表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
46/99

Go over 100%! ―100%を超えろ!―

 にわかに眠気に襲われる。が、そのまま眠たくなるに任せた。

(あ、ヴァイオレットガールにレインボー・アイリーン!)

 予選レースのライブ配信を告知していた。その時間に合わせていそいそとスマホのアラームをセットして。

「……」

 眠たくなるに任せて、そのまま床で寝た。

 窓からは陽光が注ぎ、気候も穏やか。フィチの言う通り、レース中の激しい雷雨も、終わってみれば春の雨。

 すやすやと、心から昼寝を堪能したのだった。


 フィチは帰宅して、両親に予選通過を伝えれば、

「よかった、よかった」

 と、我が事のように喜んでくれた。

「はい、これ」

 と、母親が差し出すのは、ビスケットの詰め合わせだった。フィチのために買い求めたのだった。

「……母さん、ありがとう」

 母親は足が不自由で、しかもコロナ禍、買い物には行けないので。通販で買い求めたのだった。

「車の運転もあんまりしないし、車への興味も薄いお前がレースゲームのプロになるなんてなあ。人生何があるかわからんなあ」

 と、父親は言うのだった。

 フィチは免許は持ってはいるが、自分の車はない。使うときは父親が所有しているものを使う。しかしその頻度は低い。むしろ自転車が本命の愛機だった。

「そうだね、人生何があるかわからないね」

 フィチは両親の喜ぶさまに接して、本戦レースへの気持ちが高まるのだった。

 しかし、疲れもある。家に帰りつけば、緊張感が抜けたせいかどっと疲労感に襲われて。

 自分の部屋に戻って、服もそのままにベッドに倒れこんでそのまま寝てしまった。


 時は経つ。

 スマホのアラームが鳴った。

 龍一は床に寝そべったまま寝てしまっていて、がばっと起き上がってアラームを止めて。

 シムリグに身を預け、ディスプレイをつけ、ブラウザを分割して動画投稿サイトにアクセスし。ヴァイオレットガールとレインボー・アイリーンのチャンネルを閲覧した。

 サイドテーブルのノートパソコンを起動させれば、ビデオチャットをオンラインにする。

 ソキョンと優佳に、フィチもすでにビデオチャットに繋いで。ヴァイオレットガールとレインボー・アイリーンのチャンネルを閲覧していた。

「どんなレースをするのか、お手並み拝見といきましょうか」

 ソキョンは笑顔で言う。こちらはすでに予選を通過しているので、高みの見物気分である。

 まだ待機画面だったが。まずレインボー・アイリーンのライブ配信が始まった。

 写っているのは、シムリグに身を預ける勇姿、ではなく。そのシムリグの前で我が子を抱くレインボー・アイリーンと、伴侶のアレクサンドラ・ルオ(羅)だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ