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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
47/99

Go over 100%! ―100%を超えろ!―

 ふたり手を振り、

「Hi!」

 と、満面の笑顔を見せる。息子のショーンは、ぽかんとしていたが、あやされるうちに笑顔になって。思わずこっちも笑顔になってしまった。

「僕らとは対照的だなあ」

 フィチは苦笑しながらつぶやく。苦笑は自分に対してだ。龍一もフィチもひどく緊張して、笑顔になる余裕はなかった。ましてや家族団らんをレース前に見せようなど考えもしなかった。

 彼女らは、いや、ショーンも、白地に各種スポンサーのロゴがプリントされ、左胸にレインボーカラーのエンブレムのあるチームユニフォームを着ていた。所属チームはPRID-eプライドという。

 同性愛者のゲーマーは自らをGaymerと名乗り。同性愛者およびLGBTQ+ゲーマーのコミュニティーも作っている。アイリーンもアレクサンドラも、そのコミュニティーに入り、そこから結成されたeスポーツのチーム、PRID-eに所属し、活動している。レインボーは多様性を示すLGBTQ+のシンボルだ。

 しかしコロナ禍だ。チームメンバーで集まって、ということは難しく。予選は、自宅でのリモート。チャットにはチームメンバーからの書き込みもあった。

「みんな、今日も観てくれてありがとう! これからForza Eの世界大会の予選レースをするわ。応援してね!」

「Yeah! Go Go Eileen!」

 アレクサンドラもノリよく拍手し、アイリーンに声援を送り。肘タッチをする。何も知らない者が観れば、仲の良い家庭のホームビデオそのものだった。

 それからショーンは伴侶のアレクサンドラに預けられ、アイリーンはカメラに近寄り。一端配信を切った。

「いいなあ、私もこんな家庭憧れます」

 優佳は羨望を込めて言う。ソキョンも笑顔で頷き同意する。

 しばらくして、ゲーム画面、その左上隅にシムリグでのレインボー・アイリーンの、おなじみの画面となった。

 そのタイミングで、ヴァイオレットガールのライブ配信が始まった。彼女の方はすでにシムリグにスタンバイしている、おなじみのゲーム画面だった。

 こちらも余裕をうかがわせる満面の笑みで、

「Hi!」

 と手を振り愛嬌を振りまく。ヴァイオレットガールも、もちろんリモートだ。ヴァイオレットカラーの、所属しているTeam Vioretのユニフォームを着ている。

 ディオゲネスのワールドレコード1位と2位が同時にライブ配信をするのだ。チャットも盛り上がっている。

 個人でのライブ配信も慣れたもので、コロナ禍でのリモート活動を強いられても、それで苦労する様子はなかった。

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