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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
40/99

Go over 100%! ―100%を超えろ!―

「うわッ!」

 思わず龍一も声を上げる。龍一の場合は連続S字区間を駆け抜けるさなかのことだった。突然激しい雷光が明滅し、落雷。天地を揺るがす雷鳴が轟くとともに、またも雷光の明滅。

「落雷なんてあるのかよ!」

 思わずこぼす。

「よほどオレたちを落としたいんだな」

 なかなか意地悪なことをする。

 ふと、優佳はスマホで動画投稿サイトを開き、Forza Eの予選を検索してみれば。予選をライブ配信してるプレーヤーもいれば、断片を投稿してるものもあり。

(あ!)

 その中のひとつを選んで見てみれば。落雷に驚くあまりコントロールをミスして、スピン、フェンスに激突してクラッシュ。フェンスの向こうのギャラリーが驚くさまを見せる。タイヤが変な方向になる。

「ああ、くそ、ダメだ……。落雷なんて聞いてないよ」

 日本人男性プレーヤーの動画で、日本語で悔しい気持ちを漏らして、ポーズしてのメニュー画面でリタイヤを選んで、動画は終わった。優佳は思わず心の中で手を合わせた。

―優佳さん、よそ見しないでくださいね ^-^ ―

 ソキョンは目ざとく優佳がスマホをいじっているのを見つけ、メールを送った。

―ああ、すいませ~ん >_< ―

 優佳も慌てて謝罪し、スマホをしまい、ディスプレイを眺める。

 しかし本当に容赦がない。この容赦のなさは洋ゲーならではだ。もっともそれがたまらないという洋ゲーマニアも意外と多い。龍一もまたその中のひとりだった。

 窓からは陽光が差し込む。ディスプレイは雷雨、しかも落雷もある。ディスプレイはさながら異世界の入り口のようだった。

 龍一もフィチもAIカーを追走し、機会をうかがう。もちろんAIカーも迂闊に隙を見せない。

 予選特設サイトの特別プログラムで、追突をさせないのかと思っていたが、やはりそんなことはなくて。時折必要以上に減速し、追突させようとする。

「まあ、そうだよな」

 と、それは想定外なので対処は出来た。

 しかしこちらも迂闊に抜かない。抜くときに幅寄せして、あるいは抜かれた後、コーナー入り口での減速で追突する、といった妨害もありうる。

 抜くのは終盤。ラスト7週から5週。

 問題は、それまでの間に自らのミスでクラッシュしたり引き離されたりされないかどうかだった。

 淡々としながらも、緊張感を持って。生身の身体なら肉離れを引き起こしそうな状況。

(ライバルは常にプラスワンです。自分との戦いというのも意識してください)

 そんなことをソキョンに言われたのを思い出す。

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