとスタートダッシュで真っ白のAIカーを出し抜いて、第1コーナーに突っ込むではないか。

 大雨が降り雷光閃き、雷鳴も轟く。ディオゲネスはやはり神の怒りの渦の中にいるような様相を呈している。まったく見飽きることがない悪天候の描写だ。

 そんな悪条件をものともせず、ふたりともスタートダッシュでAIカーを出し抜いたのだ。

「スタートでAIを」

 フィチも唸る。

「やっぱり、めちゃくちゃ上手いわねえ」

「このまま、ぶっちぎりで行くんでしょうか?」

 ソキョンと優佳もあっけにとられて、ライブ配信に見入ってしまう。

 ふたりのプレー画面の下側には、後方の接近を知らせる矢印デルタマークが表示されている。

 AIカーが必死に食らいつこうと頑張っている感じだ。

 チャットも、もう大盛り上がりだ。

 1週目を終え、ヴァイオレットガールもレインボー・アイリーンも、AIカーを引き連れてメインストレートを駆け抜ける。

 前にはなにもいない、と言っても土砂降りの雷雨だ。薄暗く視界は悪い。

 ゼッケン7のヴァイオレットカラーのマシンと、ゼッケン6のレインボーカラーのマシンが雷雨のディオゲネスの市街地コースを突っ走る。

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