表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
43/99

Go over 100%! ―100%を超えろ!―

 アクセルとブレーキを微調整し、タイヤが並ぶようにして。接触してもほとんど影響がないようにしたのだ。もししくじって前輪と後輪の間に相手の前輪なり後輪なりが間に挟まっていたら確実にクラッシュだった。

「ちぇ」

 思わず舌打ちし、後ろに下がる。ゴールまでまだある、焦らずじっくり機会をうかがうしかない。

 落雷。ディスプレイが激しく明滅し、雷鳴の轟音。プレーヤーの心を揺さぶろうとする。

(その手にはもう掛からないぞ!)

 ディスプレイを、AIカーの後ろ姿を見据え、龍一は自らのゼッケン2のマシンを操作する。

 雨粒に水しぶきが加わり視界を悪化させるが、AIカーのノーズランプが目印になって着いて行ける。

 コーナーのたびに仕掛ける。しかしインを、またはアウトをふさがれる。あるいは大きく減速し追突させようとする。

(残りが……)

 ソキョンと優佳は心をヒリヒリさせながらノートパソコンを見据えた。

 ついに、ラストラップ。泣いても笑ってもあと1週!

 AIカーに食らいつく。

(お願い、勝って! あなたがチームに欲しいの!)

 ソキョンや優佳たちは、胸中で必死の思いで祈った。あの時やはり条件を緩くすると押し通すべきだったかと、刹那に後悔する。

(龍一さんのような、技量と社会性を持った選手は、本当に得難い人材なのよ!)

 高速右の第1コーナーを抜けた。次の第2コーナー。ここでも仕掛けるが、インにも入れないまま、連続S字区間に入った。

「……」

 仕掛けない。仕掛けないまま、そのままAIカーの後ろを着いて行く。

(あきらめた!?)

 ソキョンと優佳たちはぎくりとする。それもそれで仕方がないと言えば仕方がないが……。

「……」 

 連続S字区間をクリアする。次の右直角。龍一は仕掛けた。目を凝らし、AIカーに迫る。

 追突させてやると、急減速される。

「いや普通にイン閉めろよ!」

 思わず突っ込む。迫るAIカーを避けて、インに飛び込んだ。

(いけ、いけえー!)

 突然声を出して驚かせてはいけないので、絶叫したいのをこらえて絶句状態でもろ手を握りしめノートパソコンを見据える。

 AIカーもそのまま抜かれまいと迫る。

 コーナーをクリアして加速。打ち付ける雨音の中モーター音が高鳴り、最終コーナーが迫る。

 2台は並んでいる。相手の存在を知らせる矢印デルタマークが左側に表示される。

 最終コーナーが来る。ブレーキング、減速。接触をしてくるAIカー。

「……!」

 接触した。しかし吹き飛ばない。接触したのはタイヤとタイヤ。前輪が前輪に、後輪が後輪に。なおも力押しをしてくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ